ドラゴン・タトゥーの女

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ドラゴン・タトゥーの女
10

ドラゴン・タトゥーの女

ストーリーとしては数十年前の失踪事件の調査を依頼されたジャーナリスト・ミカエルが、パンクロッカーのようないでたちの女・リスベット(ドラゴンタトゥーの女)とともに事件の真相を追うというミステリーサスペンスものです。
この映画の魅力の一つは過激な描写です。デビット・フィンチャーが監督をしているだけあって、どのシーンにも常にビリビリした空気を感じます。金のために支援所の男にリスベットがレイプされるシーンは衝撃的ですが、それ以上に彼女が彼にする復讐は想像を絶するものでした。
もう一つはラストシーンです。怒涛のような展開を潜り抜け、最終的にはミカエルとリスベットは真犯人を見つけて事件を解決します。すべてが大団円で収まりハッピーエンド…と思った最後の瞬間、最後のシーンだけが恐ろしく切ないのです。眉を剃り、ピアスを顔中につけ、それまでほとんど人間らしさを見せてこなかったリサベットが最後の一瞬だけ切ない表情を見せるのです。人を信じず自分だけで生きてきた彼女は事件の調査を通してミカエルの優しさに触れ、もしかしたら彼と一緒に人生を歩んでいけるかもしれないという希望を無意識のうちに抱いていたのです。ところが最後のシーンでその希望は幻であると気付き、冬の街を一人去っていきます。
繊細な人にはあまりにも過激であまりにも振れ幅が大きい映画だと思います。ですが、だからこそこの映画が素晴らしいと思うのです。