パッション・パレード

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パッション・パレード
9

アメリカでのスーパー高校生達の青春と人種問題

日本を舞台にした超能力一族のミステリー「朱鷺色三角」の前シリーズからガラッと変わって、この作品はアメリカンハイスクール青春物語です。
超能力を持つ一族の末裔の高校生・穂津見霖(ほずみりん)は全米No.1コーチと呼び声高いグイド・モレリに見出され、バスケットボールの英才教育を行うキャンプに参加する為、一人渡米しアメリカ合衆国イリノイ州のイーストハミルトン高校に編入する。
そこで生徒会長のジューンや義弟で頭もさることながらあらゆるスポーツの天才キングに出会う。
またキャンプでは初めてのアジア人に白人から嫌がらせされたり、黒人からかわれたり、チームにも馴染めずビクビクしてしまう。練習レベルに付いていけず、つい近付いて来たグルーピーの女にパーティですすめられたドラッグをやってしまったり、ボロボロの精神状態になるものの、生徒会長のジューンの言葉とコーチの言葉から徐々にアメリカでの生活にもキャンプにも慣れて来て、キャンプの黒人ジョーカー達とも仲良くなっていく。
霖が立ち直った頃、日本で猫かぶりしつついい加減な高校生活を送っていた従兄弟(実は異母兄)零も目標をハーバード大学に定め、進学の為に霖のいる高校にやって来る。そこに一番の能力者で霖にしか懐いていなかった小学生の蕾が強引について来る事になってしまう。
夏休みにはみんなでキャンプに出かけ、そこで絡んできた大学生と揉めたり、零に片思いしていた女子がジョーカーといい感じになったり、ジョーカーが犯罪の濡れ衣を着せられ彼の育ったスラムの現状を知ったり、青春とスポーツと恋と人種差別までアメリカの高校生の生活が垣間見れる物語です。クライマックスはバスケでレギュラーになった霖がキャンプ最後にキングと対決する試合が見どころ。またその後、夏の揉め事と人種差別、一族の問題のせいで生命の危機に陥ったり…とにかくドラマティック&ダイナミックな物語です。主人公の恋の行方も良かったですが、プレイボーイだけど一族の呪いで血族しか愛せない零と蕾の未来を予感させるラストも良かったです。
複雑だけど兄弟の絆、ブロマンス的要素も楽しめる本作は少し古い作品ですが、前シリーズと合わせてオススメです。