ストリートファイターII(ストII、Street Fighter II)のネタバレ解説まとめ

カプコンが1991年にアーケードゲームとして発売したゲーム、及びその移植作。
ストリートファイターシリーズの2作目であり、シリーズ最大のヒットを飛ばした。
1対1のストリートファイトによる世界大会を舞台に、個性豊かな総勢19人のキャラクターから1名を選び、試合での勝利を目指す。
別のプレイヤーとの「対戦」が好評を博した。

波動拳を出す際のコマンド入力のこと。具体的にはレバーをしたから前にぐるりと回すコマンドで、方向で現すと下・斜め前下・前となる。『ストリートファイター』から続く入力であり、本作で知名度が大きく上昇、以降の対戦格闘ゲームでコマンドを表現する際、逐一具体的な入力を教えるよりも早くてわかりやすいということでこの表現が用いられるようになった。同様に昇竜拳の前・下・斜め前下は「昇竜コマンド」、竜巻旋風脚の下・斜め後ろ下・後ろは「竜巻コマンド」と呼ばれる。
この呼び方が定着した一因には、比較的シンプルなコマンドとして、多くのゲームで入力に用いられたこともあげられる。多くのゲームで波動拳と同じコマンドが用いられ、これをユーザーが「波動拳と同じ」と伝えた事で定着した。特に対戦格闘ゲームではキャラクターの向きによってコマンドが左右反転するため、ユーザーはこの表現を重用する傾向がある。出版物やゲーム内チュートリアルでは前述の通り文字で記述されていたり、実際の入力を画像で現す場合が多い。

波動昇竜

歩いて距離を調節しながら波動拳を撃って地上戦を制し、飛び込んできた相手を昇竜拳で落とす戦い方。本作ではリュウやケン、サガットの戦術。
飛び道具を持つガイルやディージェイも似たような戦術を取れるが、こちらは飛び込んできた相手に対空技を出すためにはタメを行っていなければならず、勝手が大きく違うため波動昇竜ではなく「待ち」と表現される。
両者の違いは距離調節の自由度と飛び道具の隙。波動昇竜は前後に動きながら飛び道具を打てるため、相手との距離をかなりコントロールできるが、飛び道具発射後の隙が大きいため、飛び道具のタイミングを読まれると反撃を食らいやすい。待ちはタメを解除しては元も子もないため、自分から距離を調節するのは難しいが、飛び道具発車後の隙は小さいため、タイミングを読まれても迎撃しやすい。
相手が飛び込まなければ飛び道具を撃ち、相手が飛び込むときには飛び道具を打たないという読みの鋭さがカギを握る戦術である。

くらい投げ

わざと攻撃をくらい、相手を投げる戦術。『ストリートファイターII』特有の戦法。
本作は相手に攻撃を当て、ヒットしているか否かにかかわらず近づいてから投げるという「当て投げ」戦術が強い。特にジャンプ攻撃を使っての当て投げは、ジャンプ中行動が着地でキャンセルされるため使い勝手がよく、多用される傾向にあった。本作では攻撃をくらった時とガードしたり時の行動不能時間が全く同じなうえ、行動可能になるとともに投げられる可能性が生まれるため、当て投げは仕掛ける側が完璧なら対処が非常に困難な連携となっている。
通常なら相手のミスを待って投げ返したり、無敵技や空中に浮かぶ技で投げを許さないという駆け引きになるのだが、本作は「攻撃を食らうと投げ返しやすくなる」という現象が発生しており、くらい投げという概念が生まれることとなった。
本作のジャンプ攻撃は、立ち状態で当てた時のみ行動不能時間が通常より短くなるという性質がある。更にジャンプ攻撃は長い時間攻撃動作を取っているため、立ちとしゃがみであたるタイミングが異なる。多くのプレイヤーは立ちでガードするかしゃがみで食らった場合のタイミングに合わせて当て投げを試みてくるため、立ち状態で早いタイミングで攻撃が当たり、更に行動不能時間が通常より短いため相手の先を取れるようになるのだ。

