スイス・アーミー・マン

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スイス・アーミー・マン
4

偽らない自分の、本当の生き方

無人島での遭難生活に絶望したハンスの前に、まるで多機能ナイフ……アーミーナイフのように様々なことができる死体のメニーが現れる。そんなところから物語がはじまります。
遭難した無人島、迷い込んだ深い森……絶望的な状況にありながらも美しい情景の中で、二人の遭難生活は続きます。その生活はまさに奇抜。しかしどこか懐かしい、子供のころに過ごした夏休みのような自由さがあります。自分の好きなことをして、気の合う仲間たちと騒ぎ、何にも縛られない……そんな生き方がずっと続けば良いけれど、現実ではなかなかうまくいかないもの。自分の好きなことが他人にとって不快なものになってしまうことだってある。人に受け入れてもらえない孤独感はまさに無人島での遭難生活にも似ています。ハンスとメニーもどうやら現実での生きにくさを感じているようです。彼らの感性に共感できない部分もあるかもしれませんが、それもまたご愛嬌。親しい人にしか伝わらないノリが微笑ましくもあります。
誰しも抱えているような葛藤を、奇想天外な遭難生活で描いた作品です。笑いのツボが外れてしまうと退屈かもしれませんが、非現実を生きるハンスとメニーのきらきらとした表情が心に残ります。