James Blake(ジェイムス・ブレイク)とは【徹底解説まとめ】

ジェイムス・ブレイクとはイギリス出身のイギリス出身のミュージシャン、音楽プロデューサーである。2009年より活動を始めている。南ロンドン発祥のジャンル「ダブステップ」に影響された「ポストダブステップ」と呼ばれる独特の音楽性を持つ。Harmonimix(ハーモニミクス)という名義で他アーティストへの楽曲提供やリミックスなども行なっている。

James Blakeの概要

ジャイムス・ブレイクは自身の寝室での作曲活動に没頭しており、その頃で出来上がった「Air & Lack Thereof」という曲を12インチのシングルを2009年にリリースしたことにより、音楽家のキャリアをスタートさせた。
2010年にはベルギーのレーベルのR&Sレコーズから「CMYK」というEPをリリースした。タイトルトラックの「CMYK」は数々のラジオ番組でパワープレイされた。同じ年の11月にはカナダのインディーポップ歌手フェイスト曲「Limit to Your Love」のカバーが全英チャートで48位を記録した。

ジェイムスは2010年12月に自身のファーストフルアルバムはセルフタイトルで2011年2月7日に11曲入りでリリースされると公表した。この公表の数日後にアルバムはインターネット上にリークしてしまったが、2月には満を持してデビューアルバム「James Blake」をリリースした。これには前述の「Limit to Your Love」も収録され、リスナーだけでなく批評家たちからも高い評価を得た。アメリカの音楽メディア、ピッチフォークはこの作品を2011年の年間ベスト12位に、Amazon.comは4位に、イギリスの音楽雑誌のMojo誌は17位に選んだ。この年の後半には「Enough Thunder」と「Love What Happened Here」という2枚のEPをリリースした。

2012年の初頭はアメリカのラッパー、カニエ・ウェストやボン・イヴェールのボーカリストのジャスティン・バーノンらと過ごす。この年の暮れ頃には"ハーモニミクス"の名義でイギリスのラッパーのトリムとコラボレーションを行う。
2013年2月にジェイムスはフェイスブックを通してセカンドアルバム「Overgrown」を4月にリリースすることを発表する。このアルバムからのファーストシングル「Retrograde」が同日にBBCラジオ1でオンエアされた。2月25日にはアルバム収録曲とアートワークも公開された。このアルバムではブライアン・イーノやヒップホップグループ、ウータンクランのプロデューサーRZAやチャンス・ザ・ラッパーなど著名なミュージシャンがゲストとしてフィーチャーされている。この作品は賞賛を持って受け入れられ2013年のマーキュリープライズを受賞した。

2014年12月、ジャイムスは2015年にサードアルバムをリリースすることをBBCラジオ1で公表した。3rdアルバムではカニエ・ウェストやボン・イヴェールをゲストとして迎え、ニュージランドのミュージシャン、コナン・モカシンをギタリストとして起用する予定があると発表した。2016年4月には同ラジオにてアルバム制作を完了し、それが18曲収録になることを伝えた。のちに彼はこの作品をイングランドで制作し始め、アメリカで有名プロデューサーのリック・ルービンと共に完成させたと公表した。アルバム発表前には、ビヨンセのアルバム「Lemonade」収録曲「Forward」をプロデュースし、ボーカルとしても参加した。

そして2016年5月6日にサードアルバム「The Colour in Anything」をリリースした。

音楽性

ジャイムス・ブレイクの初期の頃の作品は2ステップと呼ばれる音楽や、イギリスのミュージシャンであるブリアルなどのサウンドに代表されるダブステップと呼ばれるイギリス発祥のダンスミュージックや、90年代のトリップホップ、R&Bに影響を受けていた。自身の歌声にエフェクトをかけて不明瞭にしたり、90年代のR&B曲から声をサンプリングして使用したりなどしている。批評家たちはこの頃の音楽性を「ポスト・ダブステップ」と呼んでいた。2011年のファーストアルバムではそれまでの不明瞭なダンスミュージックからゴスペルやソウル、アンビエントミュージックに影響を受けた伝統的な曲構造に則ったピアノ曲が増えた。セカンドアルバム「Overgrown」でもこの流れを引き継いだが、ヒップホップアーティストのRZAや電子音楽家のブライアン・イーノとの共演で電子音楽的なアプローチを試みた。2013年にブライアン・イーノは"ジェイムス・ブレイクは多くの音楽的影響をきめ細かい自らの音楽へとアウトプットすることができる"と評した。

