満月をさがして(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『満月をさがして』とは、2002年から2004年まで種村有菜により『りぼん』に掲載されていた、ファンタジー漫画およびアニメ作品である。
喉の病気で余命わずかの少女満月が、死神タクトの力を借りて変身して歌手になるというストーリー。少女と死神の交流を描きながら生と死といったテーマも根底にあり、小中学生から大人まで幅広い人気を集めた。

『満月をさがして』の概要

『満月をさがして』とは、2002年1月号から2004年6月号まで種村有菜により『りぼん』に掲載されていた、歌手を目指す病弱な少女が死神の力を借りて夢を叶えるファンタジー漫画およびアニメ作品である。タイトルの「満月」は「フルムーン」と読む。全30話、7巻。2002年4月から2003年3月までテレビ東京系列でアニメ化された。全52話、DVD全13巻。
12歳の少女、神山満月が主人公。最愛の人、桜井英知との約束で歌手を目指しているが、喉の病気が原因で思い通りに歌うことができない身体であった。そんな満月の前に、二人組の死神タクトとめろこが現れる。満月はタクトの能力を借りて16歳の姿に変身し、音楽事務所のオーディションを受ける。オーディションに合格した満月は、「フルムーン」という芸名でデビューを果たす。小中学生から大人の女性向けの、変身魔法少女アイドル作品に分類される。

『満月をさがして』のあらすじ・ストーリー

フルムーンとして歌手デビューする

12歳の少女神山満月(こうやまみつき)は、喉の病気で主治医の若王子圭一(わかおうじけいいち)に手術を勧められていた。だが、手術を受けると声が出せなくなるため、歌うことが大好きな満月は「声が出なくなるくらいなら死んだ方がマシ」という考えでいる。そんな時に、突然死神のタクト・キラとめろこ・ユイが目の前に現れた。彼らは、満月の寿命があと1年だということと、満月の死を阻止しようとする者がいることを伝える。それを聞いた満月は、あと一年の命ならどうしても歌手のオーディションを受けたいと言い、タクトの神術を借りて16歳の健康な女性の姿に変身した。無事にオーディションに受かった満月は「フルムーン」の芸名でデビューすることとなった。

ライバル歌手の若松円(わかまつまどか)に「どうせ顔がいいからでしょう」などと嫌味を言われながらも、フルムーンは芸能界を突き進んでいく。満月が歌手を目指していたのは、昔同じ養護施設にいた思い人の桜井英知との約束だからである。英知がアメリカへ行ってしまう前に、次に会う時までにお互いに夢に近づいていようと約束していた。それを知ったタクトは「男のためだなんて不純だ!」と怒りを露わにしたが、めろこは彼女の恋を応援した。
家を抜け出して歌手活動をする満月に不信感を抱いた祖母の神山文月(こうやまふづき)は、満月を離れの部屋に閉じ込めてしまう。タクトに助け出された満月は、家を出る決心をする。フルムーンの姿になった満月は、満月を探しにきた文月に偶然会い、悩んだ末に自分のCDを「捨てちゃってもいいですから。お願いです。聴いてください」と手渡した。受け取った文月はフルムーンが去ってから「音楽なんてきらいよ。いつも私の大切なもの、奪って行くのですもの」と悲し気な表情を見せた。

ライバル若松円との対決

家出している最中に、満月は偶然円と出会う。満月がフルムーンだと知らない円は、満月を家に招いて優しく接した。満月は戸惑いながらも「私は歌がすきで一生懸命やって、まどかさんも歌がすきで一生懸命やって。どんどん良くなるのっ、なんかそういうのいいよね…っ、うれしい…!」と好感を抱くようになった。
シャンプーのCMにフルムーンと若松円が起用される。同じ曲で歌って対決するというものであり、満月はわくわくしていた。しかし、死神のいずみ・リオとジョナサンの策略によりフルムーンの歌詞が盗用されてしまう。同じ歌詞で歌う円の姿にショックを受けながらも、フルムーンは即興で歌を披露した。人魚姫のイメージで歌ったその曲は、円の歌よりも周りの者に好評だった。しかし、インターネットでの人気投票ではいずみに不正アクセスされ、フルムーンは円に倍の票差で負けてしまう。
勝者であるはずの円は、すっきりしない面持ちでフルムーンの元を訪ねる。負けたことを気にしていない様子のフルムーンは「最初はただあの歌詞をもう歌えないってことが悲しかったですけど、よく考えたら気持ちは残ってるから。言葉を変えてもちゃんと伝わるって思ったんです」と円に伝えた。その言葉で円は自分を恥じ、CMを降板してアイドルも辞めると言う。マネージャの今村鈴たちの説得により、どうにか円が辞めることは避けられた。

