はじまりへの旅

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はじまりへの旅
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「家族愛」と「成長」と「別れ」の物語

文明社会から離れて森の奥で過ごす、変わった家族のお話しです。
父親ベンは、6人の子供たちとサバイバルな生活をしています。肉体鍛練や狩りはもちろんのこと、毎晩与えられた課題図書を読みこなし知力も並外れています。
母親レスリーは精神の病を患っており、そのために文明を捨てる暮らしを始めたのですが、病状が悪化し町の病院に入院しています。いつもの通り、ベンは買い出しに町に出かけレスリーの様子を知る為に電話をすると、自殺していたことがわかります。ショックを受けるベンと子供たちは、「火葬して楽しく送った後は、公共のトイレに遺灰を流して」という遺言を実行するために、森の奥からニューメキシコの教会を目指して、「スティーブン」という名のバスに乗って2400kmの長旅をします。

父親が絶対だった子供たちは、実は不満を持っていたり、自分の道(将来)を考えていたりすることが長旅で徐々に明らかになります。
頭ごなしに子供たちの意見を否定し続けるベンですが、次男のレリアンは祖父の家で暮らすと言い始め、長男ボウは密かに大学を受験し、いくつもの合格を決めています。更にレリアンを取り戻そうとした娘のヴィスパーが屋根から落ちて、大怪我をします。
ベンは自信を失います。子供たちの為にならないのではないか?レスリーにとって本当に良かったのか?悪化させたのは自分ではないのか?ベンは子供たちを祖父に託し、独りスティーブンに乗って帰ります。しかし、子供たちは実はスティーブンのトランクに乗っていました。そして夜中にレスリーの救出作戦を実行します。