乙嫁語り(森薫)のネタバレ解説・考察まとめ

『乙嫁語り』とは作者、森薫による漫画作品であり、作者の長編漫画第2作である。
19世紀後半の中央アジア、カスピ海周辺を舞台にイギリスからの旅行者「ヘンリー・スミス」が出会う人たちの物語。古語である「乙嫁」を「美しいお嬢さん」ととらえ、第1の乙嫁「アミル」、第2の乙嫁「タラス」、第3の乙嫁「ライラとレイリ」、第4の乙嫁「アニス」、第5の乙嫁「パリア」とそれぞれの話が進んでいく。

お風呂屋へ行くマーフとアニス。そこでアニスは一人の女性に出会う。それは豊満な肉体と美しい黒髪をを持つ「シーリーン」だった。
シーリーンは貧しい染め物屋の嫁であり、息子が一人いるという。一目見たときから、アニスはシーリーンと友達になりたいと思い、彼女らはやがて「姉妹妻」になる約束をする。

「姉妹妻」は特別な相手であり、夫と子供のいる女性が2人で姉妹妻の儀式を交わすのだ。相手の嫌がることはしない、影で悪口も言わない、嬉しいことも悲しいことも共有し、本当の理解者になることだった。
女性だけの部屋の中、アニスとシーリーンは姉妹妻の儀式を終える。そのときだった。シーリーンの夫が倒れたという知らせが来る。
急いで駆けつけるシーリーン。しかし時はすでに遅く、夫はもう死んでいた。葬式を終えてもシーリーンは夫を亡くした悲しみと、これからの生活の不安をずっと抱えていた。年老いた夫の両親。幼い子供を抱え、どうしたらいいかわからないでただ泣いている日々を過ごしていた。

アニスはその様子を聞き、ある決断をする。
シーリーンの家に行き、アニスは自分の夫の2人目の奥さんにしてもらうことを提案する。思いやりのある夫だ。反対はしないだろう。
しかし2人目の奥さんをもらうことに夫は戸惑っていた。アニスを心から愛し、1人だけでいいと思っていたのにシーリーンという2人目の奥さんの提案をされたからだ。しかしアニスの説得と慈悲心も手伝い、シーリーンを2人目の妻に迎え入れた。

そしてスミス達がペルシャを出たあと、孤独だったアニスはいつも隣にシーリーンがいることに幸せを心から感じていた。

第5の乙嫁

アミルがこの町に嫁いできて、最初にできた友達が「パリヤ」だった。最初にパリヤとアミルが出会ったのは、街の女性たちが共同で使うパンを焼く竃場にて出会ったのが最初だった。正直ではっきりした性格のパリヤとアミルはすぐに打ち解け合った。しかしパリヤには悩みがある。
率直過ぎる性格が仇になり、年頃になっても縁談が決まらなかったのだ。何人かの人とお見合いをしても結局相手を怒らせてしまい断られていて、すっかり自信を無くしていた。「自分はもう結婚できないのではないか」と自暴自棄になり、それをアミルが慰めることもしばしばあった。
そんな彼女に縁談が持ち込まれた。アミルとカルククとともにカラザにやってきたとき、出会った男「ウマル」だった。家族同士で話し合い、結婚の話も着々と進んでいたときだった。
この町アミルの実家である「ハルガル」の襲撃にあい、パリヤの家も崩壊してしまったのだ。そこでパリヤ一家はアミルの家に家が元に戻るまで居候をすることになる。

崩壊したのは、家だけではなく嫁入りをする前のパリヤの嫁入り道具として用意していた刺繍を施した日用品も無事なものはほんの少ししかなくなっていた。
パリヤは一からそれを揃えなければいけない状況になっていた。布支度(刺繍を施す作業)は花嫁の必須であり、普段使いの日用品から、花嫁衣装まで花嫁の手で全て仕上げないといけない。その刺繍の手の入れようによって嫁としての第一印象が決まってしまう大事な仕事でもあった。
しかしパンを焼くことや飾り付けは得意だったが、刺繍は大の不得手でありいらいらしながら進めていく。
そんな様子にカルククの祖母、「バルキルシュ」からの「大事な人を思いながら縫う」というアドバイスにより、パリヤはコツをつかむ。元々は不器用ではないパリヤは、刺繍を徐々に仕上げていく。

そんな様子の中、結婚を先延ばしにされたウマルは、父親からの薦めからパリヤの町にやってきて町の再建を手伝うことになる。そのお礼にとパリヤは周りの進めもありお礼を毎日するようになり、次第にウマルのことを意識するようになる。