いずみとの対面

めろこが急に泣き出してしまうことがあり、満月は心配する。そんな時にめろこに「満月はタクトのことどう思ってるの?」と尋ねられた。満月は「大切な人ですよ」と言うが、めろこがタクトと満月の仲を怪しんでいることに気付いて慌てて否定した。「私が英知君以外の人を好きになるなんて、ないですから」と一途に英知を思う満月の様子に、めろこは罪悪感を耐えきれなくなった。CM対決で満月が負けてしまったのは、元はと言えばめろこのせいなのだと白状する。死神いずみの存在を教え、めろこは満月に謝りながらも「助けてほしい」と頼む。めろこはずっと前からいずみのことが好きで、どうしても逆らえないのだと言う。
満月はいずみを探しに行き、対面する。いずみは飄々とした態度で「本当は君の夢の邪魔とか、どうでもよかったんだ。だって僕の目的は君の魂を奪うことだから」と言う。いずみが人間界にやってきたのは、満月と慣れ合って仕事を全うしようとしないタクトとめろこの代わりに、満月の魂を奪うためだったのだ。死ぬ覚悟ができていたはずの満月も、いざ魂を奪われそうになると必死で抵抗する。間一髪のところでタクトとめろこがやってきて、いずみの策は止められた。いずみは満月の魂を奪うことをあきらめるが、満月の心にはわだかまりが残る。「覚悟ができているなら、命日でも今でも同じことでしょ?」といういずみの言葉を思い出し、「もう少し、生きる意味をさがしてみたい。たった一瞬でいいから、思い切り輝いてみたい」と願う。

タクトの過去と、英知の真相

主治医の若王子が、フルムーンのプロデューサーになる。彼はかつて、人気バンド「ROUTE:L」のキーボード担当であった。行方不明になった満月を探すため、医者を休業して芸能界に戻ってきたのだ。
若王子はフルムーンの正体が満月だと思い、問い詰める。「芸能界なら君に会えると思ったんだ。君が行くなら歌が歌えるところか、英知君の居場所しかないと思ったから」という若王子に、フルムーンは「違います」と否定した。そのことを聞いたいずみは、英知が満月の死を阻止する人間なのではないかとタクトとめろこに助言する。もし英知が満月の死を阻止する人間ならば、二人を会わせないようにしようとタクトとめろこは決めた。
若王子が英知の居場所を知っているのではないかと、タクトは人間の姿になって探りを入れにいく。人間の姿で若王子と対面すると、若王子は驚愕の表情で「托人…」と口にした。タクトは思わずその場を逃げ出すが、脳裏に記憶が蘇ってくる。死神は全員、生前に自殺した元人間であり、タクトは人間だった頃「ROUTE:L」のボーカル吉良托人だった。托人は満月と同じような喉の病気で、声帯を摘出したために声を失ってしまった。歌を歌えなくなり、絶望した托人は投身自殺を図った。
タクトの様子が只事ではないと思った満月は、マネージャーの大重正実にタクトについて尋ねた。そして、托人の過去について知る。満月は「こんなに近くにタクトの世界があったなんて…」と呆然とする。タクトはまだ死神見習いで、耳も羽もレプリカである。その状態で生きていた頃の記憶を取り戻すと、幽霊になってしまう。タクトは自殺した罪悪感にかられて、このまま幽霊になって消えてしまおうとする。だが満月は「完全な死神になれたら、記憶を取り戻しても幽霊にならずにすむのでしょう?枷なら私がとっぱらってあげるから、歌っていいよ」と言う。満月は、タクトを探すために走り回り過ぎたせいで、そのまま気絶してしまった。タクトが完全な死神になる手段は、満月の命を奪うことである。躊躇っているタクトを、めろこは「満月の命、とっちゃだめだよ…」と止めた。「今ここで満月の命を奪えば、タクトは消えずにすむわ。でも絶対後悔する。自分の命を自分で奪ったことを今でも悔いているように」と言うめろこの言葉に、タクトも満月の命を奪わない選択をした。
タクトは、生前に幼い満月と出会っていたことを思い出す。満月の父親の古賀葵が事故で亡くなった後、養護施設に預けられた満月の様子を、若王子と一緒に見に行っていたのだ。
タクトとめろこは、英知を探して満月と会わせてやり、満月の死を阻止してもらおうと計画する。だがその中で、英知は既に飛行機事故で死んでいることを知る。そして、満月も初めからそのことを知っていて隠していたのだ。

