ピアノの森 -The perfect world of KAI- / Forest of Piano / Piano no Mori: The Perfect World of Kai

ピアノの森 -The perfect world of KAI- / Forest of Piano / Piano no Mori: The Perfect World of Kai

『ピアノの森 -The perfect world of KAI-』とは、『ヤングマガジンアッパーズ』で連載が開始された一色まことの青年漫画である。2018年にはアニメの第1シリーズが、2019年には第2シリーズが放送された。
森に捨てられたピアノをおもちゃ代わりにして育った主人公・一ノ瀬海。彼はかつて天才ピアニストと呼ばれた阿字野壮介や、偉大なピアニストの父を持つ雨宮修平との運命的な出会いを経て、世界的なピアノコンクールであるショパンコンクールに挑んでいく。

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ピアノの森 -The perfect world of KAI- / Forest of Piano / Piano no Mori: The Perfect World of Kai
8

ピアノやショパンが好きな方に

森に打ち捨てられた一台のピアノ。そのピアノが一人のピアニストを育てていた。
娼婦の息子として生まれた主人公・一ノ瀬海を中心に、偉大なピアニストを父にもち、海との才能の差に苦悩する雨宮修平、海の指導者で、交通事故でピアニストとしての道を断たれた過去をもつ阿字野壮介など、様々な登場人物のピアノを巡る人間ドラマが描かれています。
海のおかれた環境からピアニストとして大成するのは決して現実的ではありません。しかし、森のピアノという神秘的な存在が非常に幻想的に描かれ、逆に海が生きる世界の厳しさは非常に現実的に、生々しく描かれていることで、あり得ないことも起こりうるような不思議な感覚が生まれてきます。
ショパンコンクールでは、各国代表の様々な音を想像しながら、参加者の中でも群を抜いて聴衆を惹き付ける海の姿に痛快さすら感じます。また、阿字野氏との師弟関係の行方も目が離せません。ハンドドクターの世界的権威が海の将来を左右する案件をもって登場します。海の手に何か問題があるのかと、ハラハラさせられます。
小学生だった一ノ瀬少年と雨宮少年がどのように成長していくのか、ショパンコンクールの覇者は誰になるのか、いろいろな楽しみ方ができる作品です。「ピアノ」、「ショパン」というフレーズに心が反応する方に、ぜひ読んでいただきたいです。