PandoraHearts(パンドラハーツ)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『PandoraHearts(パンドラハーツ)』は、『月刊Gファンタジー』にて連載された望月淳による漫画作品である。『不思議の国のアリス』などの童話をモチーフにしつつも、残酷な描写が随所にみられるダークファンタジーとなっている。成人の儀で闇の監獄へ落とされた後に10年後の世界に生還を果たした少年、オズ・ベザリウスを主人公に、自らの存在の意味を問う彼がその真実を見つけ、世界の危機を救うまでを描く。物語全体にわたる伏線が読む人を魅了し、単行本累計発行部数500万部を超えた人気作である。

アリスの記憶の中でオズがアリスの死の瞬間を目にした場面

驚くオズ(上)の前で何者かに殺された記憶の中のアリス(下)

チェシャ猫の住処の中で連れ去られたアリスを探していたオズは、気が付くと、大量の血と死体にまみれた屋敷の中にいた。そこは100年前に首都・サブリエがアヴィスに堕とされた大事件、「サブリエの悲劇」の場であった。オズが今いる場所はアリスの記憶の中であり、つまりは、100年前の悲劇のとき、彼女はたしかにそこに存在していたのである。凄惨なその屋敷の中で幼いころのヴィンセントと思われる子供を見つけたオズは、自らの直感に従ってその子供の後を追う。そして、たどり着いた塔の上でオズが目にしたのは、血まみれになって倒れこむアリスの姿だった。オズが見たこの光景とジャックの「あの時まで、彼女は人間だったんだよ。100年前のあの日、この場所で殺されるその時までは」という言葉から、アリスに関する驚くべき事実が明らかになった。オズにとっては辛い経験であったものの、彼らが真実に近づくための非常に重要な手がかりを得た場面である。

「おまえは私に言っただろう!私は私のままでいいのだと!」「なのにおまえはどうしてそれを自分に言ってやることができないんだ?」

オズ(右)を励ますアリス(左)

妹であるエイダとの再会を怖がるオズに対するアリスの言葉である。「好きな人ができた」というエイダからの手紙の真相を探るため、オスカーの頼みを受けたオズとギルバート、アリスはエイダが通うラトウィッジ校に潜入する。成長したエイダに会うことを怖がるオズに、アリスは、「おまえは私に言っただろう!私は私のままでいいのだと!」と以前彼がアリスに言った言葉を繰り返し、「なのにおまえはどうしてそれを自分に言ってやることができないんだ?」と尋ねた。今の自分を認めてくれたオズの言葉はアリスの心にずっと残っており、今度はオズ自身に勇気を与えたのであった。

「だが私は求めるぞ…私がここに在る理由を、私が私であり続けるために!そこに恐怖がついてまわるなら、そんなもの旅の道連れにしてくれるわ!」「欲しいものは奪いとる!邪魔する奴は薙ぎ倒す!!それが今の私―――黒うさぎのアリスだ!!!」

ルーファスの幻影に向かって叫ぶアリス

本当に記憶を取り戻していいのかと惑わせようとするルーファスにアリスが放った言葉である。アリスがなくした記憶を探していることを知るルーファスは、知ることはときに恐怖を生むのだと説く。「果たして思い出していいものかな」と聞き、楽しげに脅しをかけるルーファスだが、アリスはその言葉を意に介することなく、「だが私は求めるぞ…私がここに在る理由を、私が私であり続けるために!そこに恐怖がついてまわるなら、そんなもの旅の道連れにしてくれるわ!」と言ってのけ、「欲しいものは奪いとる!邪魔する奴は薙ぎ倒す!!それが今の私―――黒うさぎのアリスだ!!!」と豪快に叫んだ。たとえ自分にとって辛い結果になるとしても恐れずに記憶を求める、アリスの強さを象徴する言葉である。

「『アリス』…それが私達に与えられた名だ」

自らの正体を明かすアリス

自分達が同じ名をもつ双子であることを、アリスがジャックに明かしたときの言葉である。100年前、ジャックは、バスカヴィルの長・オズワルトによって幽閉されている「アリス」という名の少女に出会う。何度もアリスを訪ねているうちにジャックは、アリスの嗜好や雰囲気、猫の態度が時に正反対のものに変わること、会話がかみ合わないことが増えていることなどに違和感を抱き始める。そしてある日、再びいつもとは違うアリスの雰囲気を感じ取ったジャックは、「君は誰だい」「私の知っているアリスではないね」と問うた。それを聞いたアリスは雰囲気を一変させてその発現を肯定し、しかし、「私もまたアリスだ」と言った。そして、「『アリス』…それが私達に与えられた名だ」という言葉と共にアリスが告げた事実、それは、「同一にして異なる」二人のアリスが存在し、彼女らは双子であること。二人はアヴィスで生まれ落ち、一人は人間の少女として現実世界に戻り、もう一人はアヴィスの意志としてアヴィスの深淵に存在していることだった。二人の精神はひとつの身体でつながっており、アヴィスの意志たるアリスはときに身体のつながりを通じて現実世界を見に来るのであった。
なお、以上の内容はバルマ家の屋敷に残されていたジャックの手記に残されており、ブレイクの話を聞いたルーファスがその内容を語ったことでオズ達の知るところとなる。