満月の心の闇と、フルムーンの成長

順調に芸能界の道を歩んでいると思われたフルムーンだが、ある日円に「あんたの歌には致命的な欠陥がある!それに気づかなければここで終わりよ」と言われてしまう。気になった満月は若王子に、フルムーンの歌に何か問題はないかと尋ねた。若王子は悩みながらも「詩に感情がこもっていない」と言う。若王子の「君の歌は、本当に君が心から叫びたいことなの?」という言葉に、満月の脳裏に英知が浮かぶ。英知の死を知りながら、悲しい現実から目を逸らし続けていた満月。覗かれたくないと思う心をこじ開けることなんて、自分には無理かもしれないと満月は思う。
どこかよそよそしい死神たちの様子が気になっていた満月は、ジョナサンに「英知君は死んでたってタっくん(タクト)たち言ってたよ」と言われて、英知の死を死神たちに知られてしまったことに気付く。満月は心を閉ざし、置手紙を置いて家を飛び出した。タクトはそんな満月を探し出し、「俺がおまえの死を阻止する者になる!」と告げた。さらに「好きだ」と告白するが、満月は英知を思い、タクトを拒絶した。
新曲のレコーディングが始まるが、フルムーンは思い通りに歌えなくなってしまう。けれど葛藤の中で「私の命は歌うためにある」と気付く。傷を曝け出して魂の叫びの歌にし、フルムーンは歌手として大きく成長した。

めろこの過去

タクトに思いを寄せていためろこは、満月のことを応援しながらも内心落ち込んでいた。命日が近くなってめろこの神力が弱まり、うさぎのぬいぐるみの姿になっていたところを満月の祖母である文月に見つかる。予想外に文月が優しかったため、めろこは神力が溜まって元の死神の姿に戻るまで文月に世話になろうと決めた。
ある日文月はめろこと墓参りに行き、「お友達の命日なの」と悲しそうな顔を見せる。そこでめろこは、自分が人間だったころの記憶を思い出してしまう。めろこは生前、里匡萌(りきょうもえ)という名前で文月と親友だったのだ。萌は古雅清十郎(こがせいじゅうろう)のことが好きであったが、清十郎は文月を好きになったため、文月を強引に許婚にしてしまった。清十郎の行為で、萌は文月の元許婚と婚約させられることになってしまい、その男性に押し倒されて襲われかけるなど悲惨な目にあう。さらに文月と清十郎がキスしているのを見てしまったことで、萌は文月に裏切られたのだと絶望して自殺してしまった。
めろこは満月から、清十郎が祖父であると聞く。自暴自棄になっためろこは、満月の魂を狩ろうと攻撃する。だが、タクトに止められて咎められる。タクトが満月を守る姿に、めろこは満月の魂を奪うことをあきらめ「なんで私ばっかり…」と傷心した。暗い感情を抑えきれないままめろこは、いずみに救いを求めた。「もう疲れた…ここにいたくない。連れて帰って…」と泣いて縋るめろこを、いずみは優しく抱き留めた。
様子のおかしかっためろこを、満月は心配する。どうしてめろこが祖父のことを聞いたのか疑問に思い、そして以前に文月や家政婦の田中から萌の話を聞いたことを思い出す。満月たちの元を去って行こうとするめろこに、満月は真実を話した。めろこは文月と清十郎が結ばれていたと誤解していたが、実はそうではなかったのだ。文月と清十郎はそれぞれ別の相手と結婚し、偶然その子供同士が結婚したのだ。つまり清十郎は、満月の父方の祖父である。満月はめろこに「おばあちゃんにだってまた逢えたのに。ごめんねだってありがとだってまた言えるのに。何もしないで逃げるなんてずるいよ」と言う。めろこは満月に背中を押される形で、萌の姿になって文月の元へ行った。前世で深くかかわった人間と会話をするのはタブーとされているので、会話はできない。だが最後は、笑顔で文月と別れられた。
満月の元に戻ってきためろこは「もう絶対あんなことしないから。絶対絶対満月のこと守るから!」と改めて決意した。

