ストリートファイターZERO(ストZERO、Street Fighter ZERO)のネタバレ解説まとめ

カプコンが1995年にリリースを開始したアーケードゲームシリーズ、及びその移植作。
ストリートファイターシリーズの3作目。
『ストリートファイター』の後、『ストリートファイターII』の前に位置する架空の時間軸を舞台に、CPU戦を勝ち抜いていく。
人気作となり、シリーズ3作品がリリースされ、最終的には総勢39人のキャラクターが登場する大型作品となった。

CPSチェンジャー版『ストリートファイターZERO』のもたらした弊害

当時、カプコンは「CPSチェンジャー」という家庭用ゲーム機を展開していた。これは「CPS」基板をそのまま利用し、家庭用に仕様を変更した商品である。当時のアーケードゲームは家庭用ゲーム機に比べスペックが非常に高く、ゲームセンターそのままのゲームを家庭用ゲーム機に移植するのは不可能だった。
「CPSチェンジャー」はゲームセンターで使用するハードをそのまま家庭用として提供する事でこの問題を克服する商品で、当時対戦格闘ゲームで人気を博していたSNK社の「NEO-GEO」と同様のコンセプトの商品だった。『ZERO』は「CPS」というゲーム基板の処分も製作目的の一つであったため、『ZERO』は「CPSチェンジャー」の目玉商品として、稼働から半年を待たず移植された。
元々移植を前提に制作されたため「CPS2」から「CPS」へという旧世代の基板への移植でありながら完成度は非常に高い、というよりはハードの違いに起因しない部分はそのままベタ移植された。同商品はプロモーション不足や高すぎる価格からヒットには至らなかったが、在庫処分としては十分な成果を上げたという。
しかし、この商品はこのあととんでもない弊害をもたらす。「CPS2」には、非常に高度なコピーガードプロテクトが搭載されていた。これはデータそのものを暗号化し、稼働時のみ復元。復元したデータを不正に取得する行為を防ぐため、不正な接続があるとみなした場合には基板のデータを使用不能な状態にするという厳重なもので、ゲームセンターが普通に使用していても電源ノイズが不正な接続とみなされ破損する自体が起こるほど厳密なものだったのだが、これが本作のせいで突破されてしまう。データがそのままベタ移植されていたため、クラッカーに暗号解読に必要な生データを渡してしまった形になったのだ。
『ストリートファイターII』で辛酸をなめさせられた海賊版問題に、カプコンは再び悩まされることとなったのである。当時に比べゲーム自体が複雑化していたためか模造品が生産されるということはなかったものの、ブートレグ商品が出回ることとなってしまった。在庫処分のしっぺ返しにカプコンは頭を抱えたという。

スーパーファミコンの底力を見せた『ZERO2』移植版

本作は移植を前提に制作された。これは特に前述の「CPSチェンジャー」向けのみでなく、その他の家庭用ゲーム機も対象となっていた。カプコンは『ストリートファイターII』シリーズの家庭用移植で大成功を収めており、今回もこれに習った商品展開が出来るよう最初から考えられていたのである。
当時アーケードゲームの移植で一番の問題となっていたのは内蔵メモリーの容量だったのだが、キャラクターグラフィックの枚数を少なくすることでこの点をクリアし、「プレイステーション」や「セガサターン」といった、当時主流だったディスクメディアのゲーム機に、半年間という短いスパンで最小限の劣化のみに抑えた移植が行われた。
そんな中、ゲーム誌を賑わせたのはスーパーファミコンへの移植発表だった。スーパーファミコンは前述のディスクメディアのゲーム機にスペックで大きく水を開けられている旧世代機だったからである。
開発は難航したものの、スーパーファミコン版『ZERO2』はサウンドやグラフィックの劣化、更にはラウンド開始時にゲームが止まるといった問題を抱えながらも、ゲームプレイに関わる部分は非常に忠実に再現されており、移植度の高さにプレイヤーは驚きを隠せなかった。
この世代を超えた移植が実現したのは、スーパーファミコンがロムカセットを使用していることと、ロムに搭載された補助プロセッサを利用できる構造になっている事に起因している。ロムカセットは大容量のデータを瞬時に読み出すことにかけてはディスクメディアでは太刀打ちできないほどの性能の高さを発揮する特性があり、本作のような対戦格闘ゲームの移植に適した媒体だった。補助プロセッサもまたディスクの中には埋め込めないものであり、スーパーファミコンの性能を支える重要な武器だった。
本作に搭載されたのは「S-DD1」という補助プロセッサで、演算のサポートとグラフィックデータの圧縮解凍を担っている。ロムカセットは容量が増えると値段が跳ね上がる性質があるため、まずはデータを圧縮することでスーパーファミコンソフトの価格帯でリリースできるようにダウンサイジングされた。ゲーム中に「S-DD1」がこれを解凍し、ロムカセット特有の高速ロードで次世代機顔負けのグラフィックを実現した。スーパーファミコンの特性と拡張性の高さを、カプコン移植チームが限界まで引き出すことで、スーパーファミコンの底力が発揮されたのだ。
ラウンド開始時にゲームが止まるのは、圧縮データの展開とバトルプログラムの処理が並行した結果であり、この「限界への挑戦」を如実に物語る現象だったのである。

夢の対戦! 『ハイパーストリートファイターZERO』

2006年、5年ぶりとなる『ストリートファイターZERO』シリーズのゲームが2本リリースされた。
1つは当時発売されたばかりの携帯ゲーム機「プレイステーション・ポータブル」に『ZERO3』を移植した『ZERO3↑↑』、もう1つは据え置きゲーム機「プレイステーション2」に『ZERO』シリーズ全作と『ポケットファイター』を移植した『ファイターズジェネレーション』。
後者はアーケードに存在したマイナーチェンジ版を余すところなく収録しており、隠し要素も忠実に移植した作品だったが、本作自体も大きな隠し要素を搭載し、ユーザーを驚かせた。
それが『ハイパーストリートファイターZERO』。『ZERO』から『ZERO3』までのキャラクターから好きなキャラクターを選んで対戦できるというものである。「ハイパー」の名称は、本作同様に「シリーズ間をまたいだ対戦が可能」というコンセプトで制作された『ハイパーストリートファイターII』に習ったもの。
『ハイパー』専用の「ISM」も搭載されており、文字通りのお祭り作品としてユーザーを楽しませた。

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