君の膵臓をたべたい / キミスイ / I Want to Eat Your Pancreas / Let Me Eat Your Pancreas

君の膵臓をたべたい / キミスイ / I Want to Eat Your Pancreas / Let Me Eat Your Pancreas

『君の膵臓をたべたい』とは、住野よるの青春小説。略称は「キミスイ」。2016年に本屋大賞で第2位となるなど高い評価を受け、2017年に実写映画化され、2018年にはアニメ映画にもなった。
映画の監督は月川翔、脚本は吉田智。浜辺美波と北村匠海のダブル主演である。原作とは異なるのは、原作にはない12年後の世界が描かれている点である。山内桜良を浜辺美波、「僕」を北村匠海が演じている。そのほか、小栗旬や北川景子らが出演している。
ちょっとしたことから桜良の死ぬまでにやりたいことに付き合わされるはめになった「僕」。桜良と出会ってから別れが訪れるまで、最初は面倒に思っていた「僕」の心境の変化と人としての成長を、北村匠海が見事に演じている。泣ける映画として話題となったこの作品の見どころは、ストーリーが大きく動く終盤である。なぜ膵臓で、なぜたべたいなのか。一見すると変わったタイトルではあるが、その理由を最後に知ることができる。

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君の膵臓をたべたい / キミスイ / I Want to Eat Your Pancreas / Let Me Eat Your Pancreas
10

彩りを感じられる名作

難病を患い、余命わずかになった浜辺美波演じる「桜良」と、唯一その秘密を知るクラスメイト、北村匠海演じる「僕」が織りなす切ない青春ドラマ。
作画の綺麗さはもちろんだが、人物の感情や想い、成長が画面を通してひしひしと感じられ、色鮮やかに映った。
特に、明暗のコントラストが印象的である。
迫り来る病気の足音におびえながらも人前では明るく振る舞おうとする「桜良」。
しかし、1人になったときにはその恐怖に押しつぶされそうになる。
「僕」という信頼できる人と出会い、限られた時間を一緒に過ごす中で無理矢理の明るさではなく、心から生を楽しむようになっていった。
しかし、楽しい時間は無慈悲にも、通り魔の手によって突然終わりを告げる。
この「桜良」の人生は、リアルを生きる私たちの人生と大きく違わないだろう。
楽しいことが永遠と続くわけでもなく、かといって苦しい出来事が永遠と続くわけでもない。
人の命に絶対はなく、何かの拍子に突然こぼれ落ちてしまう命も存在するのだ。
この等身大の「桜良」の人生が、私たちを作品により引き込んでいく要因だと思う。
ぜひ、自分の人生を振り返りながら見ていってほしい。