フルムーンのストーカー騒動

フルムーンの友人として、那智(なち)が登場する。那智は人気バンド「OZ」のボーカルである。ある日、フルムーンへのファンレターに紛れて爆発物が届けられる。中身をチェックしていた大重は、怪我を負ってしまった。那智は、爆発物の件で犯人かもしれない人物を見ていた。その数日後、那智が何者かに刃物で切り付けられた。現場には犯人が残したメモがあり「フルムーンが歌手をやめなければ、次は本人を狙う」と書いてあった。そのせいでフルムーンは、那智のファンから恨まれてしまう。
フルムーンの握手会で、液体の入った瓶が投げ込まれる。瓶はフルムーンには当たらず、近くにいた若王子に当たった。幸い中身はただ水のようだが、フルムーンは感情が高ぶって「どうしてこんなことをするの!?」と声を荒げる。もう周りの誰も傷つけたくない満月は、歌手を辞める決心をする。
満月は、満月の両親が死んだのも、英知が死んだのも全部自分のせいだと思いつめる。一人だけ生きて幸せになるのが怖いという満月に、タクトは「俺はおまえが笑ってるの見ると和むけど、英知は違うの?」と問いかける。満月の心は徐々に落ち着いていき、英知ならきっと、満月が「生きたい」と言えば笑って「いいよ」と言ってくれる優しい人だということを思い出す。満月は再びフルムーンとして表舞台に出て、歌手を続けることにした。
那智が変装してフルムーンのストーカー捜しをし、お陰で犯人は捕まえられた。しかし、犯人をパトカーで輸送中に、突然爆発音とともに犯人が消えてしまう。パトカーから出てきたのは、ジョナサンだった。いずみはそれを見咎めて「満月に何かしたら僕が許さないよ?」と睨みつけるが、ジョナサンは「主は僕だよ、いずみくん」といずみを拘束した。ジョナサンの正体は死神部長のシェルダンで、いずみ、タクト、めろこの上司だった。

大重と若王子の恋愛模様

フルムーンのストーカーからの爆発物で怪我を負った大重と、その場にいて責任を感じていた若王子は、お詫びとして一緒に居酒屋へ行く。酔ってしまった大重を若王子は大重宅まで連れていくと、部屋の中は若王子のポスターで溢れていた。大重は「ROUTE:L」だった頃の若王子の大ファンだったのだ。酔った大重は目の前にいる若王子と、ポスターの中の若王子の区別がつかず「大好きです」と微笑んだ。大重のアパートから出てくる若王子を、偶然貴条充(きじょうみつる)が見ていた。貴条は事務所の社長で、妻がいるにもかかわらず大重と不倫関係にあった。数日後、貴条はいやがらせのため、若王子が見ている前で大重との仲を見せつける。その影響で若王子は、大重に冷たく接するようになった。
若王子は、車内に落ちていた大重のパスケースを拾う。パスケースにはアイドルだった頃の大重と「ROUTE:L」のメンバーが一緒に映った写真と、ペンのキャップが付いていた。パスケースを探していた大重は、円のマネージャーの今村に「何か大事なものでも入っていたの?」と聞かれ、「ガラスの靴」と答える。それから「見つけてくれたのが王子様なら、魔法なんかなくても私は特別になれるのにな」と寂し気に微笑む。偶然その会話を聞いていた若王子は「ガラスの靴?」と首を傾げた。
大重が貴条に会いに行くのを見て、心が落ち着かない若王子は咄嗟に大重を引き留めてしまう。けれど「なんでもないです」と言い、パスケースを返しそびれた。若王子はパスケースを眺めながら、記憶を手繰る。
社長室で貴条と大重が密会していたところに、突然若王子が乗り込んでくる。焦って取り乱す大重を若王子は部屋の外へ連れ出そうとする。貴条は「奥さんと別れるよ。大重君、君を選ぶ。だから、戻ってきなさい」と言うが、若王子は「それはどうも、ありがとうございました」と言い放って大重を連れ去った。
戸惑う大重に、若王子は自分の思い出の宝物だと言ってポケットから星占いの診断書を取り出す。それは、若王子が「ROUTE:L」のメンバーだった頃に、医者になるという夢も捨てきれず進路に悩んでいた時に、いつの間にか鞄に入っていたものだった。若王子の誕生日の診断で「職業や夢などを2つ持つと、良いバランスが生まれ大きな成功を得るでしょう」と書かれていた。そして裏面にはペンで「全部つかめ」と誰かの手書きで書かれていた。若王子はそのメッセージに後押しされ、医者になるという夢も叶えたのだ。
そのメッセージを書いたと思われるペンも一緒に、若王子は大切に持っていた。そして、大重のパスケースを取り出すとそこに付いていたペンのキャップと合わせた。ペンとキャップはぴったりとはまる。若王子は微笑んで「君だったんだね、結菜ちゃん」と、大重がアイドルだった頃の芸名で呼んだ。
シンデレラのガラスの靴に王子様が気付いてくれたことに、大重は涙ぐむ。泣きだした大重を若王子は優しく抱きしめた。

