織田シナモン信長

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織田シナモン信長
7

織田信長が現代に生まれ変わる。犬として。

織田信長が現代に生まれ変わる、というと壮大な物語が始まりそうなのに、この織田信長は普通の日本人女性に飼われる一匹の無害な柴犬。しかも、付けられた名前はシナモン。

これだけでシュールな上に、脳内で織田シナモン信長が入れるツッコミは強力で、自分が犬として散歩しているのを前世の姿で想像し、全裸の信長が女性に首輪をつけられ、四つん這いで歩くという酷すぎるもの。
生まれ変わったのは信長だけではなく、伊達政宗や武田信玄、他にも名だたる名将が集いますがどれも日本で飼われる犬、という徹底ぶり。

見た目は犬たちが楽しく遊んでいるだけなのに、前世の姿で想像されると屈強な裸の武将たちが駆け回っているという地獄のような光景。
こんなシュールなギャグをゆる〜く描かれると、思わず肩の力が抜けてしまいます。

しっかり犬として生きる織田シナモン信長は、欲望や習性には抗えないにも関わらず、人間としての記憶や誇りを半端に持っているため、人の言葉がわかるゆえに作り出すおかしな状況が愉快で思わず脱力します。

織田シナモン信長を犬としか思っていない飼い主は、意識としては人間の男性であるということがわかるはずもなく、無節操にだらだらとする姿を見せます。それを受けて織田シナモン信長は「ワシの時代では…!」と往時を振りかえり、現代とのギャップに物申してみたり。

犬の姿で昔を語り合う武将たちは、おっさん、またはただの犬のそれで、可愛いのやらむさ苦しいのやら、混乱しながらも愉快な作品です。