パンプキン・シザーズ

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パンプキン・シザーズ
10

読むたびに気付きと驚きを与えられる、愛すべき哲学書

この漫画は戦争終結後の、「戦災」に苦しむ人々のため、日々懸命に戦い続けて「復興」を目指す、帝国陸軍情報部第3課(通称パンプキン・シザーズ)の物語です。
主人公は大貴族のご令嬢にしてパンプキン・シザーズの隊長、猪突猛進で限度を超えた生真面目さが玉に瑕なアリス・L・マルヴィン少尉。そしてもう一人、戦争帰りで、見上げるほどの長身で傷だらけの大男、ランデル・オーランド伍長。
主にこの二人とその他のパンプキン・シザーズの隊員が「戦災復興」を目指して、問題解決のために東奔西走を繰り返していきます。
個性的で魅力的な数々のキャラクター達、巻を重ねるごとに壮大になり深みを増していく物語、
手に汗握る死と隣り合わせの戦い等々、引き込まれる要素はたくさんありますが、一番に注目する点は、要所要所に挟まれる哲学だと思います。
戦争・差別・正義といった、おそらくはきっと答えの出せない難解で目を背けたくなる問題に、
自分なりの精一杯の答えを出して敵に、時には味方に不特定多数の大勢にと叩きつけていき、
休む間もなくまた新たな哲学へと立ち向かって自分なりの答えを出していく、そんな物語です。
どうにもならない問題から目をそらし、答えを出すことを諦めてしまった大人にこそ読んでほしい作品だと思います。