十二国記(The Twelve Kingdoms)のネタバレ解説まとめ

『十二国記』とは、小野不由美による小説、及びそれを原作とするアニメなどのメディアミックス作品である。女子高生の中嶋陽子は、人の顔色を気にして生きてきた。そんな陽子の前に、麒麟の景麒を名乗る青年が現れ彼女を王と呼ぶ。陽子は本来の故郷である十二国世界へ渡り、様々な戦いを経て王になる覚悟を決めるのだった。ある者は権力とそれに伴う責任に向き合い、ある者はコンプレックスに向き合って成長を遂げる。古代中国風の異世界を舞台にした異世界ファンタジーでありながら、不思議なリアリティを持つ作品である。

『十二国記』は同著者の小説『魔性の子』の続編であり本編

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『魔性の子』は、小野不由美による小説作品である。『十二国記』は『魔性の子』の続編にして本編となる。(*)
『魔性の子』は日本(十二国世界でいう蓬莱)を舞台とし、ホラー色の強いファンタジー小説として発表された。高校生の高里要こと泰麒に関する事柄が描かれている。要の他、廉麟、白汕子や傲濫が登場するが、要のクラスに来た教育実習生の広瀬の目線を主軸としており、要が帰るべき異世界(十二国世界)のことはその片鱗がほのめかされる程度であった。
小野は『魔性の子』を単発の作品として執筆しながら、十二国世界の世界観や地図、年表に至るまで作り、作品の担当編集者に話したところ、その世界を舞台としたファンタジーを書くことを勧められた。結果として『十二国記』が作られるに至った。

アニメ版『十二国記』に登場する杉本優香は、自分のいる世界ではなく異世界に焦がれるといった側面を持ち、『魔性の子』における広瀬に近い役割となっている。『魔性の子』に登場する広瀬とは、要の高校の卒業生で、高校時代から人との関わりを嫌っていた。幼少期に臨死体験をした影響から異世界に憧れる人物として描かれる。

*「『十二国シリーズ』が『魔性の子』の続編で短編である」ことは、『月の影 影の海』(講談社文庫ホワイトハート版)の後書きに記されている。

原作小説とアニメの違い

塙麟の死因が病死から塙王による殺害に変更

『月の影 影の海』における塙麟の死亡原因。原作では失道による病死だったが、アニメでは塙王から陽子を庇うようにして殺されている。原作では「病死した」と語られるのみの塙麟の死亡場面が描かれた理由は、一つにはアニメーションという表現方法もある。言葉ではなく、絵で伝えられる麒麟の殺害というショッキングな場面は、視聴者にもインパクトを与える。のみならず、余裕を持たず、どこか小物めいた塙王のキャラクター像も浮き彫りにされている。塙王による塙麟殺害シーンは、「巧国や慶国はどうなるのか」との気持ちを原作味読の視聴者に抱かせる意味合いも持ったシーンである。

杉本優香は陽子のもう一つの姿

アニメオリジナルキャラクターである杉本優香には、キャラクターとしての役割が与えられている。それは、陽子と対になる役目である。対になる存在がいることで、陽子の成長や覚悟がより強調されている。日本にいた頃から、人の顔色を気にする陽子、我が道を行く優香といった構図が垣間見える。十二国世界との関わりが出始めてからも、「状況が飲み込めず、帰りたいと願う陽子」と「(わけが分からないながらも)状況を受け入れて、自分こそこの世界に来るべき選ばれた存在だと思い込む優香」といった描写がされる。
とはいえ、元より景麒が選んだのは胎果にして王気を持った陽子であり、優香は塙王に利用される傀儡となった。陽子は、何度も騙されて苦しみながらも楽俊親子と出会い、人を信じたいとの気持ちを得て迷いを捨てるに至った。陽子は自分の気持ちを見つめて、戦った為成長を遂げ舒栄から景麒を奪い返すことに成功したのだ。優香は「自分こそが景麒に選ばれるべきだった」との幻想にすがったにすぎず、陽子ほどの成長はできなかった。陽子との戦いで自分がただ一緒に来ただけだと悟り、日本に戻ることにする。優香は、陽子が王として成長していく第一歩が描くための「If」の存在なのだ。
優香は日本に帰還後、陽子の母に「中島さんは帰りたかったと思います」と告げるシーンが追加された。これにより、陽子の母は夫を気にして娘に自由にさせてやれなかったことへの罪悪感から、いくらか解放されたと思われる。ちなみに、原作にも杉本優香なる人物の名は出るが、アニメほどストーリーには絡まず、十二国世界に渡ってもいない。

楽俊が柳国に向かった理由

『風の万里 黎明の空』で楽俊が柳国に向かう理由があまり語られていない。原作では、王が在位であるのにもかかわらず柳国に妖魔がはびこっていた。それを変に感じていた延麒が楽俊に頼んで様子を見に行かせている。また原作においてはこの頃に塙王が崩御し、楽俊は国が荒れる前に母を迎えに行こうとしていた。また陽子が官吏たちの間で苦労していることを聞き、様子を見に行きたいとの気持ちもあったが、母と陽子は自分が何とかするとして、延麒が楽俊に頼んだのである。

『十二国記』の主題歌・挿入歌

OP(オープニング):『十二幻夢曲』

ED(エンディング):有坂美香『月迷風影』

えどのゆうき
えどのゆうき
@edono78

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