江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』とは、1969年公開の石井輝男監督のミステリ―映画である。主演は吉田輝雄。作家江戸川乱歩の作品の中から、断片的なイメージを集めて映像化した作品である。
理由もわからぬまま、精神病院に監禁されている医者の卵である主人公が、命を狙われたり殺人の濡れ衣を着せられたことによって、自らの出生の秘密を暴いていく。謎を解く鍵は、無人島で奇形人間を製造している実の父がにぎっているのだった。

『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』の概要

『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』とは、1969年に公開された日本のミステリー映画である。監督は石井輝男、主演は吉田輝雄。怪奇色が強くR-18指定(旧成人映画)だったがソフト化に伴い再審査され、PG-12に改定された。石井監督が少年期から愛読していた江戸川乱歩の作品を提案し製作された。クレジットに『パノラマ島奇譚より』とあるが、ほぼ使用されていない。『パノラマ島奇譚』とは乱歩著の中編小説である。因みに単行本収録時には『パノラマ島木奇談』と改題されている。映画の大部分は乱歩の長編探偵小説『孤島の鬼』ベースである。この他にも『屋根裏の散歩者』(乱歩の短編探偵小説で明智小五郎シリーズ5作目の作品)、『人間椅子』(乱歩の短編スリラー小説)、『白髪鬼』(マリー・コレリの小説『ヴェンデッタ』を基にした黒岩涙香の翻案小説で、乱歩はこれを更に翻案した小説)などの作品から断片的イメージを映像にしている。公開時は人気はなかったが現在ではファンも多く、カルト映画の先駆けと言われている。

内容は、何故自分が精神病院の檻の中にいるのかわからない外科医の卵である人見広介(吉田輝雄)は、かすかに覚えている子守唄を頼りに病院を脱走する。子守唄の事をしっているサーカス団の少女初代(由美てる子)と出会い子守唄について聞こうとするが、何者かに殺されてしまう。殺人の濡れ衣を着せられた広介は、変装して乗った列車の中で自分と瓜二つの男、菰田源三郎の死亡記事を目にする。一連の出来事に源三郎が関わっていると思った広介は、埋葬した源三郎が生き返ったかのように見せかけて菰田家に潜り込む。奇妙な生活を続ける中で源三郎の妻千代子(小畑通子)が何者かに殺される。謎を解く鍵は産まれながらの奇形で源三郎の父、丈五郎が握っていると思った広介は丈五郎の住む島へと渡る。丈五郎は、島で奇形人間を作り自分の為の理想郷を作ろうとしていた。島に渡った広介、菰田家の遠縁の娘で源三郎の愛人静子(賀川雪絵)、菰田家執事の蛭川(小池朝雄)、下男(大木実)は、島で沢山の奇形人間たちを目にする。そこには初代の妹の秀子が、男と人工的なシャム双生児にされていた。そこで源三郎と広介が兄弟で、奇形人間を作る為に広介を外科医にしようとしたことなどを丈五郎から聞かされた広介。
広介は秀子と男の繋がった体を切り離す手術をし、見事成功する。広介と秀子は愛し合うが、実は二人は父親違いの兄妹の関係であった。
島の洞くつの中では、監禁されている広介と秀子の母とき(葵三津子)がいた。ときと結婚して直ぐ浮気をされた丈五郎は、洞窟にときを閉じ込めていたのである。奇形人間を製造しろと丈五郎に銃を向けられ、詰め寄られるが、下男としてやってきた男が弾を抜いていたのだ。下男の正体は、名探偵明智小五郎であった。明智によって蛭川と、蛭川の愛人であった静子によって千代子は殺されたことなどが、暴かれた。計画が失敗した丈五郎は自殺し、兄妹で愛し合ってしまった広介と秀子は花火とともに空中でバラバラになって心中するのであった。

カルト映画として人気の高い本作の見どころは、江戸川乱歩の独特なエログロの世界を映像化したところである。奇妙で奇怪な中にも笑えるシーンが盛り込まれており、コメディ要素もある。どのシーンにどの乱歩の小説のイメージが使われているか、考えながら観るという楽しみもある。

