英国王のスピーチ(The King's Speech)のネタバレ解説まとめ

幼い頃から吃音というコンプレックスを抱え、人前に出ることが苦手だった英国王ジョージ6世。言語療法士のライオネルは独自の練習法で彼に自信をつけさせていく。コンプレックスを克服し王として成長していくジョージ6世の姿と、ライオネルとの身分を超えた友情を、史実に基づいて描いた歴史ドラマ。
第83回アカデミー賞において、作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞の4部門を受賞。監督はトム・フーパー。

概要

『英国王のスピーチ(原題:The King's Speech』は、2010年公開のイギリス、オーストリア合作映画。監督は、演出家として数多くのテレビドラマを手掛けてきたトム・フーパー。

第83回アカデミー賞において、作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞の4部門を受賞。ジョージ6世を演じたコリン・ファースは第68回ゴールデングローブ賞でも主演男優賞を獲得した。

日本では2011年2月26日に公開され、第35回日本アカデミー賞の最優秀外国作品賞を受賞した。

あらすじ・ストーリー

1925年のイギリス。大英帝国博覧会の会場には、父ジョージ5世の代理で演説を行うヨーク公アルバートの姿があった。しかし、言葉に詰まり上手く話せないアルバートの姿に聴衆たちは落胆する。彼は幼い頃から吃音症に悩まされていたのだ。

妻のエリザベスはそんな夫の苦悩する姿をいつも気にかけていた。そして彼の力になれる人物を探すうち、オーストラリア出身の言語療法士、ライオネルと出会う。今までありとあらゆる治療法を試してきたアルバートは乗り気でなかったが、エリザベスはなんとか夫を説得し、ライオネルのもとへ連れて行く。

アルバートが王子であることを知っても、ライオネルの態度は変わらなかった。お互いを愛称で呼ぶことを提案し、禁煙を命じた。不信感を募らせるアルバートに、1シリングを賭けて「ハムレット」の朗読をさせるライオネル。しかしそれは単なる朗読ではない。大音量のクラシックが流れるヘッドホンをして、自分の声が聞こえない状態で行うのだ。朗読を始めたアルバートだったが、「この治療は合わない」と途中でやめてしまう。足早に立ち去ろうとするアルバートに、ライオネルは彼の朗読を録音したレコードを手渡した。

世界大戦の勃発する不安定な時代。ラジオの普及とともに求められたのは「王の声」だった。父王ジョージ5世は、アルバートの兄デイヴィッドが王位を継ぐことを不安視していた。そして王族の責務を担うものとしてアルバートにスピーチの練習をさせ、厳しく指導する。うまく話せないアルバートは落ち込み、ふとライオネルから受け取ったレコードを手に取る。どうせ上手く話せていないと思っていたアルバートだったが、そこから聴こえてきたのは、「ハムレット」を滑らかに朗読する自分の声だった。

そしてアルバートはライオネルのもとへ通い始める。ライオネルは発声練習や呼吸法など、型破りなやり方でアルバートを指導していく。アルバートも吃音の一因となった幼い頃の悲しい出来事をライオネルに打ち明け、いつしか2人の間には身分を超えた友情が芽生え始めていた。

1936年、ジョージ5世が崩御し、兄デイヴィッドがエドワード8世として即位する。しかし離婚歴のある女性との結婚を望んでいたため1年足らずで退位し、アルバートはジョージ6世として即位することとなった。あくまでも兄が国王になるべきだと主張してきたジョージ6世は、ライオネルとも対立し、治療もやめてしまっていた。王位継承協議会のスピーチで大失敗し、ライオネルの力が必要だと改めて感じたジョージ6世は、彼の元を訪れ謝罪した。

ライオネルのおかげで載冠式を無事乗り越えたジョージ6世だったが、時代はヒトラー率いるナチスドイツのポーランド侵攻をうけ、英国がドイツに宣戦布告、第二次世界大戦へと突入していく。ジョージ6世は国王として国民を鼓舞するため、ラジオで演説を行うことになる。その傍らにはもちろん、ライオネルがいた。

緊張するジョージ6世に対しライオネルは「私に向かって友達に話すように」と言い聞かせ、マイクへ向かうジョージ6世の真正面に立った。決して滑らかではないが誠意あふれるそのスピーチは、国民の心をひとつにした。バルコニーに立ち国民に手を振るジョージ6世。ライオネルはその姿を遠くから暖かく見守っていた。

登場人物・キャラクター

ジョージ6世(コリン・ファース)

ジョージ5世の次男。幼い頃にうけた乳母からの虐待や厳しいしつけにより、病弱で内気な性格になり吃音症にも悩まされていた。ライオネルとの出会いにより、徐々に吃音症を克服。国王への即位は本人にとって望むものではなかったが、持ち前の誠実さで責務をこなし、国民から厚い信頼を得た。

ライオネル・ローグ(ジェフリー・ラッシュ)

オーストラリア出身の言語療法士。第一次世界大戦後は戦争神経症に苦しむ元兵士たちを治療。医師の資格がなかったためライオネルの治療に懐疑的な者もいたが、ジョージ6世は彼の治療によって吃音症を克服した。その親交は晩年まで続き、ジョージ6世が崩御したおよそ1年後にロンドンで死去した。

エリザベス妃(ヘレナ・ボナム・カーター)

ジョージ6世の妻。吃音症に悩む夫を常に気遣い、献身的に支える。夫が国王に即位し自身も王妃となると、王族として精力的に活動。ジョージ6世が56歳で崩御すると、長女のエリザベスが王位を継いだため王太后と呼ばれた。イギリス国民の精神的支柱として晩年になっても国民から愛され、死去する数か月前まで公務をこなした。

エドワード8世(ガイ・ピアース)

ジョージ5世の長男。幼少期から次期国王として厳しい教育を受ける。明るく社交的な性格であったが女性問題が絶えず、国王として不適格だと父から言われてしまう。国王に即位した当時、離婚歴のある既婚者ウォリスと交際しており、彼女との結婚を諦められず1年足らずで退位。半年後にはウォリスと結婚し、生涯をともにした。

ジョージ5世(マイケル・ガンボン)

ジョージ6世とエドワード8世の父。世界大戦など不安定な情勢の中、ラジオの普及も伴い、国民に声を届けることが重要と考えた。今も恒例となっているクリスマス演説を最初に行った人物で、国民からも広く愛された。王としての責務を常に考えるが故、息子たちに対しての指導は時に厳しすぎるものとなった。

時代背景

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