PandoraHearts(パンドラハーツ)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『PandoraHearts(パンドラハーツ)』は、『月刊Gファンタジー』にて連載された望月淳による漫画作品である。『不思議の国のアリス』などの童話をモチーフにしつつも、残酷な描写が随所にみられるダークファンタジーとなっている。成人の儀で闇の監獄へ落とされた後に10年後の世界に生還を果たした少年、オズ・ベザリウスを主人公に、自らの存在の意味を問う彼がその真実を見つけ、世界の危機を救うまでを描く。物語全体にわたる伏線が読む人を魅了し、単行本累計発行部数500万部を超えた人気作である。

「この世界から消えていくことが。貴方の側にいられなくなることが。『寂しい』ここまで気づけなかったことが。こんなにも、寂しいなんて…ね」

寂しさに気づいたレイシー

アヴィスに堕とされる直前にレイシーが気づいた自分の本当の思いである。ただの気まぐれでジャックと出会ったレイシーだが、ジャックと接することを重ねていつしか、自分のことを一途に想い、ありのままの自分を受け入れてくれる彼とともに過ごすひと時を心地よく感じるようになっていた。しかし、アヴィスに堕とされる日が間近に迫ったレイシーの胸の中に、言いようもない黒い思いが広がり始める。はじめはなんとなくでしかない思いであったが、彼女が消えてしまうことを寂しいというオズワルトの言葉をきっかけに、レイシーはその正体が寂しさだと知った。そしてレイシーは、「この世界から消えていくことが。貴方の側にいられなくなることが。『寂しい』ここまで気づけなかったことが。こんなにも、寂しいなんて…ね」との思いを抱く。死を目前にしたレイシーの胸に、言いようもない寂しさが迫ってきたのであった。

「兄様…。―――ごめん…ね…」

オズワルトに謝罪するレイシー

時を渡るオズワルト達を目にしたレイシーの言葉である。100年前、グレンとなった兄の手でレイシーはアヴィスへと堕とされた。レイシーが現実世界にいた最後の瞬間、彼女は何かの言葉を発したはずであったが、オズワルトの耳にその声は届かなかった。レイシーを救う術をもちながらもそれを選ばなかったこと、そして、レイシーの最期の言葉を受け止めずに終わってしまったことを、オズワルトはずっと後悔し続けていた。時の渦に飲まれてさらなる過去へと遡るオズワルトとオズ達は、不思議と聞こえてきたレイシーの歌声に導かれ、レイシーがアヴィスへと堕とされた過去の場面を通り過ぎる。異なる時間軸の人間であるオズワルトの姿は、過去の時代の人間の目には映らないはずであった。しかしそのとき、禍罪の子であるレイシーの眼には、時を超えるオズワルトの姿がはっきりと見えていたのである。そしてレイシーは、彼を見つめて「兄様…。―――ごめん…ね…」と一言詫びた。自身の手でレイシーをアヴィスに堕としたときに聞こえなかったレイシーの言葉は、その当時のオズワルトではなく、時を超えるオズワルトに向けた言葉だったのだ。これまで自分を縛り付けていたレイシーの最期の真実を知り、すべてを悟ったかのような困った顔で笑う彼女を目にしたオズワルトは、あふれる感情のあまり、両手で顔を覆って歯を食いしばったのであった。

リーオの名言・名セリフ/名シーン・名場面

リーオの概要

リーオ

リーオはナイトレイ家に仕える少年で、エリオットの従者である。ボサボサの黒髪と丸眼鏡がトレードマークであるが、眼鏡はダテである。フィアナの家の出身であり、施設にやってきたエリオットと喧嘩になったことがきっかけで次第に彼と親交を深め、身分に関係なく人を見る誠実ともいえる人間性を買われて従者となった。マイペースな性格だが、客観的かつ公正な視点の持ち主であり、誇り高いが故に激昂しやすいエリオットを常々フォローしている。その反面、エリオット曰く「すぐキレるし横暴」であり、その言葉の通り怒りっぽく過激な行動に出ることもある。普段はエリオットに対して物怖じせずに発言したり容赦なくツッコんだりと従者らしからぬ態度をとっているが、その実は、彼のことを心から尊敬している。ジャンル不問の読書家であり、知的好奇心が旺盛である。
実はグレンの魂の継承者であり、幼い頃から歴代グレンの声が聞こえるとともに、他の人間には見えない黄金の光が見えていた。エリオットの死後にヴィンセントから話を聞いたことにより、その事実を知ることになる。グレンとしての自覚を得た後には髪を切り、前髪で目を隠すのを止めた。

エリオットとリーオが出会った場面

エリオット(右)と出会ったリーオ(中央)

兄二人に連れられてサブリエに建てられた児童養護施設・フィアナの家を訪れたリーオは、図書室で読書に耽っていた少年・リーオに出会う。読書を邪魔されて不機嫌な様子を見せたリーオはエリオットが「ナイトレイ家」という身分を明かしてもその態度を変えず、「つまんない人間だね、君は」と言い捨てた。それを聞いたエリオットは激昂して思わず叫ぶも、リーオはそれさえも意に介することはなく読書を続けたのであった。お互いの第一印象が最悪だった二人はその後もことあるごとに喧嘩ばかりしていたが、エリオットは家のことにかまわず対等に接してくれるリーオに、リーオは確固たる自分と気高さをもつエリオットに次第に惹かれるようになり、強い友情が芽生えていったのである。

