ローゼンメイデン(Rozen Maiden)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

PEACH-PITによって2002年に発表された漫画。2007年までは『月刊コミックバーズ』にて連載され、その後『週刊ヤングシャンプ』へと移籍。タイトルをカタカナの『ローゼンメイデン』に改め、全20巻で完結した。2016年2月から新シリーズの『ローゼンメイデン0-ゼロ-』が連載開始するなど、今も人気の衰えない作品。人形たちがバトルするという新しい風を業界に吹き込み、ドールブームを定着させた立役者。

『ローゼンメイデン』の概要

コンセプトにあるのは「アンティークドールたちの戦い」であり、物語の根幹は「アリスゲーム」という、お父様にとっての永遠の少女であることを望む人形たちが、様々な手でバトルし、その生命の源となる「ローザミスティカ」を奪い合うというもの。
ドールたちは第1ドール・水銀燈と第7ドール・雪華綺晶をのぞいて、全員が戦うためには人間をマスターとして契約し、その力の媒介となってもらわなければアリスゲームに参加できない。
姉妹たちのローザミスティカをすべて集めれば永遠の少女、「アリス」になれるという前提から、ストレートにバトルを仕掛けるもの、自ら人形であることをやめるもの、自分なりの戦い方で協力するものなど、7人の薔薇乙女(人形)たちが数々の戦いをくぐりぬける。
言ってしまえば壮大な姉妹ゲンカなのだが、薔薇乙女たちの「お父様」への愛情は深く、戦い傷つけ合うことを誰もおかしいとは思わない。「私たちはそのために生まれてきた」といった意味のセリフもある。

ローザミスティカはいわゆる「賢者の石」であり、お父様とは錬金術師であり不死の人と名高い「サン・ジェルマン(ジェルミ)伯」ではないか、と匂わす場面も出て来るが、物語では明らかになっていない。
薔薇乙女たちの可憐でゴシックな装いに惑わされがちだが、いわゆるSFモノの「アンドロイド譚」でもあり、「与えられた生命をどのように生かしていくのか」が隠れたテーマでもある。

『Rozen Maiden』では「まいた」世界のジュンが主人公だが、カタカナの『ローゼンメイデン』ではまかなかった世界のジュンも登場し、パラレルワールド、並行世界、“選ばなかった可能性”というものにも言及する。そして、自分の未来は自分で変えられるという当たり前のことに気づかせてくれる。

『ローゼンメイデン』のあらすじ・ストーリー

『Rozen Maiden』のあらすじ・ストーリー

主人公の桜田ジュンは、引きこもりの中学生。趣味はネット通販で買った商品をクーリング・オフすること。両親は家におらず、姉の桜田のりと共に暮らしている。
そんなある日、DMで「まきますか? まきませんか?」という手紙が届く。怪しげな通販のDMだと思ったジュンは、「まきます」に丸をつけて机に放り込む。
そして届いたのは、精巧なアンティークドールの真紅だった。背中のゼンマイを巻いてやると、まるで人間のように話したり動いたりして、ジュンは圧倒される。
そこに第1ドール・水銀燈の刺客が現れ、ジュンと真紅はともに戦うことになる。
ドールはマスターとの契約をすることで力を操ることができ、ジュンは契約の指輪にキスをし、真紅のマスターとなる。
その後、幼馴染の柏葉巴の家にも第6ドール・雛苺というドールがいることがわかり、真紅は彼女を倒して、しもべとして力を分け与える。そうすることによりジュンがドールに渡すことになる力は大きくなり、ジュンの負担が増えた。
桜田家は賑やかになったが、それだけでは終わらなかった。第3ドール・翠星石がトランクに乗ってやってきて、双子の第4ドール・蒼星石が自分が目覚める前にひとりで契約を終え、悪い人間の手先になっていると告げる。
蒼星石を救うために3人のドールとジュンは戦って勝利するが、蒼星石のローザミスティカを水銀燈が横取りしてしまう。
水銀燈にはまだマスターがおらず、寄り添える相手は、親に見放されて入院している病弱な少女、柿崎めぐだけだった。
めぐはことあるごとに「私を殺してね」と水銀燈に頼む。水銀燈は「イカれてるわ」と言いながらも、めぐとの心の交流を深めていく。
第2ドール・金糸雀は、草笛みつというドールマニアのマスターの元、日々桜田家の偵察に励んでいた。
しかしあっさり見つかり、真紅が望むアリスゲームのあり方は、戦い合って頂点を決めたくないと思っており、楽しく桜田家でお茶をして過ごすことになる。
その頃ジュンは引きこもり生活をやめ、図書館へと通うようになる。
学校へ通おうと努力しているジュンの邪魔をしないようにしていたドールたちだが、“存在する”としか知らなかった第7ドール・雪華綺晶によって雛苺が食べられ、雪華綺晶の罠にかかったドールのマスターたちが眠りにつき、事態を収拾できない。
そこでジュンが、新しく扉をあけてドールたちを助けに行く。

