Bloodborne / ブラッドボーン

『Bloodborne』とは、2015年3月26日にFromSoftwareによって開発された、クトルゥフ神話を彷彿とさせるアクションRPGである。
19世紀ビクトリア時代の特別な治療を行う奇妙な街ヤーナムを舞台に「未知との遭遇」「バトルの死闘感」「ユニークなオンライン」がポイント。主人公は医務室のような場所で治療をうけている場面から始まり「青ざめた血を求めよ」とだけ言われ物語が始まる。
血と獣の病、宇宙との接触、生まれや血統といったテーマが交じり合い深く物語に没入することができる。
同じFromSoftwareから発売された同系統の『デモンズソウル』や『ダークソウル』と世界観やファンタジー性の方向は同じだが、大きく異なった点がある。従来のゲームには盾を用いた戦闘が一般的だったが、今作において盾の概念は存在せず、回避行動に重きを置かれている。「リゲイン」という仕様が本作から採用されてるため、被弾後のリカバリーのため、より攻撃的なプレイが求められる設計である。そのため戦闘のスピード感が増しており本作のコンセプトである「バトルの死闘感」を強く演出している。

kazub1b5のレビュー・評価・感想

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Bloodborne / ブラッドボーン
8

高難度アクションとコズミックホラーの融合!

『Bloodborne』は、2015年に『Demon’s soul』や『Dark soul』等といったソウルシリーズ、『SEKIRO: Shadows die twice』を開発したフロムソフトウェアと、SCEがタッグを組んで開発したコズミックホラー系アクションRPGです。病気の治療のため、医療の町として有名な古都「ヤーナム」に訪れた主人公は、そこで「血の医療」と呼ばれる処置を受けた後、「獣狩りの夜」と呼ばれる、人が発狂し獣の姿に変貌する夜に目を覚まします。そして主人公は獣と化した者を狩る「狩人(ハンター)」として、「獣狩りの夜」、そして古都ヤーナムに隠された神秘を解き明かすため奔走することになります。
※コズミックホラーとは?
『宇宙的恐怖』とも呼びます。人間の理解を超えた宇宙的存在や出来事に対峙した人間の恐怖を描くホラージャンルです。
特にH.P.ラヴクラフトの『クトゥルフ神話』シリーズが有名なジャンルです。ホラーに詳しくない方でも、『クトゥルフ神話』という作品を聞いたことはあるのではないでしょうか?
『Bloodborne』では、上記のクトゥルフ神話を踏襲した設定や、クトゥルフ神話に登場する神等をモチーフとしたボスキャラ等もおり、宇宙的恐怖作品の入り口としてもおすすめです。

魅力1 美しい街並みと、コズミックホラーならではの雰囲気が最高!
『Bloodborne』は、19世紀のヴィクトリア朝を舞台にしています。物語の舞台となる「ヤーナム」は、古都らしく煙突やガス灯等といった近代的なモチーフが多く採用されており、現実の近代ヨーロッパのような街並みをPS4のグラフィックで堪能することができます。近代の煉瓦建築等がお好きな方には探索だけでも十分に楽しめる出来栄えとなっています。
また、本作は同社のソウルシリーズとは異なる点として、ホラーテイストな作品に仕上がっています。作中の時間帯は夕方~深夜のため、全体的に薄暗く湿った雰囲気です。近代建築の街並みだけではなく、薄暗く毒蛇の潜む森や、謎の儀式を行う老婆が蔓延る墓地など、ホラースポットも多く存在します。また、ストーリーが進むにつれて、コズミックホラーらしい超常的な存在も敵として立ちはだかります。大量に目玉のついた巨大なハエや豚、脳髄を吸い出そうとしてくる老婆、アーモンド形の頭部をした6本腕の巨大な怪物、視線があっただけで発狂する頭の膨れ上がった女等……。「生理的にダメ!」と感じる敵キャラもいますが、常人には理解しがたい超常的な存在として作品のコズミックホラー感をより強く演出しています。ホラーゲームを楽しみたい方や、クトゥルフ神話シリーズのファンの方にもおすすめです。

