辺境の老騎士 バルド・ローエン

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辺境の老騎士 バルド・ローエン
9

最高にかっこいいおじいちゃん

騎士として生涯を人民のために尽くし、本人の意思によらず絶大な信頼と人望を得た老騎士バルド・ローエン。
この肩書だけでもすでにかっこいいのですが、あまりにも周囲から見た自分の存在が大きくなりすぎたことで、その存在が争いに利用される未来を見据え、彼は決意します。家族はなく弟子は立派に育った、体にもガタが来ていて寿命もそれほど長くないだろう、と棋士を引退し住んでいた館と財産を返上。生涯最後の旅を始めます。
その心持ち、生き様はどこまでもかっこいいです。
年齢を重ねて昔ほどの体力や耐久力がないとはいえ、無敗の騎士と呼ばれた腕は並の戦士よりはやはり上のまま。軽々しく人の事情に顔を突っ込んだりはせずとも、時に命をかけて悪徳者を討つ若者たちの最後を見届けたり、無実の罪に問われた職人を救うなど、勇姿が垣間見れます。
騎士としての誓いを王や国ではなく人民にたてたその信条は健在で、大人の事情をわかった上でしっかりと恥じぬ行いを貫きながらも、自分の手が届く範囲の人を救う姿は、彼が英雄視された歴戦を物語っています。
キャッチコピーの「死出の旅、それは世界中で語り継がれる冒険の始まり!!」は、物語を読む前から彼が伝説となる未来を語っていますが、結末がわかっていたとしてもなお、彼の道中は魅力的です。