『ローゼンメイデン』のあらすじ・ストーリー

「まかなかった世界」のジュンは、大学に通っていた。とはいっても高校にもいけず、大検で資格をとっての通学だ。
友達もおらず、打ち込める趣味もなく、ただひたすらバイトと生活をこなしているが、本屋のバイトの上司はとても嫌味なやつで、毎日が気が重い。
そんなある日、「少女の作り方」という組み立てパーツ付きの本が返品対象になっているが、版元も不明で返品するにできない状態だということに気づく。
なんとなくその少女を組み立てると、それは「まいた世界」の真紅のレプリカボディだった。時空の歪みを利用してこちらの世界に来たという。そして鏡を利用して水銀燈もこちらの世界に来ていた。メールで「まいた世界」のジュンともやりとりし、「まかなかった世界」のジュンは、バイト先の劇団員の女の子、斎藤ともいい感じになり、人生が充実し始めた頃、もうひとつの「少女の作り方」が届く。それは「次のドールのレプリカボディ」を作る内容で、ボディが欲しい雪華綺晶の罠だった。
しばらくは穏やかにバイトとドールたちの世話、そしてバイト先の斎藤の所属する劇団の手伝いなどをして過ごすが、斎藤が登場する舞台でアンティーク人形が必要になり、真紅を貸し出すことになる。
すると舞台上に巨大な蔓に覆われた時計塔が出現し、「まいた世界」、「まかなかった世界」、nのフィールド(現実世界と表裏一体をなす空間で、無数の世界が繋がっている場所)がこの蔓に集約されていることがわかる。
雪華綺晶が現れ、水銀燈と真紅とバトルするが、そこへ翠星石も現れる。
バトルで雪華綺晶のボディとなっていた蒼星石の体を取り返した翠星石は、自らのローザミスティカを分け与え、機能を停止する。
蒼星石は目を覚まし、「まかなかった世界」のジュンをマスターとして、水銀燈に提案をもちかける。「君が翠星石のローザミスティカを取り返してくれたら、僕の君に奪われたローザミスティカは君を主だと認める」と。水銀燈は馴染まないローザミスティカに苦しまされていた。
「まいた世界」と「まかなかった世界」の日常に戻るため、nのフィールドでは「まかなかった世界」のジュンたちは、「まいた世界」のジュンとも合流し、見事に雪華綺晶を倒す。
目を覚ました翠星石に蒼星石は別れを告げ、約束通りローザミスティカを水銀燈に渡す。「アリスゲーム」は勝者を決める残酷な戦い。その運命を受け入れなければならないドールたちは、みな沈痛な面持ちだった。
「まかなかった世界」のジュンはその後日常に戻る。手元には「少女の作り方」2号で作った人形(コドウグ)が残された。
「まいた世界」のジュンは図書館で勉強するようになっていて、そこで鳥海という少年に出会う。
気さくで明るく、ジュンのことを色眼鏡でみない良い友人としてつきあっていた。
そして転校生として柿崎めぐがジュンのクラスにやってきて、ジュンはめぐの策略により、彼女をいじめていたと非難を受ける。
さらにめぐによって精神が乱され眠り続けるようになってしまう。
水銀燈は『Rozen Maiden』内で雪華綺晶にとらわれていためぐを助けるためにnのフィールドを何度も探す。
めぐの入院していた病院のエレベーターが開くと、乗っていたみつ、巴、金糸雀、翠星石はnのフィールドに紛れ込んでしまう。
真紅、水銀燈がほかのドールたちと「まかなかった世界」のジュンを連れてその世界の奥深くに行くと、そこには鳥海が「自分は桜田ジュンだ」「自分がお父様だ」と立っていた。
実は鳥海は雪華綺晶が「理想の姉妹もお父様もいないなら作ってしまえば良い」として作り上げた幻想の存在だった。
ジュンは「お父様」と呼ばれる存在にドールたちを託され、アリスゲームを終焉させる。
アリスゲームの本当の勝者はおらず、誰も傷つけない戦い方をしていた真紅はローザミスティカを失い、その動きを止めた。
その後「まいた世界」と「まかなかった世界」のつなぎ目はゆるくなり、最終回では「まいた世界」のジュンは、真紅を動かすためのローザミスティカを探す旅に出ることを告げる。

『ローゼンメイデン』の登場人物・キャラクター(ローゼンメイデンたち)

真紅

ローゼンメイデン第5ドール。
金髪ツインテールに赤いボンネットという英国貴族を思わせる服装で、丁寧な口調だけれど毒舌家。
時間とお茶にうるさく、ジュンが心を開いていくきっかけとなる。
「ローズテイル」という花びらを鞭のように操る技を持っている。
マスターはジュン。

水銀燈

ローゼンメイデン第1ドール。
ロリータというよりもゴスロリに近い格好で、赤目に銀髪。
好戦的な性格で、しょっちゅう真紅たちのアリスゲームに割り込んでくる。
「ジャンク」と呼ばれるのが何より嫌い。
蒼星石のローザミスティカを掠め取るものの、体に馴染まず鞄で眠ることもできなかった。
病弱な少女・柿崎めぐをマスターとする。

金糸雀

ローゼンメイデン第2ドール。
緑の髪に黄色のロリータ服を着て、パラソルとヴァイオリンを持っている。
音に関する攻撃が得意で、水晶の壁を割ったりもできる。
偵察が得意と言う割には毎度桜田家の誰かにみつかっており、その能力は発揮されない。
マスターは草笛みつ。

翠星石

ローゼンメイデン第3ドール。第4ドールの蒼星石とは双子。
「庭師の如雨露」をもっており、心の木に水をかけて成長させることができる。
口が悪く、雛苺にも意地悪をよくしている。
マスターはジュン。

蒼星石

ローゼンメイデン第4ドール。翠星石とは双子。
双子の所以は、ひとつのローザミスティカをふたつの人形でわけあったから。
翠星石と対になるオッドアイで、ボーイッシュな格好をしている。
「庭師の鋏」で心の雑草を取り除くことができる。
マスターは結菱一葉。その後「まかなかった世界」のジュンがマスターになる。

雛苺

Satohad7
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