「このアリス様が特別に教えてやろう!それはつまりだな――― ”なかまということだ”!」

ブレイク(中央左)を仲間だと考えていることを態度で示したオズ(中央右)、ギルバート(左)、アリス(右)

お互いを利用し合うというオズの言葉を聞いたアリスがブレイクに放った言葉である。違法契約者として罪を犯したブレイクの過去を知ったオズだが、彼はブレイクが以前言った「お互いを利用し合う関係」といった言葉を引き合いに出し、だからこそ昔の話は関係ないのだと言った。その会話を耳にしたアリスは、お互いを利用するということは「同志」ということだと理解し、明るい表情を見せる。そしてアリスはうれしそうにブレイクに「このアリス様が特別に教えてやろう!それはつまりだな――― ”なかまということだ”!」と言い放ち、その流れを予測していたオズはギルバートとともにブレイクの腕と肩をとって、仲間としての信頼をはっきりと示したのであった。なお、このときのアリスの言葉は、以前オズがアリスに発した、「オレもアリスも…自分の姿を追い求める同志だねえ」「そう、つまりは―――仲間ってことだよ!」という言葉がもととなっている。オズが告げた何気ない言葉は、アリスの胸の内に強く響き、しっかりと記憶に残っていたのである。

「おまえがヘコんでいた時にはまた、私が頬を食いにきてやるぞ!」

オズ(左)を元気づけるアリス(右)

ザイに再び拒絶されて落ち込むオズにアリスがかけた言葉である。ザイが発した「あれ(オズ)がどうなろうと知ったことではない」という無慈悲な言葉を聞いたオズは、再び父親に拒絶され、どうすることもできずにいた。ショックのあまりすべてを壊そうとオズが黒うさぎの力を暴走させかけたとき、それを止めたのはようやくオズを見つけたアリスであった。オズの落ち込んだ様子を見てとったアリスは、いきなりオズの頬に嚙みついた。驚くオズだが、これは以前シャロンとともに恋愛小説を読んでキスシーンを見たアリスが「頬を食われた男が元気になっていた」と勘違いし、自分も同じことをオズにして彼を元気づけようとしたものだった。これまでオズは、周りの負担になることを恐れて自らの弱さを隠そうとしてきた。しかし、その考えとは逆に、不安な様子を見せたオズに対し、アリスは嬉しそうな顔をして「いつも口に出していれば良い。そうすればすぐにわかる」とつぶやき、「おまえがヘコんでいた時にはまた、私が頬を食いにきてやるぞ!」と言った。根拠も説得力もないのに不思議と元気がでるアリスの言葉を聞いたオズはその存在の大きさを改めて感じる。裏表のないアリスの言葉はそれまでのオズの葛藤に光を与え、オズは自の辛さを表に出せるようになったのであった。

我を失って周りを破壊するオズをアリスが止めた場面

オズ(左下)の破壊行動を止めたアリス(上)

ユラによって連れ去られたアリスは、「貴女はサブリエの悲劇の最中に殺されたという『アリス』という少女と関係があるのではないか」と問われる。その記憶がないにもかかわらず、アリスはなぜか胸に残る強い悲しみと苦しみに襲われ、涙を止められなくなった。一方、フィリップら幼い子供達を利用してサブリエの悲劇の再来を目論み、さらにアリスを泣かせたユラに激怒したオズは我を失い、アリスのものであるはずの黒うさぎの力を勝手に行使して周囲を破壊していた。その様子を目にしたアリスはなぜか「駄目だ」と感る。そしてアリスは「ふさげるなああぁああ!!!」と叫びながら、力を暴走させるオズを頭突きで止めたのである。理由はわからないながらも、「いやなものはいや!!それが全てだ!!!」という本能的な思いに従ったアリスの言葉を聞いたオズは、ようやく正気を取り戻したのであった。

「そうやってお前は、オズの魂を弄んだのか」

ジャック(左)に冷たく言葉を浴びせるアリス(右)

オズに無理やり人殺しをさせるジャックに対するアリスの怒りの言葉である。100年前、レイシーを想うあまりに世界をアヴィスに堕とすという狂気に駆られたジャックは、そのために手に入れたチェインである黒うさぎのオズを使って世界を保つ鎖を断ち切った。だが、オズワルトが自分の所持する五体の黒翼のチェインすべてを使って鎖の崩壊を食い止めたため、このときのジャックの試みは失敗に終わる。しかし、なんとしても望みを叶えたいジャックは諦めず、今度はアヴィスの意志の力で鎖を破壊してもらおうと、その橋渡し役ができるであろうアリスの元へと向かった。ジャックの姿を見止めたアリスは不安げに駆け寄るが、「オズワルトのチェインを止めて鎖を崩壊させてほしい」という彼の呼びかけを聞いたとたんにその表情は一変し、「そうやってお前は、オズの魂を弄んだのか」と怒りの言葉を発したのである。アリスにはジャックに破壊を強要されて苦しみ、助けを求めるオズの姿がはっきりと見えていた。静かな表情のアリスであるが、その胸のうちにあるこらえきれないほどの激しい怒りが端々からうかがえる言葉である。

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