立ちスクリュー

飛び上がらずにスクリューパイルドライバーを繰り出すテクニック。ザンギエフ使いにとっての重要テクニックである。同様にT・ホークの立ちタイフーンというものもあり、同じ仕組みのテクニックながら、こちらのほうが難しくなっている。
スクリューパイルドライバーのコマンドは「レバーを1回転させる」というものであり、どうしてもジャンプ方向にレバーを倒さなければならなくなる。
通常ならここでジャンプしてしまい、立ったままスクリューパイルドライバーを出すのは不可能なはずなのだが、実際には出すことができるのである。
可能になる理由は2つある。1つ目の理由はスクリューパイルドライバーの入力方法。本作における「レバー1回転」の入力は「前・下・後ろ・上の四方向を円を描くような順番で入力する」ことで認識される仕様となっている。実際に想像してみるとわかるのだが、この入力は3/4回転で完了する。そのため、最後が上になるように入力すると上方向への入力を少なくする事ができる。
2つ目の理由は本作のジャンプの仕様。本作のジャンプには予備動作から実際に飛び上がるまでの間に移行時間が設定されており、この間にボタンを押すと技を出すことができる。
これにより、「横から下を通って上へと一気にレバーを回し、直後にボタンを押すとジャンプせずにスクリューが出せる」という仕組みになっているのである。
ジャンプへの移行時間はキャラによって違うため、ジャンプするのが早いT・ホークは先述の通り立ちタイフーンが難しい。

裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

『ストリートファイター'89』? 対戦格闘ゲーム誕生前夜

1987年、『ストリートファイター』がリリースされた。CPUと1対1での戦いを繰り返すゲームだ。開発はカプコン。メンテナンス性が悪い特殊な筐体を用いており、汎用的なテーブル筐体用バージョンを制作する必要に迫られるというトラブルがあったものの、同年開始されたアーケードゲームの人気投票『ゲーメスト大賞』で7位を獲得する人気作となった。
『ストリートファイター』は北米で日本以上の大ヒットを飛ばした。あまりの人気ぶりに、カプコンのアメリカ法人、カプコンUSAからカプコン本社に続編制作の依頼が来るほどだった。これを受け、開発スタッフはアクションゲームとして進化した新作ゲームを製作する。仮タイトル『ストリートファイター'89』。同じく1987年に登場した人気アクションゲーム『ダブルドラゴン』の影響を強く受けた、新規基板で向上した表現力を活かし、前作と違い多数のキャラクターが画面に登場するベルトスクロール型ゲームである。
アクションゲームとしては確実に進化した作品だったが、カプコンUSAは全くもって期待していたゲームと違う内容に驚き、ストリートファイターの続編を制作するようとに再度依頼した。結果、同作はストリートファイターシリーズとしてはリリースされなかった。正式タイトルは『ファイナルファイト』。『ストリートファイター』を大きく越える完成度を誇る、ゲーム史に燦然と輝く名作アクションゲームなのだが、いったい何が期待と違ったのか。
開発陣には伝わっていなかったのだが、北米での『ストリートファイター』がヒットした最大の理由は、プレイヤー同士が対戦を行えるからだったのだ。あくまでもおまけ要素が強く、日本ではあまり行われなかったため、開発陣は全くこれを想定していなかった。対して北米では一般的なプレイとして普及していたため、カプコンUSAは言うまでもないと思って伝えなかったというわけだ。
こうしてスタッフに「1対1で対戦することに特化したゲーム」という明白な目標をうけ、対戦格闘ゲーム『ストリートファイターII』の開発がスタートする。
『ストリートファイター’89』は、対戦格闘ゲームという概念が当時如何に新規性に富んだものだったのかを知る上でのマイルストーンとして、ファンの間で語り継がれる作品となった。

