PandoraHearts(パンドラハーツ)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『PandoraHearts(パンドラハーツ)』は、『月刊Gファンタジー』にて連載された望月淳による漫画作品である。『不思議の国のアリス』などの童話をモチーフにしつつも、残酷な描写が随所にみられるダークファンタジーとなっている。成人の儀で闇の監獄へ落とされた後に10年後の世界に生還を果たした少年、オズ・ベザリウスを主人公に、自らの存在の意味を問う彼がその真実を見つけ、世界の危機を救うまでを描く。物語全体にわたる伏線が読む人を魅了し、単行本累計発行部数500万部を超えた人気作である。

オズと出会った直後にフィリップが話した言葉である。町の子供達にいじめられていたところをオズに助けられたフィリップは、オズに、母親がすでに亡くなって父親と二人暮らしであり、家が没落してしまったことを話す。貧しい暮らしにはなったが、フィリップは、「前よりもお父さんが側にいてくれるんだよ!だから、ボクは寂しくないんだ!」と嬉しそうにしていた。それを聞いたオズは、父親に愛されなかった身の上を思いながらも、フィリップが自分とは違って父親に愛されているであろうことを知って喜ぶのであった。

「ねぇ…お父さん、ちゃんと帰ってくるよね?ボク…一人になりたくないよ…っ」

オズ(左下)に不安そうな様子を見せたフィリップ(中央下)

エコーとオズのやりとりを聞いたフィリップがオズに発した言葉である。オズとフィリップが話していたところにエコーがフィリップの身柄を確保するために現れ、彼女の話からフィリップの父親が違法契約者として追われていることが発覚する。幼いフィリップは事態を理解することはできないものの、エコーとオズの様子から父親に何かがあったことを察し、不安げに「ねぇ…お父さん、ちゃんと帰ってくるよね?ボク…一人になりたくないよ…っ」と呟いた。それを聞いたオズは、自分が父親に拒絶されて一人になったときのことを思い出し、言いようのない怒りと悲しみを感じる。そしてオズは父親を連れ戻すことを彼に約束したが、結果的にそれは叶わず、フィリップの不安は現実となってしまったのだった。

フィリップが一人受話器に向かって話す場面

夜中に家の外で話すフィリップ

サブリエに作られた孤児院・フィアナの家にやってきたオズ達は、以前レベイユで出会ったフィリップと再会する。しかし、フィリップはなぜか父親が死んだことを忘れており、たびたびそこを訪れるエリオットが何度事実を告げてもそれを信じようとしなかった。そして夜、フィアナの家から抜け出したフィリップは、コードがちぎれた受話器に向かって「へーきだよ、お仕事だからしょうがないもん。」「僕は元気だよ、お父さん」と話しかけるのだった。

「嘘だよ!!!嘘だ!!だってお父さんはいつも手紙をくれるんだ!!」

オズの言葉を否定するフィリップ

オズが告げた父親が死んだという事実に対するフィリップの叫びである。フィアナの家での実験の被験者となってハンプティダンプティと契約させられたフィリップは、その力によって父親が死んだという事実を忘れてしまっていた。しかし、このまま契約を続けていればフィリップがいつかアヴィスに堕ちることは避けられず、それをなんとか防ぎたかったオズは、フィリップに再び父親が死んだ事実を告げた。オズの言葉を聞いたフィリップは泣きながら、「嘘だよ!!!嘘だ!!だってお父さんはいつも手紙をくれるんだ!!」と言って頑なにその事実を否定する。しかし、それでもオズは話を続け、父親はやり方を間違ってしまったが、フィリップの幸せを護ろうとした決意と想いを無駄にしないでほしいと願ったのである。そして、フィリップの背後のハンプティダンプティをオズが消滅させたことにより、フィリップとハンプティダンプティとの契約は解除された。この場ではフィリップの悲しみを助長させるだけだったとしても、オズの行動はたしかに、フィリップの未来を救ったのである。

