BANANA FISH / バナナフィッシュ

BANANA FISH / バナナフィッシュ

『BANANA FISH(バナナフィッシュ)』とは、『別冊少女コミック』で連載されていた吉田秋生によるバイオレンスサスペンス漫画。1980年代のニューヨークを舞台に、バナナフィッシュというドラッグをめぐる、ストリートキッズ、アッシュの戦いを描く。ハードな抗争を繰り広げる一方、孤高に生きてきたアッシュが英二との友情を通して人間らしさや愛を覚えていく姿が描かれている。かねてより名作として人気を博していたが、2018年に吉田秋生40周年プロジェクトでアニメ化され、人気が再燃した。

dywbt45のレビュー・評価・感想

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BANANA FISH / バナナフィッシュ
9

ここまで人の心に影響を及ぼすのか

アニメが放送され話題になったBANANAFISH。
私は原作漫画のファンだったのですが、再現率に驚かされてしまいました。多少のカットは仕方のないことですが、ここまで忠実に原作漫画をアニメ化しているものは珍しいと思いました。

あらすじとしては、もともと男娼として生きてきた少年がマフィアのボスに拾われ、自分もストリートギャングとして成長します。そして自分とは生きてきた環境も国も全く異なる少年に出会い変わっていく物語です。
主人公である少年の変化に注目してもらいたいのと同時に、彼にとって出会った少年はどういった存在だったのか。そしてその少年にとって彼はどういった存在だったのかを深く考えてもらいたいです。私は主人公にとって少年は母の様な存在だったのではないかと考えます。
男娼として育ってきて、いつも男性から性的な目で見られたり、大人達に一切守ってきてもらえなかった主人公。同世代の仲間たちはみな彼を恐れたり尊敬したりしていて、気の許せる仲間が少ししかいなかった。そんな中でその少年は彼に対して性的な目で見ることはおろか、年下というだけで主人公のことをやさしく母性の様な暖かさで包み、守ろうとしました。そんな少年に主人公はきっと母へむける愛情の様なものを芽生えさせたのだろうと思いました。逆もしかりで、その少年はつらい過去を無理やり押さえつけ、傷つく事に慣れ、強くあろうとする主人公に対して母性の様なものを持っていたんだろうなと思いました。
周りからは露骨な腐展開など言われたりもしていますが、私はこれを恋情と呼ぶにはあまりにも2人の愛が深すぎるな、と感じ2人の間にそんなセクシャルなものは挟めないと思いました。
私はこの作品を通して自分の生き方、環境、今ある幸せ…とにかくたくさんの『恵』に気付かされたと同時に、周りを取り巻く様々なものへの『愛』に気付きました。漫画やアニメでここまで人の心に影響を及ぼすのか。漫画を初めて読んだ時の気持ちがまた戻ってきました。
この作品のテーマは愛と家族かなと私は思っております。ただし、男娼の表現や露骨な虐殺シーンなどがあるので誰にでもはおすすめはできない作品です。なので評価は9にさせていただきました。上記の内容がOKの方にはぜひ1度見ていただきたいなと思います。