きみに読む物語 / The Notebook

きみに読む物語 / The Notebook

2004年制作。アメリカ映画。出演のジーナ・ローランズは本作でゴールデン・サテライト賞助演女優賞を受賞した。療養施設にいるデュークは、認知症の老女に物語の読み聞かせをしている。その物語とは、1940年代のある若いカップルの話だった。話を聞くうち、老女は時折記憶を取り戻す。原作はニコラス・スパークス。

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きみに読む物語 / The Notebook
8

見終わったあと、あなたは誰を思い浮かべますか?

ある施設に暮らしている、アルツハイマー病で過去の記憶がなくなってしまった高齢の女性。そんな彼女のもとに定期的に通う男性。その男性が、女性にとある物語を読み聞かせている。
そんなシーンから物語はスタートする。
時代は1940年、家族と過ごすためにひと夏だけやってきたアリーという少女が、地元で働くノアと恋に落ちてしまう。このアリーとノアが、冒頭で述べた女性と男性なのです。アリーの両親は家柄も良くないノアとの交際を認めず、夏が終わると2人は離れ離れに。その後アリーが別の男性と結婚を目前として過ごしている中、再びノアと出会い、2人は愛し合う、そんなストーリー。
アリーとノアの恋物語を、年齢、そして環境の変化とともに描くこのラブストーリーからは、男性・女性、未婚・既婚・離婚、恋愛中、そして世代の違い…とその時に置かれる環境によって「恋」「愛」の感じ方がまったく違い、そのどれもが大切な経験であることに気付かされる。見ている私たちも、男性・女性、未婚・既婚・離婚、恋愛中なのか、子供がいるのか、などによって物語の受け止め方が変わるのだ。
映画で表現されている、10代・多感な時期のアリーとノアの情熱的な恋愛。20代で突きつけられた、貧困と富裕層という二人の間に立ちはだかる高い壁。再び再開した際にぶつけ合った、怒りや悲しみという感情。そして改めて感じた、相手を想う愛おしい気持ち。二人で一緒に迎えた最期の瞬間。人を愛することの楽しさ、嬉しさ、悲しさ、悔しさ、怒り、繊細さ、そして偉大さ。
映画を見終わった最後には「歳を重ねた時に、誰と一緒にいたいのか」「自分の時間を、誰のために使いたいのか」「こんな最期を迎えられたらどれだけ幸せだろうか」、そんな気持ちにさせてくれる映画です。