蒼山幸子

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蒼山幸子
9

か細さの中に伝わる力強さ

声には儚さが漂い少し弱いように感じるが、その言葉の伝え方・歌詞の生み方が蒼山らしさ、独自の世界観を作っている。その儚さの中には現実感を感じることの少ない青春であったり、孤独感をまとっている青年期の孤高さが表現されている。彼女の歌詞にはそのような表現が多く、「バニラ」という作品ではその蒼山の世界観をCaviar所属の映像ディレクターである志賀匠がうまくアニメーションに、しかもドット絵でのアニメーションという形で捉えている。
この「バニラ」という作品のミュージックビデオはよくあるドット絵にありがちな強い色を使った作品ではなく、「いま」を現した柔らかい中にも主張の残る色使いであるパステルカラーを軸にしたいわゆる「洋物ゲーム」の色遣いをしている。彼女・蒼山の作る歌詞とこの色使いの表す『どこか非現実なのだけど心象を表すあやうさ』。これがふわふわとした中にも心に残り、劇中の彼女の非現実さ、特にその目の表す記号として彼女の入る世界が、蒼山の感じている儚さ・悲しさやこれから前向きに行こうとする気持ちの高ぶりをあらわしている。また欠けることで創造力を高めてくれるドット絵の美しさもあらわしている。欠けた感情だからこそ、この欠けた線の捉えた彼女にこれほどまでに心情を共感し、現実味を感じているのかもしれない。