D.Gray-man / Dグレ / ディーグレイマン / D.Gray-man HALLOW / Dグレ HALLOW

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『D.Gray-man』は星野桂による少年漫画。2004年から2009年まで『週刊少年ジャンプ』で掲載され、『赤丸ジャンプ』『ジャンプスクエア』『ジャンプSQ.CROWN』を経て、2018年からは『ジャンプSQ.RISE』にて連載されている。2009年ごろから2023年にかけて度々休載と連載を繰り返している。シリアスな世界観とコミカルな作風が人気となり、2022年には累計発行部数2500万部を記録している。
仮想19世紀末のヨーロッパ。千年伯爵は自ら造り出す兵器「AKUMA」を利用して世界の終焉を目論む。AKUMAを破壊できる唯一の物質「イノセンス」に見出され使用することができる「エクソシスト」達、そしてエクソシストが所属する「黒の教団」は千年伯爵の野望を止めるべく戦いを繰り広げる。
AKUMA化された人の魂が見える目を持ち、左手にイノセンスを宿す少年アレン・ウォーカーは、世界とAKUMAの魂を救済すべく戦争に身を投じていく。
2006年から2008年にアニメ化、2016年には『D.Gray-man HALLOW』と題して前作アニメのストーリーを引き継ぐかたちで再アニメ化された。

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D.Gray-man / Dグレ / ディーグレイマン / D.Gray-man HALLOW / Dグレ HALLOW
8

ダークファンタジーここに究めり。

週刊少年ジャンプで2004年27号に連載を始めた作品です。
主人公の「アレン・ウォーカー」の視点から、世界を終焉【デス】に導く存在「千年伯爵」とそれに対抗する「黒の教団」の戦争を描いています。
舞台は仮想19世紀末とされていますが、現実の19世紀ヨーロッパの雰囲気を散りばめられた作品の世界観は、どこか怪しげで謎めいた「黒の教団」の存在と合致しています。

ファンタジー作品を描くにあたり、読者がどれほど現実を忘れて物語の世界観に没頭できるかはかなり需要なファクターですが、この作品においてそれは作者の強いこだわりと深い考察、そして並外れた画力によって美しく描かれています。
例えば市街地におけるアクションシーンを描くにあたり、町の構図から考えそこにキャラクターを落とし込んで描いているというのです。
建物の雨どいの有無、または行き交う人々の服装に至るまでその時代に沿って考察されていると聞いたときは脱帽しました。そしてそれらを劇的に描き漫画作品として読者にワクワクさせるための魅せ方がとても美しいのです。
登場人物は一概にみな「イケメン・美人」というわけではなく、小太りの男性やひげを生やした中年男性、老婆からピエロまで多岐にわたり、それぞれがすぐに見分けできるほどの書き分けがなされています。
物語としてはもちろんですが、作者の画力の高さは随一だと思います。絵柄が安定しないとの批判も見受けられ、そして事実だとも思いますが、初期作品から紆余曲折を経てどんどん上達してゆく絵のタッチもこの作品(もしくは作者)の魅力なのではないでしょうか。