『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』のあらすじ・ストーリー

子守唄の記憶

東洋医大を出た外科医の卵である人見広介(ひとみひろすけ/吉田輝雄)は、自分がなぜ精神病院の檻の中に入れられているのかわからずにいた。檻の中には半狂乱の大勢の女たちが、暴れている。広介は、檻の中で何処かで聞いたことのある子守唄を耳にするのであった。広介は子守唄に懐かしさを感じながら、記憶を頼りに断崖に荒波がぶつかっている絵を描く。誰かといたことをかすかに思い出し始める広介だが、一緒にいた人物が人だか獣だったかすら定かではない。そして土蔵の中に入った事も思い出していた。土蔵の中に入ると階段のきしむ音と子守唄、醜い男と美しい少女の二つの顔を持っている少女の記憶が残っていた。
夜、坊主頭の男がずっと広介を見ていた。この男はいつも広介をじっと見ているのだが、この日坊主頭は広介の首を絞めようと襲い掛かって来た。しかし坊主頭の男を返り討ちにした広介は、坊主の男を殺してしまう。何故坊主頭の男が自分を襲ってきたのか、理由もわからぬまま精神病院を脱走する。外に出ると聞き覚えのある子守唄を歌うサーカス団の少女初代(はつよ/由美てる子)と出会い、広介は子守唄について知っている事を初代に尋ねた。自分と同じ子守唄を知っている広介に初代は、「東京でこの子守唄を知っている人はいない」と言う。同じ出身かもしれないと思った広介は、話を続けようとしたが人が来たためその場を後にした。

翌日、初代のいるサーカス団のテントを訪れた広介は自分の書いた絵を初代に見せる。初代は同じサーカスの人間に、「裏日本の子守唄じゃないか」と言われたことを広介に話した。しかしそのサーカスの人間は団にはいなかった。団長が辞めさせたと言うのだ。話をしていた初代であったが、何者かにナイフで刺されて死んでしまう。刺さったナイフを抜いてやった広介は、殺人犯と勘違いされ逃亡する羽目となった。
初代が言っていた裏日本に向かう為、広介は列車に乗っていた。乗客が置いていった新聞記事に目をやると、自分に瓜二つの菰田家当主の菰田源三郎(こもだげんざぶろう)という男が死亡したという記事が載っている。広介は死んだ源三郎と自分に何か関りがある気がしていた。
広介は逃亡先の旅館で目の見えないマッサージ師から、菰田家がこの町では有名である事や大旦那である菰田丈五郎( こもだじょうごろう/土方巽)の話を聞く。源三郎の父丈五郎はガマガエルの様な水かきが指の間についていて、それを人目にさらしたくなくて家に籠ったままであったという。そして丈五郎は妻のとき(葵三津子)をもらってから一年もしないうちに、自分の持ち物である島に引っ越したのだ。ご本家は執事の蛭川(ひるかわ/小池朝雄)に任せ、妻は島で源三郎を出産し、源三郎は三つの時にご本家に戻され乳母のきん( 田仲美智)によって育てられたのだった。丈五郎は無人島を改造し、おとぎの島にする計画があり、島に金をつぎ込み資産も危ない事を知った広介だった。

菰田源三郎に成り代わる人見広介

菰田家では源三郎の葬儀が行われていた。その中に紛れ込むようにして、広介の姿があった。広介は殺人容疑がかけられ追われる身であったが、源三郎と自分が瓜二つである事を利用しようと思いつく。自殺を偽装し、墓の中の源三郎と入れ替わったのである。思惑通り、翌朝岩場で広介の草履と遺書が発見される。墓地には死装束を着た広介が、さも墓の中から蘇って来たかのように倒れていた。広介の計画はうまくいき、源三郎として菰田家に入り込むことが出来た広介であった。夜中、屋敷の中を歩き回り調べていた広介は、乳母のきんから源三郎の写真を見せてもらう。写真のお陰で源三郎が左利きだとわかる。
翌朝朝食の席で左手で食事をとる広介だったが、新聞を読む際メガネをかけずに読んだことで、妻の千代子(ちよこ/ 小畑通子)や女中に不思議がられる。その後広介は源三郎の飼い犬に吠えられ、襲われそうになったことで、その場にいた執事の蛭川に妙な顔をされてしまう。

