太平洋の翼

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太平洋の翼
10

人間として学ぶ事が出来る1本

昭和19年6月日米両機動部隊はマリアナ沖にて激突したが、日本の機動部隊の攻撃隊の8割は帰らず、制空権と制海権を失い10月のレイテ沖海戦でも連合艦隊は大敗をしてしまい、後がない日本海軍は「特攻」が謳われたが、その中でも一人の参謀の千田中佐(演:三船敏郎)が、「一部でいいから制空権と制海権を取り戻すことが大切です」と自分の意見を曲げずに太平洋各地から優秀な戦闘機パイロットが集められる事になった。硫黄島のアメリカの包囲網から逃れた安宅大尉(演:夏木陽介)、フィリピンのジャングルから逃れた滝大尉(演:加山雄三)、ラバウルで米魚雷艇をかっぱらい逃れた矢野大尉(演:佐藤充)、を中心として新鋭戦闘機隊は「343航空隊」と名付けられ、機種を零戦ではなく新機種の「紫電改」を装備する最強の戦闘機だった。昭和20年3月19日に松山の空で大空中戦が行われましたが、撃墜60機以上の大戦果を挙げる(未帰還として17機が出てしまった)と、軍令部は受け持ち範囲を広げてくれといい、次々とパイロットが消耗してしまい歴戦の矢野大尉が敵弾に倒れ、4月7日には戦艦「大和」の特攻に直掩機として4機の紫電改が残り「大和」と運命を共にする…この中に安宅大尉の姿もありました。そして、渥美清がいい味を出しています。最後に残された滝大尉はB-29の大編隊に「出ていけ!日本の空から出ていけ!チキショー!」と言って特攻して戦死してしまいました…なんというか何とも人間くさい映画なのです。フィリピンで分かれた清水中尉の最後の零戦での空中戦、たった4機の紫電改でも力いっぱい「大和」を守ろうとする姿、滝大尉と部下の姉との甘酸っぱい雰囲気、矢野大尉の器の大きさ、安宅大尉の部下を思いやる気持ち、千田中佐の信念とこれまた器の大きさ、色々見てみると現代人が欠けている部分が多く表現されているので、とても考えさせられる映画でした。