聖☆おにいさん / Saint Young Men

『聖☆おにいさん』とは、2006年1号から『モーニング・ツー』(講談社)で連載された、中村光によるギャグ漫画である。タイトルのモチーフは、電気グループ×スチャダラパーの曲名である。コミックスは20巻刊行され、累計発行部数は2019年5月時点で1,600万部を超えた。2009年に「このマンガがすごい!2009」のオトコ編第1位、「第13回手塚治虫文化賞」の短編賞を受賞した。物語は覚者ブッタと神の子イエスが、東京の立川でルームシェアをする姿を描いた日常コメディである。作中にはキリスト教や仏教のほか、オリンポス神や神道などの民族宗教や地域信仰の神々が登場する。2012年と2013年にOAVが制作され、劇場アニメは2013年5月10日に公開された。映画は映画観客動員ランキング初登場第9位を獲得した。またOAVと映画共に、ブッタの声を星野源、イエスの声を森山未來が担当した。実写ドラマは俳優の山田孝之が制作総指揮、福田雄一が監督と脚本を担当した。ブッタ役を染谷将太、イエス役を松山ケンイチが演じ、2018年に第1作目、2019年に第2作目が動画配信サービス「ピッコマTV]で配信された。その後2020年にはNHK総合で第3作目が放送された。

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聖☆おにいさん / Saint Young Men
10

マンガの世界の三大宗教への挑戦(イスラム教除く)

神の子、イエス・キリストと目覚めた人、ブッダ。キリスト教と仏教において欠かせない2大聖人が共にバカンスを!しかも東京の安アパートで共同生活をしている、という西洋ではタブーともされそうな設定を「ギャグ漫画」というジャンルで描く作者の中村光のセンスが凄過ぎる作品である。
多くの人が知っている奇跡や逸話を実は水が嫌いなイエスとか、セレブ育ちのブッダはちょっとやそっとの金持ちには驚かない、などとクリスチャンや仏教徒の人が読んだらトンデモナイ現代的な突っ込みを自虐的に語ったり、弟子に突っ込まれたり。しかし、それは全く脚色をせずに聖書のままに聖典のまま、オリジナルがもうマンガ的で面白がっている作者のセンスには脱帽ものです。聖書を読んでいると確かに神様の気まぐれぶりに若干、引いてしまうことが度々あります。逆に悪魔たちが健気に見えたりするのは日本人的感覚かな、と思わせます。オリジナルを知れば知るほど作者のお笑いセンスに驚きを隠せませんが、聖書や聖典、他の宗教など知らなくても十分に笑えますし、何よりも不快な感じが無く、くだらなくもおもしろい!と思わせる作品です。世界のタブーをギャグ漫画というジャンルで軽やかに破りながらも決して、触れてはいけないイスラム教の事は一切出さない作者のセンスに尊敬の念を抱かずにはいらせません。