妖狐×僕SS(いぬぼくシークレットサービス)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『妖狐×僕SS』(いぬぼくシークレットサービス)は藤原ここあ作の漫画。
『月刊ガンガンJOKER』の創刊号である2009年5月号から2014年3月号まで連載。単行本11巻で完結。
2012年1月から3月までアニメが放送されていた。
妖怪の先祖返りが住まうマンション『メゾン・ド・章樫』。そこに住む少女・白鬼院凜々蝶とその護衛であるSS(シークレットサービス)の御狐神双熾を中心とした先祖帰りたちによるシリアスラブコメディー。

妖狐の先祖返り。
「先祖返りの力を管理する」という実家の方針により軟禁状態を強いられる。
自由のない暮らしから脱却するべく、周囲の女性と次々に関係を持つことで外の世界へと出ようとする。
14歳のときに実家で最も権力のある女性と関係を持ち、実家から離れるために蜻蛉の母親に取り入ろうとしたところ「自分の息子も先祖返りだか」らという理由で関係を持つことは拒否され、代わりに蜻蛉の世話係として実家を離れることを許される。
世話係として字が汚い蜻蛉の代わりに、蜻蛉を演じて凜々蝶への手紙を代筆。
凜々蝶の手紙に感動し、彼女の人柄に恋をする。
凜々蝶のSSになるためだけにSSになり、凜々蝶より1日早くメゾン・ド・章樫に入居している。
彼の部屋は凜々蝶の写真で埋め尽くされているなどかなりのストーカー体質を発揮する。
凜々蝶がタイムカプセルに入れるはずだった彼へのラブレターを読んでしまい、凜々蝶の気持ちを知り、恋人関係になる。
百鬼夜行との闘いで23歳の時に凜々蝶を庇って死亡。
2章では眼鏡をかけた姿で登場している。
前世である1章より厳重に監禁されて育つが、1章の凜々蝶が依頼していた人物によって外に出られることになる。
中学時代は蜻蛉・残夏に振り回されて過ごし、凜々蝶のSSになるために再びメゾン・ド・章樫に入居。
凜々蝶との生活の中で、凜々蝶に恋をする。
前世の記憶を思い出しかけて錯乱した凜々蝶を救うため、自身「前世(1章)の双熾」と思い込ませ、恋人関係とはいえない歪な関係となる。
1章のときに埋めたタイムカプセルを見つけたら凜々蝶が再び錯乱しかねないため、タイムカプセルを処分しようと掘り起こすが、蜻蛉と残夏によって阻止され、自分には過去の記憶がないことと凜々蝶の心を独占して、前世より厳重に監禁される原因となった「前世(1章)の双熾」を恨んでいることを告げる。
その後、凜々蝶により関係は解消されるが、凜々蝶に「愛している」と告げ、怪我をしている凜々蝶の代わりに1章の凜々蝶への手紙を代筆する。
その手紙に「貴女の一部に生まれたかった」という言葉を残している。
3章では命を殺害することで百鬼夜行を終わらせる。
凜々蝶に自身の女性をだまして自由を手に入れた過去を受け入れてもらい、恋人関係になり、幸せな日々を送る。
2章の双熾は3章の双熾と凜々蝶の間にできた子どもとして生まれ変わった描写があり、2章の彼が手紙に残した「貴女の一部に生まれたかった」という願いは叶ったようだ。
凜々蝶がすべてであり、一番のストーカー体質。腹黒いその性格から「天然黒(ピュアブラック)」とも呼ばれる。

反ノ塚連勝(そりのづか れんしょう)

一反木綿の先祖返り。
17歳の春にメゾン・ド・章樫に転居してきた幼馴染の凜々蝶の荷物運びを手伝う。
SSである野ばらには凜々蝶に出会う前に一度告白して振られている。
夏には高校卒業後はメゾン・ド・章樫を出て自立することを決めている。
野ばらの副業である霊障相談に時々付き合っている。
百鬼夜行の際はメゾン・ド・章樫に残っていたため、闘争には巻き込まれず唯一生き延びたが、野ばらを一人で行かせたことを後悔することになる。
23年後。41歳の春に生まれ変わった2章の凜々蝶と出会う。
41歳になっても独身を貫いていたのは、野ばらを愛していたからと思われる描写がある。
3章では2章の自分から受け取った手紙から、後悔しないように生きることを決意。
そのために野ばらには改めてプロポーズ。断られることはわかっていたが、反応は思っていたよりも悪くなく、想像よりも長期戦にはならなそうだと喜んでいた。

雪小路野ばら(ゆきのこうじ のばら)

雪女の先祖返り。
女の子が好きで、女の子であればどんな女の子にも可愛さを見出すことができる。「メニアック」という独特な誉め言葉を使う。
反ノ塚のSSであり、副業として霊障相談をしている。
21歳の春に凜々蝶と出会った。
百鬼夜行を追う中で22歳のときに死亡。
2章では14歳で登場し、反ノ塚の家に居候しつつ中学校に通う生活を送っていた。
2章でも1章の記憶を持っており、百鬼夜行を追っている。
このときに反ノ塚が吐いたため息をつかみ、幸せを吐き出すことを注意。
3章での戦いの際に攻撃を受けて死にかけるが、反ノ塚の幸せを握ったまま死ねないという理由で持ちこたえる。
戦いの後には反ノ塚にプロポーズされて断ってはいるが、悪くない反応を返している。