ある日のことだった。眉墨用の葉を取りに行くように母親から言いつけられたパリヤは、ウマルとともにそこへ向かう。
その道中、何を話していいかわからない不器用なパリヤと、怒っているのではないかと思っているウマルと、不器用な気持ちが錯誤していた。
しかし帰途の道中、倒れている女性を助ける二人。そしてそのお礼にと一泊一食の世話になる。次の日、引いていた馬車の車軸が折れる。そこで二人は力を合わせて借り軸を入れることに成功する。しかし馬車はうまく走ることはできず、結局2人で馬車を弾きながら徒歩で帰ることになる。
家族に心配させてしまったが、ウマルは本来のパリヤを見ることができて嬉しかった。
そしてパリヤは水車の前で、ウマルに自分の想いを伝える。「布支度が終わるのがいつになるのかわからない。だけど終わるまで待ってくれないか」と。するとウマルは軽く「わかった」と言っただけだった。
自分の想いが本当に伝わっているのかわからなかった為、パリヤはウマルに本当に待ってくれるのかとしつこく聞く。するとウマルは彼女の肩を抱き、キスをすることで責任をとると言いくるめたのだった。

その後、助けた女性が夫とともにウマルたちにお礼をしたいとウマルたちを訪ねて歩いていた。しかし名乗らなかった2人は見つけることも難しかった。しかもウマルたちを「兄妹」だと思っていたのでさらに捜索を困難にしていた。
結局ウマルたちを見つけ夫婦はお礼にやってきたが、家族でもない男女を一緒に泊まらせたと後悔をしていた。しかしパリヤの父が「婚約者です」といったことにより、事前交渉段階だった縁談が正式に決定する。

登場人物・キャラクター

第1の乙嫁の登場人物・キャラクター

アミル・ハルガル

カルクク・エイホンの妻。物語開始時点では20歳。
出身は北の方のある半遊牧民のハルガル家。厳しい冬のみ定住するため、土地の問題は切実である。
馬に乗りながら弓を使い狩りをすることもできるし刺繍も上手。
20歳で嫁入りという、この時代のこの土地ではかなりの行き遅れであった。夫のカルククは12歳であったことから、被保護者的な対応をしていたが、徐々に男らしくなるカルククに純粋に魅力を感じ、恋心をもつ。
普段はしっかり者だが、過去に思わぬ病気で身内を失ってしまった経験があり、それ以来、エイホン家の誰かが病気をしても必要以上に焦ってしまう。
この時代の人にしてみては珍しいくらい羞恥心がないらしく、風呂上がりに下着姿で表に出ようとして何度も止められている。

カルクク・エイホン

妻はアミル・ハルガル。物語開始時点では12歳。
ハルガル家の末子であり、跡継ぎ。(この土地の人は末子相続が一般的)同居しているのは、祖父マハトベク、祖母バルキルシュ、父アクンベク、母サニラ、姉セイレケ、姉の夫ユスフ、姉夫婦の子供達にティレケ(長女)トルカン(長男)チャルグ(次男)ロステム(三男)。カルククとセイレケの間には兄弟が沢山いるようだが、みんなよそで自立している。
優しい性格であり、物腰は柔らかい。しかし、いざとなれば身を持って妻を守る強さも兼ね備えている。最近は、いざというときにアミルを守るためアミルに弓を習っている。

バルキルシュ

カルククにとっては祖母。
気迫に満ちた女傑であり、アミルを返せと言って家の中でユスフとアゼルとで小競り合いになったとき、弓一本で二人を黙らせた。
山羊を乗りこなし、馬が上れない崖も軽々と上ることができる。
ハルガルとエイホンの戦いにて、アミルの父が恨み言を言っているとき後ろからこっそりつけて弓で刺殺している。

アゼル

アミルにとっては兄。父の死後、族長になる。
融通が利かない性格であり、やや血の気が多い。そして父の言うことは絶対だと思っている。しかし内心、それに疑問を持っていた。
バダンの裏切りにてバダンにエイホン家もろとも襲われた時は、バダンの長であるオル=タムスを刺殺した。街の者に捕まった時殺されそうになったが、二階から見ていた老女たちがアゼルを庇い命拾いをした。
その後は、ロシア領の近辺にいる。

第2の乙嫁の登場人物・キャラクター

keeper
keeper
@keeper

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