ハピネス

j_saitouのレビュー・評価・感想

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ハピネス
9

悲しくも可笑しい、人々の性活。

普通の人々の性癖や性活を、毒っ気と哀愁を織り交ぜながら淡々と進む、ブラックコメディ的群像劇です。監督は異彩の人、トッド・ソロンズ。本作はカンヌ国際映画祭で批評家賞を受賞しています。

群像劇ですが、メインとなる人々は5人。それぞれが日々の生活の中、性にまつわる悩みを抱えています。物語である以上、極端な設定に感じるところもありますが、脇役俳優で全キャストを固めているので無理なく、私達が想像するような普通にいる一般の人々に重ね合わせて見ることができると思います。
メインの5人のなかでも強烈なインパクトを残すのが、精神科医として普通に家族と暮らしているビル。彼には誰にも言えない言ってはならない性癖がありました…。好きでこんな性癖もったんじゃない!知らないうちにこうなってたんだ!みんなそうですよね?たまたまこうなっただけ。ビルにとってはそれが、法的にもモラル的にもアウトなため、悩み、苦しんでいる…。そんな深刻な悩み、人が持つ闇をシュールな演出で、切なくも可笑しく見せるのがこの監督は実に上手いのです。
先に脇役俳優と書きましたが、それぞれ個性派として名の知れた俳優達ですので、演技面で違和感など感じることはありません。安心です。(笑)批評家賞を取っていることから分かるように玄人受けの作品ですね。