さよならの朝に約束の花をかざろう / さよ朝

さよならの朝に約束の花をかざろう / さよ朝

『さよならの朝に約束の花をかざろう』とは、2018年に公開された日本のファンタジーアニメ映画である。「P.A.WORKS」が制作を担当し、「岡田麿里」が監督を務めた。この物語の内容は、普通の人間よりも遥かに長い寿命を持つ少女「マキア」が、普通の人間の赤ん坊「エリアル」を拾い、様々な困難を乗り越えながら育てていく物語である。長寿の母とそうではない息子との物語を描いた本作品では、「愛」や「命」の尊さが繊細かつ美しく表現されており、鑑賞した人々に大きな感動を与えた作品として評価されている。

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さよならの朝に約束の花をかざろう / さよ朝
10

岡田磨里が描ききった、限りなく透明度の高い「愛」の話

人気脚本家・岡田磨里の初監督作品、というパワーワードがどうしても先行してしまう本作。クリエイター自身へのイメージ・先入観も強いため、正直それほど期待値を上げずに見に行きました。……が、良い意味で本当に最高の形で期待を裏切ってくれました。
若い姿のまま数百年を生きる長寿の一族「イオルフ」の少女マキア。思わぬ敵の襲撃により故郷を追われ、ひとりぼっちでさまよう先で出会ったのが親を殺された赤ん坊の男の子。その子をエリアルと名付け、自分が母となり、育てることを決意したところから話は展開します。
先述したように、マキアは外見的に年をとりません。普通に年を重ねていく息子と、15歳の少女のままの母。最初は「親子」だったふたりは、年齢を重ねるにつれ、見た目がどんどん逆転していき、それに伴い、ふたりの関係性、心中も複雑に変化していきます。血のつながりの有無だけがすべてではないのに、誰よりもたくさんの愛情を注いでいるのに、どうしても、ただの親子にはなれない。その切なさ、苦しさ、でも絶対的な「帰る場所」である大きな大きな存在感。そのあたりの(切なくなりすぎず、恋愛脳的な軽い話にはせず、という)描き方は、本当に岡田磨里やっぱりすごい!と感服するしかありませんでした。
ファンタジー要素も多分にある作品ですが、設定がややこしい、難しいと思うことは一切ありませんでした。P.A Worksが作るアニメーションのクオリティももちろんですが、そのあたりにも、脚本家・岡田磨里の手腕が存分に発揮されているのではないかと。
そして、エンドロールでは「演出」に長井龍雪さんのお名前も。チーム秩父(でいいのかな?)が集合しているんだな、ということもわかり、物語の奥行き(演出の上手さ)が圧倒的だった理由もわかりました。
とにかく、素晴らしい作品でした。アニメファン以外の方に、ぜひだまされたと思って見てみてほしいです。