乙嫁語り(森薫)のネタバレ解説・考察まとめ

『乙嫁語り』とは作者、森薫による漫画作品であり、作者の長編漫画第2作である。
19世紀後半の中央アジア、カスピ海周辺を舞台にイギリスからの旅行者「ヘンリー・スミス」が出会う人たちの物語。古語である「乙嫁」を「美しいお嬢さん」ととらえ、第1の乙嫁「アミル」、第2の乙嫁「タラス」、第3の乙嫁「ライラとレイリ」、第4の乙嫁「アニス」、第5の乙嫁「パリア」とそれぞれの話が進んでいく。

共通して登場する人物

ヘンリー・スミス

手前がスミス。奥にいるのはタラス。

この物語の主人公で、彼の旅先にて出会う乙嫁達の物語が展開されるという、狂言回しの役割をしている。
出身はイギリスでありイギリス人。ブロンドの髪と眼鏡をかけている。
性格は押しに弱くお人好しだが、とっさの機転でアミル達の危機を救うこともあった。
紋章入りの金の懐中時計を結納金代わりにおく、子守専用のメイドが家にいるなど、実家はかなり裕福。兄が長男であるため、実家を継ぐことはないので、自身は好きなことをさせてもらっていると言っている。異国の風習文化に興味があり旅を続けながら、出会った人たちのことを手帳にメモをしている。
第2の乙嫁タラスに恋心を通わせ婚約をしたが、土地の風習や独特の親子関係から引き離される。

アリ

一番左がアリ。その右隣から隣はカルクク、アミル、パリヤ。

アンカラまでのスミスの通訳兼案内人である。
口が達者で世渡り上手。
結婚の結納金をためるために、高級を目当てにスミスの案内役をかってでる。しかし結婚するような相手はいない。相手にこだわりがないので誰でもいいと結婚するとは言ってもその姿勢は楽観的。当初、スミスとは面識はなく、スミスはアリを探して一悶着を起こしてしまう。
お人好しなスミスに、呆れることもしばしばある。

用語

結婚

ライラとレイリの花嫁姿

この時代の人たちの平均寿命は50歳ほどであり、結婚適齢期は15歳から16歳ほどである。アミルは20歳で結婚したので、相当な行き遅れと言える。
結婚は本人達の自由な恋愛などできるはずもなく、特に遊牧民族であれば他の部族などに声をかけて適度な相手を見極め、早いうちに結婚をさせるのである。なぜなら婚期が遅れると子供を何人も産むことができないからである。
男家族は結納金の他、山羊や牛馬などを引き連れ、時には楽団を雇い嫁になる女性の家まで家族、親戚総出で向かうのである。そのお金は莫大なもので、一人結婚させるだけで大変な散財であった。
一方女性家族の方は、迎え入れる準備をする。あらかじめ男家族からもらっておいた山羊などをさばいて、お祝いに来てもらったお客さんのための料理を大量に作って待って待っておくのである。

子供

兄弟が多く、一人の女性がたくさん子供を産むことは良いとされている。
なぜなら、今の医学ほど進んでいない世の中であるから、せっかく生まれてきた赤ちゃんの死亡率が相当高かったと言えるからであり、生まれてきた赤ちゃんは母親が刺繍やらお守りやらを沢山つけて元気に育つように完全武装だった。

布支度

刺繍された布とカルククの姪であるティレケ

女性は結婚適齢期の前から、布支度という仕事をし始める。
布支度というのは、結婚の時に持参する日常的に使うものを作るだけでなく刺繍を施す作業であり、これの出来により嫁の善し悪しが決まるので、母親は嫁に行った先で娘が恥をかかないように一生懸命教えるのである。
櫛入れのような小さいものから、シーツのような大物までその種類は様々であり100種類ほどある。その中でも際だって絢爛豪華に仕上げないといけないのは、自分が着る花嫁衣装だ。これで近所の人にいい嫁が来たかどうかの判別をつけられる。
また刺繍にはお守りの意味もあり、生まれてくる子供のために魔除けの刺繍を入れることもある。

女性の仕事

アミルは、半遊牧民族であったので馬に乗り弓を使うことができるし、ライラとレイリは素潜りをして魚や貝を捕り、たまにはガラスを拾って市場へ持って行き家計の足しにしている描写がある。
そのほかにもこの土地の女性は、自分の作った刺繍のされた雑貨を売って家計の足しにしたり、育児、家事の他に、家畜の世話など、仕事は山のようにあり、休む暇はない。
それでも家の中の長は父親であり、父親が駄目と言ったものは誰がなんと言おうと駄目なのだ。

民族間の違い

中央アジアもかなり広く、それぞれで着ているものや習慣も違う。
食生活も違い、アミルの実家は半遊牧民族であり狩猟をして生活をしている。対してエイホン家は昔は遊牧民族だったが今は定住し、羊やヤギを飼ったりして生活をしている。
タラスの家は、広大な土地があるらしくそこに羊を放牧して生活をしている。今でも広大ではあるがさらに昔は更に広大だったらしく、5人の息子が死に舅が死んだ後、一部を売り生活をしている。
ライラとレイリの家は湖の近くにあり、漁をしたり貝を取って生活をしている。キャビアも取れるらしい。
アミルのところは主食は石焼のパンだが、タラスの地域になると米が主流になる。特に焼き飯がおいしい。

乙嫁語りに出てきた焼き飯。炒めるとかではなく、どっちかというとピラフのような感じである。

書き込みの多さが際立つ絵

アミルの花嫁姿

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