リーオがエリオットの従者になった場面

エリオット(右)の従者になることを受け入れたリーオ(中央)

フィアナの家でリーオに出会った後、エリオットは他の人間とはまったく違った態度をとるリーオに純粋な好奇心を抱き、施設に通うようになる。リーオを知っていくうちに、ナイトレイ家ではなく個人としての自分に向けられた言葉の数々が心地よいのだと気づいたエリオットは、真正面から向き合ってくれる「対等な友」であるリーオこそが自分に必要な存在だと感じて彼に従者になるようにと求めた。いったんは「ちょー嫌」とあっさり断ったリーオだったが、心の内ではエリオットに友情と敬意を抱いていており、「控えめに言っても僕は、君のことは嫌いじゃない。だから…いいよ?ご主人様」と回りくどいながらも自らの好意を伝え、従者になることを受け入れたのであった。

「だからね、エリオットの敵ならば僕は誰でも殺せると思うんだ!」「もしも…僕が元凶だと言うのなら、許さないでエリオットを助けて。僕を…僕を、その手で殺して?」

オズ(左)に狂気じみた言葉をかけるリーオ(右)

自分のせいでエリオットに害が及ぶことを恐れるリーオがオズにかけた言葉である。エリオットと激しい言い争いをした後に独り自己嫌悪に陥っていたリーオは、情報を得るために彼を追ってきたオズに自らのもつエリオットへの想いを話す。日頃態度には出さないながらもエリオットのことを尊敬し、尊い存在だというリーオの言葉を嬉しく思うオズだったが、その後にリーオが告げたのは、「だからね、エリオットの敵ならば僕は誰でも殺せると思うんだ!」という狂気じみた言葉であった。言葉の内容とは裏腹に異様に明るい表情で話すリーオは、戸惑うオズの腕をつかみ、「もしも…僕が元凶だと言うのなら、許さないでエリオットを助けて。僕を…僕を、その手で殺して?」と頼んだ。周りとの会話がかみ合わないことが続いていたリーオは、本当は自分が首狩り事件の元凶であり、しかし、なんらかの理由でそのことを忘れてしまっているのではないかと考え、自らがエリオットを傷つけることを恐れていたのである。エリオットを大事に思い、たとえ自分であっても排除するというゆるぎない決意が表れた言葉である。

リーオの頭の中に響く声の正体が明らかになった場面

オズワルト(右)の言葉に戦慄するリーオ(中央)

エリオットとリーオが主従関係を結んでからしばらく経過した頃、サブリエの穴の奥にフィアナの家の子供が迷い込むという事件が起こる。心配した二人は捜しに向かうが、彼らが見つけた子供達は、何かに体を貫かれたかのように絶命していた。生き残って泣いていた子供にリーオが駆け寄ったとき、背後にハンプティダンプティが姿を見せ、咄嗟にハンプティダンプティに切りかかったエリオットは攻撃を受けて致命傷を負ってしまう。そして、エリオットを守ろうとリーオが間に立ちふさがったとき、頭の中に声が響いてきた。その声に気づいたリーオは、「またおまえ達か」と声を発する。実はリーオにはこれまでにも幾度となく謎の声が聞こえたことがあり、他の者には聞こえない声が聞こえることに彼自身も戸惑っていたのだ。何年も聞こえなかった声が再び話しかけてきたことに怯えるリーオにその声が告げたのは、ハンプティダンプティはエリオットをリーオの敵だとはき違え、リーオを守ろうとしてエリオットを攻撃したのだということ、数年の間リーオに声が聞こえなかったのはリーオ自身がそれを拒絶したせいだということ、再び声が聞こえてきたのは、エリオットを生かしたいと願ったリーオが無意識に声の主に助けを求めたからなのだということだった。エリオットを助ける方法があるのかと思わず問うたリーオに、声の主はハンプティダンプティの血を飲ませて名前を呼ばせるようにと命じた。なんとしてもエリオットを救いたかったリーオは「これはきっと―――悪い夢なんだ。でなければ、アヴィスという世界が視せている幻影だ」と自らに言い聞かせながらその言葉の通りに行動し、結果、エリオットは違法契約者となってしまったのだった。リーオがエリオットにハンプティダンプティの名を呼ばせる間際、謎の声はリーオに、「すべての元凶はおまえだ」と告げる。そして、最後に、「これがおまえの業であるということを、忘れるな…!」という残酷な一言とともに白い人影の中から現れたのは、オズワルトであった。リーオの中に魂として残り、たびたび彼に話しかけてきたのは、歴代のグレン達だったのであった。
なお、この場面で読者にはリーオとグレンの関連性が明らかにされるが、作中のリーオにとってはあくまで「謎の声」と「謎の光」に過ぎない。リーオ自身が自らとグレンの関係を知るのは、この後、彼をパンドラの手から取り戻したヴィンセントが真実を語ったときである。

グレンとして覚醒したリーオがオズの前に現れた場面

ヴィンセント(左)とエコー(右)を従えてオズの前に現れたリーオ(中央)

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