イスラ=ユラの名言・名セリフ/名シーン・名場面

イスラ=ユラの概要

イスラ=ユラ

イスラ=ユラはバルマ家と隣国の人間であり、国からアヴィスの調査を命じられてやってきた。有力者の息子であるために、パンドラも手が出せない存在である。偶然にも封印の石が隠された屋敷を手に入れたことからアヴィスに魅せられ、ジャックの熱狂的なファンとなった。アヴィスに関する真実を知るためにサブリエの悲劇を再来させようと目論み、カルト教団を立ち上げて自身がそのトップとなる。教団ではサブリエの悲劇の再来がこの世の救いだと説いていたが、本人はまったく信じておらず、信者を口車にのせて目的のために利用としていただけだった。
「圧倒的な未知を前に笑って逝きたい」と宣言し、ルーファスに「同属」と言わしめるほどに知識欲が強く、情報そのものを生きる目的としている。最期には皮肉にも崇拝するジャックの手にかかり、その願いの通りに笑って絶命するに至った。

「ゾクゾク致しますぅぅぅぅぅぅ!!!」

喜びに身もだえするユラ

知識欲を満たされることに絶大な悦びを感じるときのユラの言葉である。ユラは尋常ならぬ知識欲をもっており、なんらかの貴重な知識が得られるであろう場面に遭遇したとき、その場面を想像したときには、身もだえしながら恍惚とした表情で喜ぶ行動を見せる。「ゾクゾク致しますぅぅぅぅぅぅ!!!」という言葉はユラがこの行動を見せるときにたびたび発する言葉であり、決まり文句的な位置づけになっている。

「サブリエの悲劇の再来どぅえ―――す!!!」

オズに自らの企みを明かすユラ

オズに自らの企みを明かしたユラの言葉である。ユラの屋敷でのパーティーで生じた混乱の中、紅いローブを着た謎の集団に連れ去られたオズは、気が付くと、一人の女性、その膝で眠るフィリップと共に部屋にいた。オズは彼女に「そんな小さな子供を利用してまで何をしようとしているんですか」と問い、女性が口を開きかけたとき、突如ユラが現れて、いかにも楽しげな様子で「サブリエの悲劇の再来どぅえ―――す!!!」とその目的を告げた。オズの頭の良さから謎の集団のバックに自分がいることを感づいているはずだと確信したユラは、隠し立てせずにすべてを明らかにすることを決めたのだという。そしてユラは、自分の屋敷にある封印の石と陣を利用してサブリエの悲劇を「再現」しようとしていること、そのためにオズのパーティーを利用して「役者」となるオズ達や生贄となる貴族を呼び込んだこと、そして、まさに今この瞬間、会場が炎と血に包まれているであろうことを明らかにしたのである。自分の知識欲のためだけに多くの人を犠牲にすることも厭わないユラに、オズは大きな怒りを覚えるのであった。
なお、このときオズの前に現れた女性は、エリオットの母親・ヴァ―ニス=ナイトレイである。その事実をオズが知ることはなく、後にオズが去った後にエリオットが母親の元にたどり着いたときにはじめて読者の知ることとなる。

「そんなことはこれーぽっちも信じておりますぇん!!」

オズ(左)に自らの本心を告白したユラ(右)

自らの教団相手に嘘をついていることを明かしたユラの言葉である。サブリエの悲劇の再来を目論んでその一環としてカルト教団を立ち上げたユラは、教団の人々に「アヴィスが人々に齎すのは”救済”である」「己の欲望を優先してアヴィスの幸福を独占しようとした違法契約者は偽りのアヴィスへと堕とされる」「教団の力ですべての人々を真のアヴィスへと導く」との教えを説いていた。しかし、それを本当に信じているのかと尋ねたオズに対し、ユラは不気味な笑みを見せながら、「そんなことはこれーぽっちも信じておりますぇん!!」と言い放ったのである。彼にとって宗教は信者に夢を与えるだけのただのビジネスであり、「圧倒的な未知を前に笑って逝きたい」という自分の望みを叶えるための手段として人々を利用しているだけであった。あたかも当然であるかのように身勝手さをさらけ出すユラの言葉に、オズはこの上ないほどの怒りと嫌悪を感じるのであった。

マリーの名言・名セリフ/名シーン・名場面

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