歩いても 歩いても(Still Walking)のネタバレ解説まとめ

兄の命日に久々に実家に集まった横山家。しかし次男の良多は父と折り合いが悪く、気が重い。食卓には母の作った手料理が並び、思い出話に花が咲く。そんな何気ない会話の中に、家族それぞれが抱えた事情が見え隠れする。どこにでもある家族の夏の一日を静かに繊細に描いた、是枝裕和監督の思いが詰まったホームドラマ。

概要

『歩いても 歩いても(英題:Still Walking)』は2008年公開の日本映画。『誰も知らない』などで世界的な人気を誇る是枝裕和が原作、脚本、監督、編集を務める。
国内だけでなく世界各地の映画祭でも上映され、ユーラシア国際映画祭や香港映画祭などで最優秀監督賞を受賞。
母・とし子を演じた樹木希林は、国内で数多くの助演女優賞を受賞し、フランスで行われたナント三大陸映画祭では最優秀女優賞を受賞した。
音楽は『誰も知らない』に続き2作目のタッグとなるゴンチチが手掛けた。

あらすじ・ストーリー

自然豊かな海の見える町にある横山家。台所では母親のとし子(樹木希林)が長女のちなみ(YOU)と軽口をたたきながら、手際よく食事の準備をしている。今日は久しぶりに次男の良多(阿部寛)が妻子を連れて帰ってくるのだ。

しかし実家へ向かう良多の足取りは重い。昔から優秀な兄の純平と比べられ、引け目を感じながら生きてきた。開業医だった父の恭平(原田芳雄)は純平を跡取りとして期待をかけて育ててきたが、純平は15年前に海で溺れていた子どもを助けようとして亡くなった。今日はそんな兄の命日だった。

良多の妻ゆかり(夏川結衣)はこれが2度目の結婚だった。息子のあつし(田中祥平)は亡くなった前の夫との子で、良多のことをいまだに「良ちゃん」と呼んでいる。ゆかりは今日だけでもパパと呼ぶように頼むが、あつしは意に介さない。

実家につくとちなみの夫の信夫(高橋和也)と2人の子どもも来ており、家は一気に賑やかになる。しかし恭平はちらっと顔を出しただけで、廃業した診察室に籠ってしまう。

出前の寿司を囲んで賑やかな昼食が始まる。良多と恭平の会話は相変わらずぎこちないが、ちなみと信夫が持ち前の明るさでその場を取り持っていた。
昼食を終えてウロウロしていたあつしは、診察室を見つけ、そっと忍び込む。戻ってきた恭平に将来の夢を聞かれたあつしは「ピアノの調律師」と答え、その理由を「音楽の先生が好きだから」と話す。恭平は医者になることを勧めるが、それを聞いていた良多は「変なことを吹き込まないでください」と憤慨する。

午後、良多一家ととし子の4人は、兄の眠る墓へ向かう。墓に水をかけながら「暑かったでしょう」と話しかけるとし子。帰り際にモンシロチョウを見つけ、「冬になっても死ななかったチョウが黄色くなって戻ってくるんだって」と誰から聞いたともわからない話を良多に聞かせる。

夕方、一人の青年が横山家を訪れる。今はフリーターだというその大きな男は、15年前純平が助けた子どもだった。彼は毎年命日に横山家を訪れ、仏壇に手を合わせているのだ。なにかにつけて「すみません」と謝る彼に、とし子は帰り際「また来年も来てちょうだい」と念を押す。青年の帰宅後、「なんであんなくだらん奴のために…」と吐き捨てる恭平に、良多は「医者がそんなに偉いんですか」と言い返す。そんな重く沈んだ空気を、信夫がおどけた態度で和ませた。

ちなみ達が帰り、良多一家と両親は夕食にうな重を頼んだ。とし子は思い出の曲だと言って「ブルーライトヨコハマ」のレコードをかけ、ご機嫌に口ずさむが、良多と恭平は相変わらずの態度。必死に話題を探しその場を取り持とうとするゆかりだったが、気を使いすぎて疲れ切ってしまう。

良多は居間で編み物をするとし子に、純平に助けられた青年の事を話す。「もう呼ばなくていいんじゃないの」と言う良多にとし子は「15年やそこらで忘れてもらっちゃ困るのよ」と言い返す。
良多が風呂から上がると、家の中に入ってきたモンシロチョウをとし子が追いかけていた。「純平が帰ってきた」と言って夢中でチョウを追う母の姿をしばらく見つめていた良多だったが、そんなはずないとチョウを捕まえて外へ逃がすのだった。

夜、あつしは庭でひとり、空に向かってつぶやく。「大きくなったらパパと同じピアノの調律師になりたいです」「それがダメだったらお医者さんになりたいです」

翌朝、良多は恭平とあつしを連れて海へ向かう。野球の話をする恭平に、今はサッカーだからと、いつかあつしと3人でサッカーを見に行こうと提案する。しかしその約束は果たされることなく、数年後に両親は他界した。

それから何度目かの夏。良太はゆかりとあつし、そして小さな娘を連れて墓参りに来ていた。あの時母がしていたように「暑かっただろう」と話しかけながら墓石に水をかける良多。
帰り際、モンシロチョウを見つけた娘に、「冬になっても死ななかったチョウが黄色くなって戻ってくるんだって」と誰から聞いたともわからない話を聞かせるのだった。

登場人物・キャラクター

横山 良多(阿部 寛)

横山家の次男。絵画修復師の仕事をしていたが、現在は失業中。常に優秀な兄と比べられてきたため、家を出てからは疎遠になっている。

横山 ゆかり(夏川 結衣)

良多の妻。夫に先立たれ一人息子を育てていたが、良多と出会い再婚。夫の実家、それも2度目の結婚であるため、常に気を使っている。

横山 あつし(田中 祥平)

ゆかりの長男。学校で死んだウサギに手紙を書こうと言った女の子を笑ってしまうなど、幼くして父の死を経験したせいか、どこか達観したようなところがある。

横山 とし子(樹木 希林)

横山家の母。専業主婦として3人の子どもを育ててきた。明るくおしゃべりでユーモアもあるが、ちなみとの会話の中でゆかりのことを「人のお古」と称したり、時々辛辣なことを言う。

横山 恭平(原田 芳雄)

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