グリーンブック

グリーンブックのレビュー・評価・感想

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グリーンブック
8

実話に基づいた心温まるヒューマンドラマ

第91回アカデミー賞にて作品賞、助演男優賞、脚本賞の3部門を受賞したことで話題の「グリーンブック」。

この映画はナイトクラブで用心棒をするイタリア系アメリカ人のトニー・バレロンガが、黒人のピアニスト、ドン・シャーリー率いるトリオの8週間にも及ぶコンサートツアーに運転手として雇われたことから始まる。元々黒人に差別的な感情を抱いていたトニーだったが、長旅を通じて、ドンと衝突しながらもやがては心を通わせていく心温まるストーリーだ。
1960年代というまだまだ黒人差別が残るアメリカで、特に差別のひどい南部に進んでいくにつれ、ドンがひどい目に遭うことが増えていく。夜に車を走らせていただけで、黒人は夜で歩いてはいけないと言われ警察につかまる、コンサートをするために来ているレストランで、その地域のしきたりだからといってレストランで食事をすることを許されない、など日本人の自分には考えられない差別のシーンが描かれ改めて黒人差別の理不尽さを思い知った。ただ全体を通して悲惨な場面は少なく、ドンとトニーが衝突し合いながらもお互いを思いやりあいながら心を通わせていく場面やクスリと笑える場面などが多いため、最後まで心穏やかに優しい気持ちで見終わることができ、見終わった後も温かい気持ちになるとてもいい作品だった。

グリーンブック
8

人は1人では変われない。

喧嘩っ早くて横暴な白人トニーと、音楽家として成功を収めた孤独な黒人のドク。ドクのアメリカ南部へのコンサートツアーのドライバーとして雇われることになったトニー。8ヶ月もの間アメリカを渡る中で、2人の人間性に徐々に変化が訪れる。笑いあり涙ありの実話を元にした物語。
最初は黒人と白人。雇い主と雇われる者という関係性のため「最強の2人」に似た内容だと思っていました。しかし、なんといってもドクとトニーのキャラクターが絶妙で、真新しさすら感じる映画でした。ありそうで今までなかった2人の関係性。かといって2人のキャラクターが大きくデコボコしている訳ではなく良いバランスでとても内容に入り込みやかったです。これも実話を元にしたからこそなせる技なのかと感じました。
物語の内容も笑えるところは思い切り笑え、心温まるシーンも黒人差別について考えさせられる場面もあります。特に世間から黒人だからという理由で差別を受けるドクの振る舞いには、人種差別にはあまり縁のない日本人にも心に刺さる部分があるのではないでしょうか。
この映画を見た僕の率直な感想は、人は1人では変われないということ。つまり2人でなら変われるということ。変わりたくても変われない人。今のままの自分に半ば諦め混じりの満足をしている人。是非オススメしたいです。きっと見終わった後誰かに会いたくなるでしょう。

グリーンブック
10

2018年度最高作品『グリーンブック』

舞台は1960年代初頭のアメリカ。ニューヨークに住むイタリア系アメリカ人のトニーは、人気ナイトクラブでバウンサーとして働いています。店がリニューアルで数ヶ月休業する事になり、家族を養うために臨時で運転手の仕事を受けますが、雇い主は黒人ピアニスト、ドン・シャーリー。黒人差別が特に激しい公民権運動時代のアメリカ南部へコンサートツアーの巡業へ出かけた2人が時間を過ごすうちに友情を築く物語です。
実話を基に、筆舌し難い困難を強いられるドンの人柄と彼の音楽に触れ、それまでトニーが持っていた黒人差別に大きな変化が現れていく過程をヴィゴ・モーテンセンが巧みな演技力で表現。また、コメディで構成されているため、重いテーマながらじっくり観る事ができます。
笑いを誘うのは、ドンを演じるマハーシャラ・アリの名演に依るところが大きく、批評家からも高評価を得て、2019年度ゴールデン・グローブ賞及びアカデミー賞の助演男優賞を受賞しています。

本作のタイトルでもあるグリーンブックは、当時白人と同じ宿に宿泊したりレストランで食事が出来なかった黒人向けに作られたガイドブックです。ドンのレコード会社が南部の巡業の際に役立てるよう運転手のトニーにこのグリーンブックを手渡します。実在した物ですが、監督を務めたピーター・ファレリーは知らなかったとインタビューで話しています。トニーとドンは、劇中にある通り旅を通して友人となり、その友情は生涯温められました。
製作を担当したニック・バレロンガはトニーの実子であり、父に連れられてドンに会い、2人から話を聞いていつか映画にしようと決意。劇中にもカメオ出演しています。ナイトクラブの用心棒・トニーと3つの博士号を持ち8ヶ国語を話す天才音楽家ドン・シャーリーのロードムービー『グリーンブック』は、笑いと涙ありのハートフルな作品で、2018年度を代表する映画であり、完璧な脚本と俳優陣の卓越した演技力でアカデミー賞作品賞に輝いた傑作です。