オリジナルアルバム

James Blake

01 Unluck
02 The Wilhelm Scream
03 I Never Learnt to Share
04. Lindisfarne I
05 Lindisfarne II
06 Limit to Your Love
07 Give Me My Month
08 To Care (Like You)
09 Why Don't You Call Me
10 I Mind
11 Measurements

2011年の2月にリリースされたジェイムス・ブレイクのファーストアルバムである。イギリスとアメリカでは彼が立ち上げたレーベル、ATLASよりリリースされた。このアルバムは批評家たちに好意的に受け入れられ、2011年のマーキュリー賞にもノミネートされた。小刻みで不思議なビートの上に、オートチューンやヴォコーダーで加工された不明瞭な歌声が重なり合い、独特な音像を作り出している。これ以前のシングルとは異なり、今作で聞こえる多くの声素材は他のレコードからのサンプリングではなく、ジェイムス自身の声をサンプリングして使用したものである。
今作からは"Limit to Your Love"、"The Wilhelm Scream"、"Lindisfarne/Unluck"がシングルとしてリリースされている。

Overgrown

01 Overgrown
02 I Am Sold
03 Life Round Here
04 Take a Fall for Me
05 Retrograde
06 DLM
07 Digital Lion
08 Voyeur
09 To the Last
10 Our Love Comes Back

2013年4月にリリースされたジェイムス・ブレイクのセカンドアルバムである。前作同様、ジェイムスのレーベルATLASよりリリースされた。今作には電子音楽家であるブライアンイーノやヒップホップグループ、ウータンクランのプロデューサーとしても有名なRZAなどが参加している。別アーティストが参加したことによって曲に幅が出た作品で、前作より不明瞭なサウンドは少し抑えられ、ピアノを用いたソウルやR&Bの要素が強くなっている。ディスクロージャーやデヴィッド・ボウイなどを押しのけ2013年のマーキュリー賞を獲得している。
今作からは"Retrograde"、"Overgrown"、"Life Round Here"の3曲がシングルとしてリリースされた。

The Colour in Anything

01 Radio Silence
02 Points
03 Love Me in Whatever Way
04 Timeless
05 f.o.r.e.v.e.r.
06 Put That Away and Talk to Me
07 I Hope My Life (1-800 Mix)
08 Waves Know Shores
09 My Willing Heart
10 Choose Me
11 I Need a Forest Fire
12 Noise Above Our Heads
13 The Colour in Anything
14 Two Men Down
15 Modern Soul
16 Always
17 Meet You in the Maze

2016年5月にリリースされたサードアルバム。 ビースティー・ボーイズ、パブリック・エネミー、Run-DMCなどのヒップホップアーティストとの仕事でも有名なリック・ルービンがプロデュースを務めた。今作にはボン・イヴェールのジャスティン・バーノンやフランク・オーシャンがフィーチャーされている。これまでのオリジナルアルバムで最多の17曲を収録しており、70分を超える大作である。サウンドは前作の流れを踏襲しており、ソウルやR&Bなどの影響を受けたピアノが主になっている。
今作からは"Modern Soul"、"Timeless"、"Radio Silence"、"My Willing Heart"、"I Need a Forest Fire"の5曲がシングルカットされている。

James Blakeの代表曲

Limit To Your Love

ファーストアルバム「James Blake」に収録されている曲。カナダのミュージシャン、フェイストのサードアルバム「The Reminder」に収録されている曲のカバーである。イギリスでは2010年11月にシングルとしてリリースされ、最高39位を獲得した。シンプルなピアノとボーカルに加えて、ダブに影響を受けた低音を過度に強調させ、ディレイをかけたベース音が特徴的な曲である。

The Wilhelm Scream

ファーストアルバム「James Blake」収録曲。この曲はジャイムスの父親でミュージシャンのジェイムス・リザーランドの曲「Where to Turn」をカバーしたものである。延々と繰り返される短い歌詞と曲が進むにつれ曇ったサウンドになっていく曲構成が印象的。深くリバーブが掛かった音色は心地よい浮遊感を与える。

Lindisfarne

ファーストアルバム「James Blake」よりシングルとして3枚目にリリースされた曲である。
フォークトロニカやトリップホップ、ソウルミュージックからの影響を感じられる。
アコースティックギターの音の上にオートチューンやヴォコーダーで加工された声がいくつも重なりあっている。

Sachiko_Te3
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@Sachiko_Te3

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