魅力2 手ごたえのある高難度、スタイリッシュな戦闘アクション!
『Bloodborne』の開発元である「フロムソフトウェア」は、いわゆる「死にゲー」と呼ばれる高難易度作品が特徴のメーカーです。本作もその例に漏れず、「死んで覚える」高難度アクションゲーとなっています。
本作がいかに難易度の高い作品であるか、事例を紹介しましょう。
『Bloodborne』には、ボスキャラを初めて撃破した際に取得できるトロフィーが存在します。最序盤のボスキャラである「ガスコイン神父」というキャラクターの撃破トロフィー取得率は……2020年2月時点で45.7%! なんと購入者の半数以上が、最序盤のボス、もしくはそこへ行きつくまでの過程で詰まってしまう……。そんな難易度となっています。
ですが、そこを乗り越え、ボスを撃破したときのカタルシスは他のアクションゲームではなかなか得られません。何せ、「何度も死んでやり直し対策を練り、その末に撃破する」という過程を踏んでいますから、その分達成感は何にも代えがたいものになります。ごり押しによるラッキークリアもほとんどありませんので、積み重ねた経験がボスを撃破したときの満足感はひとしおです。
また、高難度なだけでなく、戦闘シーンも非常にスタイリッシュでカッコいいものになっています。
獣と化した人々や、異形の存在と戦う上で、防具はほとんど役に立ちません。そのため、本作はステップやローリングで相手の攻撃をかわしながら、その隙にこちらの攻撃を当てていくような戦方が基本になります。当たればひとたまりもないような攻撃を紙一重でかわし、こちらの攻撃を当てていく……プレイを横から見ているだけでも、非常にスタイリッシュな戦闘が楽しめます。また、単純に武器を振るだけの攻撃だけではなく、溜め攻撃や武器を変形させての攻撃等、様々な戦い方が存在するため、戦闘がマンネリ化することもありません。
特に本作のアクションで欠かせないのは「リゲイン」、「パリィ」、「内臓攻撃」です。
「リゲイン」とは、「攻撃による体力回復」のことです。
本作では攻撃を受けた場合、受けた数値分のダメージをそのまま受けるのではなく、暫定ダメージという形でいくらか一定時間の間保留されます。HP100で50ダメージの攻撃を受けた場合、そのままHP50になるのではなく、HP50+保留HP20といった形になります。この状態で相手に攻撃を当てると、最大で保留分HPまで回復をすることができます。例えば、50ダメージの攻撃を受けた後、すぐに相手に攻撃を与えると20HP回復するような感じです。本作はこのシステムのため、積極的に攻撃していくことで戦いやすくなります。(もちろん、ごり押しすればすぐに死んでしまうのですが(笑))
「パリィ」、「内臓攻撃」はBloodborneの戦闘の中でも特に重要視される戦闘システムです。
パリィは発動条件が2つあり、「①相手の攻撃が当たる直前に、銃撃を当てる」、「②相手の背後から最大溜め攻撃を当てる」のどちらかで、パリィが発動します。パリィが発動した場合、相手は大きく姿勢を崩します。
そして、姿勢を崩した相手に近づいて攻撃を行うと……相手に手を突き刺し、内臓を抉り抜く「内臓攻撃」が発動します。字面だけでもう痛そうなのですが、その攻撃名の通り、内臓攻撃が発動すれば非常に大きなダメージを与えることができます。雑魚キャラについては、内臓攻撃を当てればほとんど1発で倒せます。また、ボスに対してもパリィ、内臓攻撃を使用することができ、一部のボスはパリィを駆使することで各段に撃破しやすくなります。一方で、パリィ条件が特殊なボスや、そもそもパリィが発生しないボスもいます。個人的にはすべてのボスに対して内臓攻撃ができたらよかったと思います(笑)
相手の攻撃が当たる直前に銃撃を当てることが発動条件なので、パリィが失敗すればそのまま相手の攻撃を受けてしまいます。まさしくハイリスク・ハイリターンの大技といえるでしょう。
相手の攻撃をステップ、ローリングで華麗に回避し、隙に攻撃を差し込んでいく。攻撃を受けたらリゲインで回復し、相手の動きを見切り銃撃でパリィを取って内臓攻撃で仕留める……まさしく狩人(ハンター)の名にふさわしい戦い方ができます。他にはないBloodborneの魅力と言えるでしょう。

魅力3 武器がかっこいい!!!
狩人の使う武器も非常にカッコよくスタイリッシュです。狩人は伝統的に「左手に銃、右手に変形する武器」を持って戦うのですが、主人公も同じように銃と変形する武器を持って戦います。
ひとえに変形する武器といっても様々です。最初の武器として選択できる変形武器は3種類あります。「ノコギリ鉈」、「獣狩りの斧」、「仕込み杖」です。ノコギリ鉈は変形前は小ぶりなノコギリですが、変形すると大振りな鉈になります。獣狩りの斧は変形前は小ぶりな片手斧、変形後は柄が伸び大きな両手斧になります。著者イチオシの仕込み杖は、変形前はただの杖ですが、変形すると持ち手の下の部分が蛇腹状のノコギリ鞭になります! 武器ごとに特徴があり、「そんな変形するの!?」と言わんばかりの武器もあります。また、攻撃中にも武器を変形させることができますので、よりスタイリッシュな戦い方を追求することも可能です。種類も様々あり、正統派な剣や、電気を纏う棍棒、日本刀から果ては車輪まで……。自分の好きな武器を使って戦闘を楽しむことができます。
銃についても様々です。最初の銃として選択できるのは「獣狩りの短銃」「獣狩りの散弾銃」という、拳銃とショットガンのみですが、ストーリーが進むにつれて銃器のバリエーションも増加します。
拳銃やショットガンのほか、二連装銃やライフル、火炎放射器や大砲、ガトリング銃まで存在します。パリィの取りやすい銃や、銃撃で大ダメージを与えられる銃など、銃ごとの性格も異なりますので、自身の戦闘スタイルが広がること間違いなしでしょう。

魅力4 考察が捗る!
「フロムソフトウェア」のRPG作品は、作中で明確なストーリー解説が存在しないことが特徴です。そのため、プレイヤーはゲーム内に存在する書物・文献や、NPCとの会話、武器やアイテムの説明文等からその世界観・ストーリーを把握していくことになります。
『Bloodborne』もその特徴に漏れず、主人公はいきなり病院のベッド上で目が覚め、ストーリーが始まります。プレイヤーはヤーナムを探索していく中で、物語や世界観を把握していくことになります。
その性格から、プレイヤー毎に世界観・ストーリーの考察が違います。「Bloodborneはどういった物語なのか?」 プレイヤーそれぞれの解釈があり、ストーリーがあるということです。
「はっきりしたストーリーが欲しい!」といった人には不親切な作りですが、「ストーリーや、世界観について考察したい! ほかのプレイヤーと語り合いたい!」といった人にはおすすめです。
いかがでしたでしょうか?
ゲーム、ストーリーともに難易度の高い作品ですが、それだけにプレイ面でも考察面でも、奥の深さはゲームの中でも随一です。
ゴシックホラーと宇宙的恐怖の混ざり合った独特なホラーアクション、せひプレイしてみてください!