日曜日はマルシェでボンボン

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日曜日はマルシェでボンボン
9

アムールの国の乙女・ジュリエッタの愛と笑いの成長物語

主人公はちょっとぽっちゃり、豪快で素直で単純で、でもとっても乙女なパリジェンヌのたまご・ジュリエッタ。見たもの、聞いたものにすぐ影響されて、直感と本能の赴くまま突っ走る彼女に恋する一途で聡明なマルタン、子供なのにドキリとしてしまう美男美女のレミにミラたちの恋模様や、人生の苦さを経験しながら大人への階段を少しずつのぼる過程を覗いているような作品です。

彼女たちを見守る大人にも、人には言えない傷や秘密があり、キュンとしたりときめかされます。そんな大人たちにも答えを出せないような社会問題であったり、人生の葛藤や苦悩、忘れかけていた大切な感覚が、子供たちの感性のフィルターを通して描かれていて、胸に刺さります。
私が大好きなエピソードは3巻冒頭に収録された、レミとジプシーの夏の日々を描いたお話。せっかくの夏休み、腕を骨折してしまったレミのギブスに書かれた”MON POTE(ぼくの仲間・友達)”と、ジプシーの少年カイの笑顔に、終盤ぎゅっと胸が締め付けられます。パリ在住の著者が肌で感じたリアルなフランスと、かわかみじゅんこ節とも言える独特の笑いや毒が随所にちりばめられていて、物語は勿論、とにかくかわかみじゅんこの唯一無二の世界観(と老若男女のイケメン、美女たち)にうっとりし、フランス女たちの生き様に心揺さぶられます。ちょっとお高めですが、一読の価値あり!