髏々宮カルタ(ろろみや カルタ)

がしゃどくろの先祖返り。
蜻蛉のSSであり、卍里の幼馴染。
幼い頃に友人と喧嘩した際に感情が昂り、がしゃどくろの姿を見せて怖がられてしまって以来、感情を抑え込むようになる。
感情表現が希薄であるため、誤解されやすいが、本能で善悪を判断しており、突飛な行動にも彼女なりの理由がある。
1章の百鬼夜行の際に命に襲われて自我を喪失。純粋な妖怪とみなされて殺処理されてしまう。
2章では転生した卍里のSSとして再会。
記憶を持っていたため、定期集会にも参加している。
記憶がない卍里とはすれ違いも多いが、それでも再び「仲良し」になることができている。
3章では死んだふりをしていた蜻蛉をこれ以上傷つけさせないよう守るために戦う。
ラストでは卍里と寄り添う姿も見られた。

青鬼院蜻蛉(しょうきいん かげろう)

鬼の先祖返り。
凜々蝶の婚約者であり、双熾の元主人。
物事や人にSかMかを判別する。自称「ドS」。
字が汚いため、双熾に凜々蝶への手紙を代筆させていたが、仲良くなっていくふたりに劣等感を抱いていた。
その後はペン習字講座によって少し字の汚さは改善されているが、それでも汚い。
百鬼夜行を追う中で24歳のときに死亡。
2章で記憶をもったまま転生してからは凜々蝶ときちんと文通をしている。
過去の幻想を追う凜々蝶に「前世(1章)の双熾」を演じる2章の双熾との関係を厳しく指摘。「今」を生きるように伝える。
3章では百鬼夜行を終えた後、友人である残夏と同じく短命の運命を持つクロエを連れて、運命を変える方法を探す旅に出ている。
エンディングでは、その方法を見つけたらしくメゾン・ド・章樫に帰ってきている。

渡狸卍里(わたぬき ばんり)

豆狸の先祖返り。
自称「不良」であるが、育ちがいいため、不良にはなりきれていない。
常に他人のために行動する優しい性格であり、カルタのことが好き。
幼少期はカルタと毎日遊んでいたが、同時に残夏・蜻蛉のおもちゃにもされていた。
カルタが人間に戻れなくなった際には「俺がずっと一緒にいてやる」と声をかけている。
百鬼夜行のことは戦闘能力ないことを理由になにも知らされずにいたが、居なくなったカルタの行方を探すうちに百鬼夜行に巻き込まれ16歳で死亡。
2章では幼少期に出会ったSSのカルタと共にメゾン・ド・章樫に入居。記憶を持たずに生まれ変わり、命と友達になっていた。
3章では戦いの際中に仲間を襲う命に「やめろ」と声をかけ、その隙に命が殺される。
3章の卍里は命の友達だった2章の卍里とは異なる存在だが、命を友人として扱い、死にゆく命に「また会える」と声をかけている。

夏目残夏(なつめ ざんげ)

百目の先祖返り。
卍里のSS。
一見するとおしゃべりで軽い男だが、周囲の人間の過去や未来・本音などすべてを視てしまう能力によって心の底には孤独を抱えている。
短命の運命を持ち、百鬼夜行との戦いとは関係なく病死。
2章では百目の力でいつも通り記憶を持ったままに転生。幼馴染の蜻蛉のSSを務める。
3章ではその力で仲間たちを真実へと導き、百鬼夜行を終わらせるも、力の使い過ぎで体調を悪くしてしまう。
短命の運命を受け入れようとしていたところに蜻蛉が同じく短命の運命を持ったクロエを連れて現れ、運命を変える方法を探すための旅に出る。
エンディングでは方法を見つけた様子であった。
凜々蝶に宿った命に2章の双熾の過去を視る。

悟ヶ原思紋 (さとりがはらしもん)

人の心を悟るサトリの先祖返り。
過去に攻撃性を持つ先祖返りに他の先祖返りを妖怪から守らせるのSS(シークレットサービス)の制度を発案している。
強力な能力とその発案により先祖返りの中の最高権力者となっている。
周囲の人間のすべてを悟ってしまうため、外に出ると発狂してしまう可能性があり、家から出ることができない。
そのため、死体からその者の人生を物語として悟ることだけを生きがいにしていたが、出会ったばかりのころの命に生命を軽視することを咎められて反省している。
幼い頃は無邪気な性格であり、千年桜の未練のある過去に戻す力を命に伝えてしまい、事故で命を不老の身体にしてしまった。
未練もない世界に生き続ける孤独に嘆く命に「自分が命の未練になるから千年桜で戻ってきてほしい」と伝える。
年を追うごとに閉じ込められた生活の中で倫理観を失っていき、一度は反省していた死体からその者の人生を物語として悟ることに執着。
その頃には命との関係も歪んだものになっており、命とは互いに執着しあう関係となってしまっていた。
死体から悟る物語に執着した思紋が「もっと命(いのち)が欲しい」と願ったために、命は百鬼夜行をはじめてしまうことになった。

犬神命(いぬがみ みこと)

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