「キャンセル」はバグだった?『ストリートファイターII』開発秘話

『ストリートファイター』における対戦は、メインのモードではなかった。細かなところに不自由な部分が残った。プログラマーの調整がいい加減だったために必殺技を連発できたほうが勝利するバランスとなっており、必殺技も出しづらい。これではユーザーが入りづらいと判断した開発は、ストリートファイターで必殺技が出しづらい理由を研究。結果、コマンド入力よりも早くボタンを押してしまうことが多いと判明したため、新たなフィーチャーとして「空振りキャンセル」と「ボタン離し入力」と呼ばれる仕様を導入し、ボタンを押すのが早くても必殺技が出るように調整することに成功した。
開発が進んだ段階で、開発陣はとある「バグ」を発見する。最初は「2ヒットのはずの昇竜拳がボーナスステージに限り3ヒットする」という現象として報告されたが、検証の結果「本来は空振りキャンセルでヒットしないはずの通常技がヒットしてから必殺技が発動する」という現象だと判明。原因は空振りキャンセル受付時間が通常技の攻撃開始時間よりも長いせいで、言うなれば通常技がヒットした段階で空振りキャンセルが発動している状態だったのだ。
全くもって想定外の挙動であり、バグ修正をかけることも可能だったが、「通常技から切れ目なく必殺技へ繋げられる方が面白い」と判断した開発者はこの「バグ」を「仕様」として遺すことに決めた。後に殆どの対戦格闘ゲームに搭載される「必殺技キャンセル」はバグだったのだ。後の世から考えると驚きの開発秘話である。

名シーン・名場面はプレイの中に。開発陣の演出へのこだわり

キャラクターの設定や世界観が練られていく中、ストーリーをどうするかという問題が浮上した。1980年代から1990年代にかけて、ゲーム中でストーリーを表現するゲームが増えていたのだ。開発チームが直前に手掛けた『ファイナルファイト』でも、ステージ間のデモとしてストーリーが描かれている。
しかし、本作スタッフはストーリーを殆ど描かない方針を取ることとした。キャラクターデザインの安田朗は、後にこの理由を「戦いの部分に全ての開発力を注ぎたかった」「ゲーム部分以外にストーリーはいらなかった」と明かしている。実際、ゲーム中のドラマチックなストーリー演出はほとんどなく、エンディングでさえ数枚の1枚絵で済まされるキャラクターが多い作品となった。
代わりに、本作の名場面はプレイ中にいくつも存在している。初めて必殺技を出せるようになった瞬間は、さながら修行の末に必殺技を編み出しす少年漫画のような興奮を覚えたし、相手のジャンプを昇竜拳で迎撃する瞬間はバトルマンガのハイライトのような緊張感と爽快感がある。
対戦格闘ゲームとして多くのプレイヤーが人対人の試合をするようになってからは、非常に多くの人間ドラマが誕生した。現在でも現役プレイヤーが日々ゲームセンターや家庭用ゲーム機でドラマティックな戦いを繰り広げている。
名場面はプレイの中に。スタッフの開発姿勢には、対戦格闘ゲームの本質が見て取れる。

横行した海賊版との意外な関係

『スーパー』の開発を開始したカプコンは、しばらくして海賊版に頭を悩ませる事になる。
これは爆発的なヒットを飛ばしたシリーズに目をつけた海賊版メーカーが『ダッシュ』の基板をコピーして改造した作品で、キャラクターの動作速度が速く、空中で必殺技を出せる等、かなり滅茶苦茶な改変が施されていたが、それが逆に評判を呼び、スマッシュヒットを飛ばしていたのだ。一番普及した海賊版と言われているのが、タイトル画面のロゴが虹色の『ストリートファイターII’レインボー』。
対策として、カプコンは急遽新作を出すこととした。しかし、『スーパー』はちょうど問題となった改造やデッドコピーへの対策を施した新基板への移行を前提に制作され、基板の開発を平行して行っていたためすぐには出せない状態である。そのため、海賊版で話題を呼んだ空中で出せる必殺技を追加し、ゲーム速度も高速化して『ダッシュ』までと差別化した作品『ターボ』を旧基板で製作、ゲームセンターに売り込むと共に海賊版の回収を依頼したという。結果として『ターボ』そのものも「本家メーカーによる海賊版」と批判されたものの、ユーザーを再び自社作品に呼び戻す事に成功した。
後の作品で定番化した「空中竜巻旋風脚」等の追加必殺技や、ゲームスピードの高速化は、海賊版から話題を奪い返すために生まれた要素だと言われている。特にゲームスピードの高速化は『X』にて可変形式で導入され、以降の対戦格闘ゲームのゲームスピードの基礎となった。
海賊版がなければ後の『ストリートファイター』シリーズ、ひいては対戦格闘ゲームそのものも今とは全く違う様相を呈していたただろう。単なる劣化コピー、イリーガルな商売の邪魔者であるはずの海賊版は、実は本家と競い合う関係にあったのだ。
その証拠として『ストリートファイターII'レインボー』は未だに回収されなかった基板が一部のゲーセンに設置されており、大会まで開かれるゲームとなっている。単なる劣化コピーでは、ここまで人を惹きつけるのは不可能である。

