Puddles Pity Party

Puddles Pity Partyのレビュー・評価・感想

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Puddles Pity Party
9

悲しげな道化の驚くべき美声Puddles Pity party

Puddles Pity partyは、もともとバンド活動していたマイク・ジェアというシンガーの道化姿での名称です。2017年、アメリカのオーディション番組でシーアの「シャンデリア」を歌って観客を総立ちにさせました。基本的にアメリカ国内でライブ活動、またはYou Tubeで公開していますが、必ず名前を書いたスーツケースを持って無言で登場し、表情は悲しげ、もたつくしぐさで観客の笑いをちょっとだけ取りながら、歌いだすとその美声に笑いは歓声と拍手に変わります。
オーディション番組では2回戦で落ちてしまったので、公式にスポンサーがつくこともCDデビューもなかったのですが、ギターやハーモニカを駆使して歌う器用さもあり、現在もカバーでさまざまな曲を披露しています。例えばLeonard ChoenのHallelujaを歌うと、これは楽曲のつくりがそうだからとも思いますが、とても叙情豊かに歌いあげてまるで演劇の舞台を見るような感じがします。声質も甲高くなく、いつまでも聞いて飽きない語るような歌い方で、それでいて2メートルを超える長身の彼のパワフルな声量は圧倒的です。売りがsad clownなのであまり明るい歌は歌いませんしそぐわないです。The sound of silenceでは歌詞のなかのやりきれない世界を十二分に感じさせてくれます。どの曲ももはやカバーというより彼の持ち歌のように聞こえます。大きく白塗りで見た目は奇妙ですらあるPuddlesですが、正統派のシンガーでパフォーマーでミュージシャンであり、日本であまり知名度もない上、CDが出回っていないのが本当に惜しいです。