電影少女 / Video Girl Ai / ビデオガール

電影少女 / Video Girl Ai / ビデオガール

『電影少女(ビデオガール)』とは、1989年から4年にわたり週刊少年ジャンプに掲載された桂正和の恋愛漫画である。男子高校生を主人公に、同級生や後輩の少女、不思議なビデオテープから現れたビデオガールの少女との恋愛模様を描いている。
リアルな筆致と心理描写、SF要素が特徴。桂正和の連載作品としては4作目となるが、それまでの作風を一転させ、写実的な絵柄で本格的な恋愛漫画を描くスタイルは、『電影少女』が始まりとなっている。
なお、『ビデオガール』は『電影少女』の元となった読み切り作品のタイトル。

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電影少女 / Video Girl Ai / ビデオガール
10

子供から大人への移り変わりを描いた名作。

正和の最高傑作といえば、この作品を置いては考えられないでしょう。週刊少年ジャンプで連載している頃、僕はまだ中学二年生の14歳ぐらいだったと思いますが、非常に刺激が強い漫画でした。自分自身も主人公のヨウタと同じで全く女性と付き合った経験がなかったので、ヨウタが恋愛経験を積むことによってだんだん人間的に成長していく姿がとても眩しくて、感情移入しやすかったですね。憧れの存在であるもえみちゃんにフラれて後輩の信子ちゃんと付き合うことになった頃はとても瑞々しくてまるで清涼飲料水、カルピスウォーターのような展開に毎週ドキドキして読んでいました。ヨウタにそのきっかけを作ってくれたのがほかでもないビデオガールとして現れたアイでした。壊れたビデオデッキで再生されたために人間に恋をするようになるアイ。ヨウタの恋を応援する役割として現れたアイでしたが、やがて、ヨウタに恋愛感情を持つようになります。ヨウタに彼女ができたことに誰よりも喜んだのはアイでした。しかし、ヨウタの恋愛が上手くいけばいくほど自分の気持ちとの隔たりも感じてしまいます。最終的にはアイに対する恋心とまっすぐに向き合うことでハッピーエンドを迎えますが、一人の男子として成長していくヨウタを見て、自分も頑張っていかなきゃと思う時代でした。少年誌としてはギリギリの描写だったので賛否両論別れる漫画ではありますが、大人になってから読んでも素直に感動できる作品だったと思います。