James Blake / ジェイムス・ブレイク / Harmonimix

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James Blake / ジェイムス・ブレイク / Harmonimix
10

2010年代以降の最重要ミュージシャンの一人

ジェイムズ・ブレイクは1988年にイギリス・ロンドンで産まれた、シンガーソングライターである。2011年にデビューアルバム『ジェイムス・ブレイク』をリリースし、R&Bミュージックと最新のダヴミュージックを融合したこれまでにない新しいサウンドで注目され、英国内で最大の音楽賞であるマーキュリー賞にノミネートされた。2013年に発表した2作目のアルバム『オーヴァーグロウン』では同マーキュリー賞で大賞に輝き、その年の第56回グラミー賞でも最優秀新人賞にノミネートされた。他アーティストへのプロデュースにも数多く参加し、2019年までに4枚のフルアルバムを発売したほか、定期的に実験的なサウンドを収録したEPも発表している。
いわゆる「宅録」といわれる自宅での制作環境を駆使して制作されるブレイクの音楽は、ダブステップと美しい旋律の融合を特徴としている。突然の沈黙や普遍的なリズムと、その前衛的なリズム感に反するほどの調和のとれたハーモニクスが最大の特徴である。従来のR&Bやエレクトロ界の特徴であった均一的なリズム感に、アンビエントやダブの特徴である「リズムからの乖離」を取り入れたブレイクの楽曲作りは、それまでの音楽の流れを大きく変えた。実際に2010年以降の音楽シーンに大きな影響を与え、ブラッド・オレンジやフランク・オーシャンやウィークエンドなどのポップな楽曲にもその特徴が引き継がれている。またウェットなビブラートを特徴としたブレイク自身の唯一無二の歌声はほぼ生音もしくは僅かな加工のみで収録され、デジタルによる変声が主流であったエレクトロ界の音楽作りと異なる特徴で、斬新な音楽性ながらも声を最大の魅力として捉えるR&Bの伝統的なスタイルを正当に継承している。重厚なシンセサイザーのサウンドで観客を魅了する、独特のライブスタイルも人気のひとつ。2010年代以降の最重要ミュージシャンの一人である。