湿地

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湿地
5

湿地を観た感想

ヒットした小説を原作としたサスペンス映画ということで、かなり期待して観始めましたが、全体として、非常に地味な映画です。
ことの発端は、アイスランドのアパートでホルベルクという男性の遺体が発見されるところから始まります。ホルベルク(とその仲間たち)はかなりの悪党です。最終的に30年前のレイプ事件の真相にいきつくわけですが、ホルベルクは特殊な遺伝性の病気の保因者で、そのことがヒントになって、これまで事件とは関係ないように描かれてきた出来事が、ひとつの線につながっていきます。
「湿地」というタイトルが示す通り、とてもジメジメとした話です。映像もなんだか退廃的な感じで、普通のカラー映像だったはずなのに、観終わったときはモノクロのフィルムを見ていたような気分になりました。主人公である刑事のエーレンデュルは、おそらく仕事熱心な人なのでしょうが、気性が荒くて怖いです。ただ、娘であるエヴァとのやり取りには愛が感じられました。この映画で唯一の温かな描写ではないでしょうか。個人的には、エーレンデュルの食事シーンがやたらと印象に残りました。「今日の夕飯は羊の頭にしようかな」という感覚は、ほとんどの日本人にはないと思うので…。