座敷娘と料理人

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座敷娘と料理人
9

心温まる日常。神様専属料理人。

「座敷娘と料理人」(著:佐保里)のストーリーは、バイト先の先輩に教えられ「住み込みで田舎で神様のお供えものを作るバイト」を請け負う。その額、なんと一週間で100万円。貯金が趣味の主人公、菅波多緒(通称タオ)には魅力的だった。そうして移り住んだ、バイト先の日本家屋。そこで神様——「姫さん」に料理をつくりながら暮らすことになる。姫さんは美味しいものが大好きで、タオの作るものを「美味じゃ! 」と言って食べるさまが非常に可愛らしく、心温まる。また姫さんだけでなく、近くのお稲荷さんの眷属の狐、金華、その妹弟たち、その「上の者」である万時も屋敷を訪れ、あるいはお稲荷さんの境内でピクニックとして料理を食べるようになる。しかし、そんなのんびりスローライフを過ごす中とある異変が起きるようになっていた。タオのみ、お屋敷や姫さんに関する事に限ってだが、時折タイムスリップのような現象に見舞われるのである。一見楽し気にみえる姫さんがこれまでであった事柄、切ない過去を垣間見る中で、タオは万時の助言を受け、ある可能性に気が付く。それは、「屋敷は姫さんのために作用する。タオを取り込もうとしているのかもしれない。早く姫さんの願いをかなえることだ」というもの。さて、姫さんの「タオの願い事を叶えてやりたい」という願いにタオはどう動くのか——。
ほっこりスローライフ×ファンタジー、とってもお勧めです。2020年三月に四巻で完結済、手に取りやすい巻数です。