数日後、源三郎の全快祝いが盛大に行われた。大勢の人が集まる中、源三郎を演じている広介は気を抜けず疲れていた。トイレに立った広介は菰田家の遠縁の娘で、菰田家のご本家に住む静子(しずこ/賀川雪絵)に声を掛けられる。甘えた口調で「全然部屋に来てくれないから寂しい」などと話しかけてくる静子が、源三郎の愛人であることを悟った広介であった。
その夜千代子は体の交わりを広介に求め、思わず交わってしまった広介であったが、内心偽物だとバレはしないかと不安であった。しかし千代子は全く気が付いていなかった。その後こっそりと部屋を抜け出して静子の部屋に行く広介。そこでも、静子の勢いに押されたまま、静子と広介は交わってしまうのであった。
翌日広介は蛭川の目の前で、仕事の書類に署名をしなくてはならなくなった。以前飼い犬の件で不信がっていた蛭川に、利き手ではない左手で署名すれば偽物だとバレると思った広介は、わざとお茶を書類にこぼして署名を逃れる。

一方、入浴中の千代子の浴室に毒蛇が現れる。叫び声をあげる千代子の元に、広介がやって来て毒蛇を叩き殺す。山奥にしか出ない毒蛇であった事から、何故浴室に現れたのか謎であった。だが千代子の命を狙う何者かがこの家に居る事は、明らかであった。風呂をたいた下男(げなん/大木実)は最近雇われた男で、広介はこの下男の動向を怪しんでいた。そんな中、静子の枕元に手紙が置いてあり、誰も知らない筈の広介と静子の不貞行為についてが書かれてあった。同じくして千代子の元にも手紙が置かれていた。手紙には広介との性行為がまるで何処かで見ていたかのように細かく、赤裸々に綴られていた。それからも女中が奇妙な男の姿を目撃し、広介が追いかけるが逃げられてしまう。
夜、千代子と広介が一緒に眠っていると、千代子がいきなり苦しみだし吐血する。千代子はそのまま死んでしまうのだった。
千代子が死んでからも、屋敷には奇妙な人間がうろついていた。そんな中、乳母のきんが広介の記憶にある子守唄を歌っていた。広介はきんから、源三郎が島からこの屋敷に来てから毎日の様に二人で歌っていたと聞かされる。そして源三郎が描いたと言う絵を見る。源三郎が描いた絵は、広介が描いた断崖に荒波がぶつかっている絵と同じであった。全ての謎は丈五郎がいる島にあると思った広介は、蛭川に「島に行きたい」と頼むが、「丈五郎から誰も近づけるな」と言われていると言い断られる。一度は蛭川に断られたものの、強引に押し切った広介は島に渡る事になる。

奇形人間の島と、父丈五郎

船に乗った広介、蛭川、静子、下男は丈五郎のいる島に渡った。島に着くと奇妙な動きで、島を徘徊している丈五郎の姿があった。丈五郎は、島を案内すると言い皆を連れて歩き始める。すると獣のような鳴き声をあげ、動物の様に四つん這いで歩く人々を一行は目にする。更にオブジェのように動かない人間、動物と合体させられている人間たちが島中にいるのだった。
その夜広介たちは、銀色に塗られた裸の女たちや男たちの奇妙なダンスを見る。そこでは、まるで神の様に皆から崇められている丈五郎の姿があった。皆が圧倒されている中、広介はその場を抜け出し島を探索していた。
一軒の古い家を見つけて中に入ると、子守唄が聞こえる。子守唄の方へ向かうと、そこには死んだサーカス団の少女初代と瓜二つの秀子(ひでこ)がいた。秀子は、人工的に醜い男と体を繋ぎ合わせられ、シャム双子にされていた。驚く広介の元に丈五郎がやって来て、もっと面白いものを見せると言い広介を連れて行くのであった。
丈五郎に案内された場所には、檻に入った沢山の奇形人間たちの姿があった。丈五郎は正常な赤子や老人を集め、奇形人間を製造してきたと言うのだ。この島が完成したら作った奇形人間たちを解放し、美しい女を集めて奇形人間たちのパラダイスを作ろうとしていた。丈五郎はこの島にやってきた広介たちも、奇形人間にしようとしていた。広介を源三郎だと思い込んでいる丈五郎は、源三郎の弟広介を人見家に養子にだし、外科手術を学ばせている事を話す。広介は、今丈五郎の目の前にいるのは広介だと告白し、自分が精神病院に監禁されていた事や源三郎が死んだ事を丈五郎に話した。何も知らなかった丈五郎は、動揺していた。そして丈五郎の口から、秀子はサーカス団の初代の妹だと聞かされる。広介は、丈五郎の言う通りにするから、秀子を元の体に戻してやって欲しいと言う。

