鷹の師匠、狩りのお時間です!

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鷹の師匠、狩りのお時間です!
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日本唯一?鷹匠漫画

作者にして語り部にしてメインキャラクターのごまきちさんは、鷹と狩りをする本物の鷹匠です。
本作は、なかなか知ることのできない鷹匠という専門職のことを教えてくれる、珍しい漫画です。
「鷹匠とは、タカが獲物を探すための都合がいい木であり、飛び立つ時も助走をつけるように送り出す」という役割で、ごまきちさんは相棒のオオタカを”師匠”と呼び、それはただのニックネームなどではなく、実際に敬うべき目上の存在として接しています。
鷹匠は世界中にいますが、上記の「助走をつけるように送り出す」という「羽合せ(あわせ)」は日本特有のものらしいです。海外の鷹匠が持つ専門技術にどのようなものがあるかまでは作中で語られていませんが、鷹を尊重し力となりサポーターに徹しようとするその姿勢が、日本の鷹匠が昔に編み出した職人技であるというのはなんとも素敵であると感じます。
ごまきちさんの相棒にはもう一羽、ハヤブサがいます。
鷹とハヤブサそれぞれの狩りを「鷹はアサシン、ハヤブサは戦闘機」と表しその違いの解説もわかりやすいです。
そういった彼らの魅力だけではなく、リアルな問題についても説明がありました。
1600年を超える素晴らしい文化と伝統があるものの、資格や免許があるわけではなく、知識も自覚もないまま鷹を飼う事で野生動物や環境に悪影響を与えてしまう方もいるのだとか。
密猟の問題にも触れ、決して綺麗事だけでは語れない彼らの事情をひろめんとするこの漫画には、ごまきちさんの確かな愛を感じます。
今のところ具体的に何かの力になれるわけではなくとも、せめてこの漫画で語られることを知っておきたい、と思います。