蟲師(漫画・アニメ・映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

蟲師(むしし)は漆原友紀の手による漫画作品。1999年から2002年にかけてアフタヌーンシーズン増刊にて連載された。見慣れた動植物とは異なる生き物「蟲」と人々の営みを蟲師・ギンコの視線を通して描く。第30回講談社漫画賞・一般部門賞受賞。2005年フジテレビ系列にてアニメ化、数々の賞に輝き、2007年オダギリジョー主演で実写化されている。

『蟲師』の概要

見慣れた動植物とは異なる奇怪な生き物「蟲」。
蟲が引き起こすあらゆる事象を取り扱う、蟲専門の医者、研究者である蟲師・ギンコが、さまざまな土地を巡る中で出会うさまざまな蟲と人の生き様を描くファンタジー作品。

1999年2003年まで講談社「月間アフタヌーン」増刊号「アフタヌーンシーズン増刊」にて連載され、同誌の休刊後は「月間アフタヌーン」本誌で2008年まで隔月連載された。
2013年に特別篇「日蝕む翳(ひはむかげ)」が前後編で掲載されている。

「鎖国を続けた日本」または「江戸期と明治期の間にある架空の時代」を想定した時代設計をされており、登場人物はほとんどが和装である。作中に登場する場所も、日本の昔懐かしい町並みや風景が採用されている。
また、物語が人物の回想によって展開していき、ギンコの行動時間や行動範囲に収まらず、伝聞による時間や世界が描かれることがある。

ストーリーは1話完結を基本としており、蟲師のギンコが旅の中で訪れた土地が物語の舞台となる。
そのため毎回異なるキャラクターが中心となって話が展開し、シリーズを通して複数回登場するキャラクターは極めて少ない。
また、主人公であるギンコも、蟲の引き起こす事象の解決のため毎話登場するものの、物語の主役はあくまで舞台となる土地の人々であるため、ギンコ自身は狂言回しとして最低限の出番であることもしばしば。
昔話や民話、伝承、民俗学、生物学、医学、現代社会に存在する諸問題などを題材としたものも多く、これらを「蟲の仕業」として組み込んで物語が作られている。

2003年、文化庁メディア芸術祭・マンガ部門優秀賞。
2006年、第30回講談社漫画賞・一般部門受賞。
2007年、文化庁メディア芸術祭「日本のメディア100選」マンガ部門選出。

2005年10月、長浜博史監督、中野裕斗主演でテレビアニメ化される。
2006年3月25日、東京国際アニメフェア第5回東京アニメアワード・テレビ部門優秀作品賞・美術賞を受賞。
文化庁メディア芸術祭「日本のメディア芸術100選」アニメーション部門では総合第6位を獲得し、2000年から2007年に制作された作品の中で第1位に輝く。
文化庁メディア芸術祭10周年企画展「日本の表現力」において、現代のアニメ作品の1つとして、第1話「緑の座」が紹介上映されている。

2007年3月、大友克洋監督、オダギリジョー主演で実写映画化されている。

『蟲師』の登場人物・キャラクター

ギンコ(CV:中野裕斗 幼少期:沢城みゆき)

主人公。白髪片目が特徴の男性。年齢は不詳。
出生名はヨキ。幼少のころは旅商人であった母親と共に行商の旅をしていた。
崖崩れで母親をなくし、行き倒れていたところを蟲師・ぬいに拾われる。
ぬいの庵の傍の池に棲む蟲・銀蠱(ぎんこ)とトコヤミが原因で、目と髪の色が変化し、左目と本名を含む記憶を失った。

記憶喪失後は「ギンコ」と名乗り、蟲師やワタリの間を転々として暮らしていたが、蟲を寄せ付ける体質のため一処に留まれず、独立して旅の蟲師として生計を立てる。

自然と惹きつけてしまう蟲を散らすため「蟲煙草」を常に咥えている。
蟲と共存していくことを信条としており、蟲を殺す蟲師が多い中で殺生を好まない珍しい蟲師である。
冷静沈着で、親しみやすいタイプではないが人当たりは良い。
ワタリのイサザ、医者の化野と個人的な付き合いがある。

狩房 淡幽(かりぶさ たんゆう)(CV:小林愛)

狩房家の娘。
狩房家は遥か昔、非常に強力な蟲を体内に封印した先祖がおり、そのため子々孫々の肉体に数世代置きに蟲が宿る。
蟲を宿した者は肉体的に不自由を抱え、蟲を封印し続けるために「筆記者」となり、蟲を屠った体験談を聞いては紙に書き写す役目を背負う。
淡幽は狩房家4代目筆記者であり、蟲の宿る右足が墨色の痣で覆われている。
肉体を蟲に苛まれながらも、蟲を屠る話を自慢げにする蟲師に疑問を抱き、ギンコの話す「蟲と人が共存する世界」を愛する。

化野(あだしの)(CV:うえだゆうじ)

医者。海辺の里に住んでいる。
収集家であり、蟲が絡む品物を求めている。
その趣味のためにトラブルを招くこともあるが、蟲師の仕事に理解を示し力を貸してくれもする、ギンコの友人のひとりである。

イサザ(CV:岸尾だいすけ 幼少期:小清水亜美)

光脈筋を追って流れ歩くワタリの者。
生き物の光脈筋の変動や蟲に関わる情報を蟲師に売って生計を立てている。
ギンコとは子供の頃からの付き合い。

ぬい(CV:土井美加)

白髪緑眼の蟲師。
母親を亡くして行き倒れていたヨキ(後のギンコ)を拾い、怪我の手当てをしながら蟲の存在と付き合い方を教えた。
郷里に夫と子があったが、彼らを含む幾人かが山に行ったまま帰ってこないと聞いて山に入り、そこで周囲を闇に取り込む蟲・トコヤミと、闇を食う蟲・銀蠱(ぎんこ)を見つける。
トコヤミと銀蠱の研究を進める中で家族が常闇になってしまったことを悟り、トコヤミの棲む池近くに住まい、自身もトコヤミとなって消える。
その際、ヨキも共にトコヤミに呑まれたが、闇の中で手を引き、現世へ戻る術を教えた。

『蟲師』の用語

蟲(むし)

見慣れた動植物とはまるで異なる生命の源に限りなく近い存在。
「みどりもの」とも呼ばれる。
劇中では「生と死の間、者と物の間にいるもの」、「陰より生まれ、陽と陰の境をたむろするモノ共」、「我々とは在り方の異なる命」と説明され、その姿が見える者と見えない者が存在する。
その生態は謎に包まれており、日々蟲師たちが研究に励んでいる。姿形も多種多様。

蟲師(むしし)

蟲専門の医者、研究者。
土地土地を巡りながら仕事をする者もいれば、里の蟲師として活躍する者もいる。
基本的に個人営業だが、蟲師間での情報交換など横の繋がりはある。
また、光脈を追うワタリの者から蟲の絡む噂を購入したりもしている。

光脈・光脈筋(こうみゃく・こうみゃくすじ)

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