広介の願いは聞き入れられ、秀子と男を切り離す手術を広介が行う事になった。
手術が成功してから一か月が過ぎた。土蔵の中で広介と秀子は、愛し合うようになっていた。その様子をずっと見張っていた丈五郎は、結婚祝いに母親に会わせると言い、島に渡って来た皆を集めて暗い洞窟に連れていく。
洞窟の中には、足を繋がれ監禁されているときの姿があった。ボロボロになり衰弱しているときに、秀子は「母さん」と言い広介が手術して体を元に戻してくれた事を話すのだった。
丈五郎は妻ときの話を始める。三国一の美しい花嫁ときと、醜い花婿の丈五郎の結婚式は盛大に行われ、当時丈五郎は幸せいっぱいであった。ときの好むことはなんでもやらせてやりときを心から愛したが、ときは丈五郎が傍にいる事を好まなかった。それでも結婚生活に満足していたが、いとこの林田( はやしだ/笈田敏夫)と浮気をしている所を目撃してしまったのだ。それからときは妊娠し、丈五郎は自分の子供であることを願いながらときと林田を連れ、島にやって来たのだった。丈五郎は浮気をした罰として、ときと林田を暗い洞窟に監禁し半月放っておいた。やがて林田は死に、死肉を食らいに沢山のカニが林田の死体に群がっていた。ときは生きる為にそのカニを食べたのだった。
その後、洞窟に監禁したときを醜いせむし男に犯させ、産まれた子が初代と秀子であった。姉の初代は、いづれ広介をこの島に呼ぶ役割として東京のサーカス団に預け、秀子は醜い赤子とくっつけてシャム双子にしたのであった。何より広介と秀子は父親違いの兄妹であったのだ。丈五郎は、芸術的奇形人間を作るかどうか二、三日考えろといってその場を後にしようとする。洞窟の中は迷路のようになっており、丈五郎しか脱出できないのである。丈五郎に助けを乞う蛭川だったが、広介を精神病院に入れ坊主頭の男に殺させようとしたことを丈五郎に責められる。そして蛭川と静子が男女の関係であることも、丈五郎の命で二人を監視していたせむし男の報告で知っていたのだ。

名探偵明智小五郎登場

暗い洞窟の中で、高らかな笑い声と共に下男が現れる。皆が下男だと思っていた男は実は名探偵の明智小五郎であった。
明智がここに辿り着いたのは、一枚の広告がきっかけであった。様々な事柄に興味を持ってしまう明智は、東洋ビルの13号室の空き室広告が気になったのである。13号室は10日間も借り手が見つからず、広告を出し続けていたがある日広告が消えた。しかし翌日再び広告が出ていたのである。一日だけ部屋を借りたことになるが、犯罪の匂いを嗅ぎつけた明智は東洋ビルを訪ねてみたと言う。
ビルの受付女性が言うには、貸したその日に荷物が入り女事務員の募集が行われたと言う。しかも200人も募集し、物凄い好条件なのであった。しかしその日の晩に賃貸契約は取り消された。その二、三日後に、家出人の捜索願いが何件も警察に出されていた。島に連れて来られた女たちは、女事務員募集で集められた女たちだと明智は突き止めたのだった。歓迎会と偽り女を連れだしたのは蛭川であり、蛭川は精神病院の院長を買収し集めた女たちを輸送するまでの監禁場所とした。蛭川は女装癖のある男で、気に入った女を切り刻んで楽しむ異常性格者であったのだ。そこに広介は閉じ込められ、蛭川に命じられた男に殺されそうになったのである。精神病院を逃げ出した広介が、初代から裏日本の話をしているのを見て、ナイフを投げて初代を殺したのも蛭川であった。
明智は裏日本に渡り、源三郎蘇生に不信感を持ち墓を暴くと、そこには源三郎の亡骸があった。誰かが源三郎と成り代わっている事を知り、菰田家に下男として侵入した。明智は千代子や静子を監視し、脅迫状の送り主を探った。そこで千代子の部屋の椅子に仕掛けがある事を発見する。椅子には人が入れる様になっており、更には納戸の中に消えていく人影を追うと、屋根裏に通じる抜け穴も発見したのだった。蛭川と静子は疑いの目が向かないように、自作自演で自分あての脅迫状を書いていた。そして蛭川と静子は屋根裏から、眠っている源三郎(広介)の口元に糸をたらし、そこから毒を流し込もうとしたのだ。しかし隣で眠っていた千代子の口に入ってしまい、千代子が死んでしまったのだった。蛭川と静子は、源三郎が病死したことをいいことに、弟の広介もいなくなれば菰田家の血縁者は静子だけになり財産が入ると思ったのである。