光理の登場と、満月の心の変化

フルムーンのメイクとスタイリスト担当として、林光理(はやしひかり)が登場する。光理は、人間だった頃のタクトの元恋人だった。光理はまだ、死んでしまった托人に想いを寄せていた。そのことを知った満月は、心がもやもやとする。
満月とデートするために一時的に人間の姿になっていたタクトは、偶然光理に会ってしまう。二人が仲睦まじくしている姿を見てしまった満月は、ショックで取り乱す。英知のことが好きなはずなのに、タクトにも惹かれていることに気付いてしまった。
満月は雨に打たれたせいで体調を崩し、倒れてしまう。病院で目を覚ました満月は、久しぶりに文月と再会する。若王子は既に満月がフルムーンであると確信していて、文月にも話をしていた。ずっと歌手になることを反対していた文月は「あなたの道はあなたが決めなさい」と満月を後押しする。強引に家に連れ戻されるのではないかと身構えていた満月は、素直な気持ちになって、また文月と一緒に暮らしたいと伝えた。
病院に現れたタクトは、満月にデートができなかった謝罪と、光理とちゃんと別れてきたことを伝える。そして改めて満月への好意を示した。満月を死なせないために、タクトとめろこは冥界へと行く。しかしそれはシェルダンの罠で、シェルダンは二人がいない隙に満月の魂を奪おうと人間界へ向かっていた。

冥府にて、最後の戦い

満月の元に、いずみとジョナサンがやって来る。満月は結界のような空間に閉じ込められ、ジョナサンの正体が死神部長シェルダンであると知らされる。いずみに助けを求めるが、いずみは「もう疲れた。もう傷つきたくない」と顔を伏せる。満月はシェルダンと会話をし、前から疑問に思っていたことを問いかける。「誰があなたたちを死神と決めたの?」と言う満月に、シェルダンは冥府の創立者、死神主人ミスティアの話をする。ミスティアは遥か昔に一番初めに冥界にやってきた人間の魂である。ミスティアは、人間の少女に「死神」と呼ばれたことで、自分を死神だと名乗るようになる。そして同じように冥界にやってきた魂に、死神としての仕事を与えたのだ。しかし、満月はそれを「違う」と否定した。「真白な羽根…、背に翼を持って体をなくした魂を迎えにきてくれる。それは天の使いの証…。私は天使と呼びます!」と満月は言った。それを聞いたシェルダンといずみはハッとする。いずみの心が晴れ、満月を守る側につく決心をする。その時、傷だらけのタクトとめろこが冥界から満月の元へと戻ってきた。タクト、めろこ、いずみの三人がまとめて、満月のことを守ると言う。満月も三人を信じ、生きることを願った。
その様子を、ミスティアはずっと冥界から見ていた。怯んだシェルダンの代わりに、ミスティアが冥界から地上の満月に向けて死神の鎌を振り下ろした。タクトが満月を庇う形で、重なり合った二人の心臓に鎌が刺さってしまう。タクトと満月はそのまま気絶する。取り乱すめろこといずみの前に、ミスティアが現れた。そして、死期名簿を見せる。名簿に書かれていた満月の名前は、ほとんど消えかけていた。ミスティアは、一度記された名前が消えて死期が延びることは、ごく稀にあることなのだと言う。名前が消え始めたのは、タクトとめろこが人間界に降りた日からである。ミスティアは、どうして満月に死神が見えるのかずっと不思議に思っていた。だから真実を知るために、鎌で刺したのだ。ミスティアが「ようやく答えが出たようだ」と言うと同時に、満月とタクトの身体が光り輝く。目が覚めて驚く満月に、ミスティアは優しく真実を伝える。死神の鎌は、身体と魂を切り離すもの。だが、満月の魂を切り離そうとしてもできないのだと言う。それは、死した魂が満月の身体を包んでいるからだった。死神が見えるのも、その魂のお陰である。その魂についてミスティアは「少年だよ、穏やかな瞳で笑う」と言い、満月は英知を思い浮かべた。目に見えなくてもずっと傍にいてくれた英知を思い、満月は涙する。
フルムーンの最後のライブが始まる。たくさんのファンの前でスポットライトを浴びながら歌い、ようやく輝ける場所を見つけたのだと満月は微笑んだ。
一方、その様子を見ていたタクトは苦し気な表情で人気のない場所へと移動する。死神の鎌で刺されたせいか、魂が飛ばされそうになっていた。「守るって言ったのに、ごめんな満月…」という台詞を最後に、タクトの姿が消えた。

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