ジョジョ・ラビット

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ジョジョ・ラビット
10

可愛らしさと残酷さが素晴らしいバランス

冒頭部分は、少年の目を通したナチスエージェントの異常なキャンプの様子で、不安な気持ちにはなった。可愛らしい演出とジョジョ少年の愛らしさ、カメラワークとブラック・ジョークで悪趣味なゆるふわ映画だったらどうしよう…。
しかし、その心配も強くて美しい母親・スカーレット・ヨハンソンの登場で拭われた。ダサ可愛い衣装もスタイリッシュに着こなす、硬そうな筋肉と強い目をもった美しくて明るい母親。様々な葛藤も、少年の前では見せずに堪え、でも恋のすばらしさを語る色気ある女性像にくぎ付けになる。

きちんと世の中は狂っていて、悲惨なことが起きていて、その中でも信念を貫く母親と、家に隠れていたユダヤ人の少年。どんな時代でも人は恋をする。どんな時でも恋はつらくて、でも素晴らしくて人に強さを与えてくれる。
悲しい別れと恋を通じて急激に大人にならざるをえない少年を取り巻く残酷すぎる環境。せめて、少女が隣にいてくれたらいいのに。。。とこちらも、亡くなった母親に代わって少しぐらいジョジョ少年を甘やかしたくなる。それもすべて最後に出てくるリルケの詩とデヴィット・ボウイのherosで全てが昇華されていく。大丈夫、大丈夫って、少年と自分に言い聞かせてしまう。