全てを知った丈五郎は、蛭川と静子に銃を向けるが逃げようとした蛭川と静子は海の中に落ちてしまうのだった。丈五郎は広介に馬頭観音像を、島の守り神として作って欲しいと頼む。しかも生身の人間を使って、血の通った馬頭観音像を作れと言うのだ。断る広介に銃を向けた丈五郎だったが、明智は丈五郎に「弾は抜いておきましたよ」と言うのだった。どうしようもなくなった丈五郎は、その場を逃げ出す。自暴自棄になった丈五郎は、皆を道連れに島を破壊する装置の前に立つ。丈五郎を追いかけて来た明智は「奥さんはじゅうぶん罰は受けた。愛する子供たちの前で恥を暴かれた奥さんの切なさ、それを聞いていた子供たちの気持ちも考えて欲しい」と説得する。広介はときをおぶって洞窟を出て、明智への手紙を母に託し秀子とその場を立ち去る。
一方丈五郎は、明智の説得によって改心し追いかけて来たときと互いを許し合うのだった。しかし丈五郎は自決し死んでしまう。明智への手紙には、兄妹だと分かっていても離れられない、美しく散りたいと自殺を仄めかす言葉が綴られていた。空に花火が上がったかと思ったら、それは空に舞い上がった広介と秀子であった。広介と秀子は花火が美しく散る様に、体が空中で爆発しバラバラになった体が散っていくのであった。どこからともなく広介と秀子の「おかーさーん」と母を呼ぶ声がするのであった。

『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』の登場人物・キャラクター

人見広介 (ひとみひろすけ/演:吉田輝雄)

逃亡中、列車の中の人見広介

広介は東洋医大を出た、外科医の卵である。産まれてから実父菰田丈五郎によって、人見家に養子に出されている為、実の家族の存在は知らないで育った。
実兄は菰田源三郎、実母はときである。無理やり精神病院に入れられたり、命を狙われたり、殺人の罪を着せられたりする。それがすべて自分とそっくりな菰田源三郎が関係していると思い、病死した源三郎が蘇生したと思わせ、菰田家に潜入するが様々な事件に巻き込まれていく。父のいる島で出会った秀子と、愛し合うが秀子とは父違いの兄妹であった。

菰田源三郎(こもだげんざぶろう/演:吉田輝雄)

菰田家当主であり、広介の兄である。無人島で産まれたが、三歳の頃に本家に戻され乳母きんに育てられた。
病死した。

初代 (はつよ/演:由美てる子)

夜道を歩く初代

菰田丈五郎が、妻のときを監禁してせむし男に犯させた子である。秀子の姉で、顔が瓜二つである。
丈五郎の思惑によって、サーカス団に預けられていた。いずれ広介を島に呼ぶときの為の駒である。広介と話している所で蛭川によって殺される。

秀子(ひでこ/演:由美てるこ)

人工的シャム双子にされた秀子(右)と猛(左)

菰田丈五郎が、妻のときを監禁してせむし男に犯させた子である。初代の妹で、顔が瓜二つである。産まれてすぐ、醜い男の赤ちゃん(猛)と体をくっつけられて、人工的シャム双子にされる。大きくなり島に渡って来た広介の手によって、切り離しの手術をしてもらう。父親違いの兄とも知らず、広介を愛して体の関係を持ってしまう。

菰田丈五郎 (こもだじょうごろう/演:土方巽)

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