のみとり侍

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のみとり侍
7

ただのエッチな映画ではない

猫のノミ取りをすることを口実に、女性に性的な奉仕を与える「のみとり」という仕事を扱った、かなりきわどい内容です。大真面目な顔で覗きを行う阿部寛とか、意外に大胆な演技を見せる前田敦子とかが見どころではあります。
でもただのエッチな映画として捉えることは、大きな間違いで、意外に深いテーマを持つ映画だと思います。
阿部寛演じる小林という侍は、ただただ真面目に主君のミスを指摘しただけなのに、それで松重豊演じる主君の逆鱗に触れて役職を解かれ、「のみとり」の立場に落とされます。現代世界でも、同様に正しい指摘をしただけなのに、それで上司の怒りを買い、うとまれるだけならまだしも、左遷されるサラリーマンがどれだけいることか……。そういう意味で、現代的なテーマを含んでおり、仕事に悩む社会人にお勧めです。
最後の最後、主君は心を入れ替え、小林の苦労と献身は報われます。現実にはすべての苦労が報われるわけではありませんが、小林と、そして主君の晴れやかな笑みに、こちらの心も晴れやかになりました。
「のみとり屋」の女将を演じる大竹しのぶをはじめ、ベテラン俳優勢が大真面目に妙な役を演じているという意味でも、なかなか得難い映画です。