映像で見る『ストリートファイターII』ハリウッド映画とアニメ映画

大ヒットを飛ばした本作は、人気絶頂の1994年に2本の映画が公開されている。1つはハリウッド映画、1つはアニメ映画である。
ハリウッド映画版はタイトルを『ストリートファイター』としているが、原作はしっかり『ストリートファイターII』シリーズとなっている。シャドルーは秘密結社から軍事国家へと変更されており、キャラクター名は海外版に即しているため、シャドルーのトップはM・バイソン将軍となっている。主人公はガイルに変更されており、ジャン・クロード・ヴァンダムがこれを演じた。実写ながらもちゃんと必殺技が登場している。
映画のために作られたオリジナルキャラクターの中で異彩を放っているのがキャプテン・サワダ。ガイルの部下の日本人であり、終盤では決戦に赴くガイルに変わり、シャドルー攻撃の直接指揮を取るという重要な役どころである。当初は予定になかったキャラクターなのだが、演じた澤田謙也が自作のビデオをディレクターに送ってまで売り込み、これが高い評価を得て登場する運びとなった。サワダの名は彼の本名から取ったものである。サワダはこの映画を原作としたゲーム作品2本にも登場し、特に『ストリートファイター リアルバトル オン フィルム』では切腹して吹き出した血で攻撃する「獄殺自爆陣」や万歳をしながら繰り出すスーパーコンボ「カミカゼアタック」等の奇抜すぎる技を繰り出し、一躍知名度を上げることとなる。
アニメ映画は『ストリートファイターII MOVIE』のタイトルで制作された。配給収入8億円のスマッシュヒットを飛ばし、主題歌の「愛しさとせつなさと心強さと」は小室哲哉・篠原涼子のコンビで制作され、200万枚を越える大ヒットを飛ばした。作品そのものもゲーム用に用意されたバックストーリーに新たな筋書きを加え骨太のドラマを作り上げた他、監督にアニメ界の大御所中の大御所杉井ギサブローを迎え、格闘技アドバイザーには石井和義とアンディ・フグが就いた。それぞれのセクションが大物揃いかつアニメ業界から見ると門外漢も多い布陣となったが、杉井の丁寧なトータルディレクションでスタッフの良いところを引き出すことに成功し、大物の実力を引き出すとともに全体のバランスが素晴らしい傑作アニメ映画となっている。特に格闘家のアドバイスを元に描かれた格闘描写は名だたる格闘技アニメでもなかなか描かれることのなかったスピーディーでしっかり動き、戦いの流れがある総合格闘技をしっかりと映像化することに成功している。ここに対戦格闘ゲームの華である必殺技をアニメらしい派手な演出ではめ込むことでストリートファイターIIの世界観を上手く作中に落とし込んでいる。終盤のリュウ・ケン対ベガのバトルは『ストリートファイターZERO』の隠しモードとして再現された。
本作で描かれたストーリーや設定は後のシリーズ作に逆輸入されるほどに人気を博し、特にバンダイナムコ・カプコン・セガ・任天堂の4社のクロスオーバー作品『PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD』内では終盤の展開が「愛しさとせつなさと心強さと」をBGMに再現され、大好評を博した。

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