うめく排水管

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うめく排水管
7

エスカレートする恐怖感&嫌悪感

伊藤氏はあらゆる恐怖感を描いている漫画家ですがこの『うめく排水管』は氏の作品の中で珍しくスーパー・ナチュラルな要素が少ない作品です。母子家庭で度を越した潔癖な母親の影響で2人の姉妹も潔癖という設定なのですがその姉に思いを寄せる不潔男・滑井という、最も忌み嫌う存在がある意味重要なこの作品のキー・ポイントです。そして、離婚した父親に対しても嫌悪感を抱くという、こんな女が周りにいたならヤダナーと思わせる人物造形を始めとして、家政婦に細々と汚れを指摘する母親など、考えてみればこの漫画に登場する人たちが現実に自分の近所にいたらイヤですし遭遇したくもないですね。そして父親が娘たちに会いたいがために夜中に家に忍び込むのですが、母親がフライパンで撲殺してしまいます。結局、彼女らは口裏を合わせ父親が無理心中をはかろうと包丁を忍ばせていたことにするのですが、その出来事の前後から家の排水管の調子が悪くなりだし業者を呼んで、管のつまりを直すのですが、また調子が悪くなり、排水口からきみの悪い音が…。これは水を吸い込む音とではなく撲殺された父親のうめきなのではと思う妹。それに加えて何ともいえない臭いも漂ってきます。母親は手の洗い過ぎで半狂乱となり救急車で運ばれます。徐々に恐怖が募ってくる雰囲気は圧巻です。ここで触れておかなくてはならないのが排水管のなかの描写が一切なくあくまで姉妹たちだけが恐怖するというこの演出は特筆すべきものがあります。そして、排水管のナカに引きずり込まれる妹。やはり、滑井や父親が排水管のなかにいたんだ!というところでラストという、あとは読者の判断に任せるのでしょうか、恐怖が盛り上がったところで幕とは前述の言葉の繰り返しになってしまいますがこのニクイ演出!