PandoraHearts(パンドラハーツ)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『PandoraHearts(パンドラハーツ)』は、『月刊Gファンタジー』にて連載された望月淳による漫画作品である。『不思議の国のアリス』などの童話をモチーフにしつつも、残酷な描写が随所にみられるダークファンタジーとなっている。成人の儀で闇の監獄へ落とされた後に10年後の世界に生還を果たした少年、オズ・ベザリウスを主人公に、自らの存在の意味を問う彼がその真実を見つけ、世界の危機を救うまでを描く。物語全体にわたる伏線が読む人を魅了し、単行本累計発行部数500万部を超えた人気作である。

シェリーがブレイクに伝えた言葉

ブレイクを支え続けたシェリーの言葉である。アヴィスの中で白いアリスから願いを託されたブレイクは、厳しくも優しいシェリーの励ましに背中を押されて自分が生きる意味を見出す。たとえ完全になくなることはないとしても、その心の傷を癒してくれたシェリーは、ブレイクにとって大切な存在になっていた。病に臥せっていたシェリーは、枕元に寄り添うブレイクの頬に手を伸ばし、「ねぇ、ザークシーズ、約束してね。君にしか知り得ない誰かの想いがあるなら、それを決して無駄にはしないで。あがいてあがいて、あがき続ければきっと、君の歩んだ道が誰かに繋がる。君だから気づける、誰かの想いがあるわ―――」と告げる。この時のシェリーの言葉は彼女が亡くなった後にもずっとブレイクの心の中にあり、生きることを諦めそうになったときの拠り所となっていた。そして、ブレイクがその最期を迎えたときにもまた脳裏にはこの言葉が浮かび、彼は「はい、シェリー様」と呟きながら旅立っていったのであった。

ルーファス=バルマの名言・名セリフ/名シーン・名場面

ルーファス=バルマの概要

ルーファス=バルマ

ルーファス=バルマは、バルマ公爵家の現当主である。バルマ家の所有する黒翼のチェイン・愚鳩(ドードー)と契約している。「かの国」からやってきた外来貴族の子孫であり、特徴的な紅い髪をもつ。契約の影響で身体の成長が止まっているため外見は20代であるが、実際の年齢は四大公のなかでは最年長の67歳である。情に流されることのない合理主義者であり、人を道具として扱うことを躊躇しない冷徹な性格をしている。「知識は力」を信条とするほどの情報収集マニアであり、実際に重要なことから些細なことまで膨大な量の情報をもっている。ただし、知識を得ること自体が目的ではなく、彼にとって知識とは、思うままに人を動かし、己の欲求を満たすための手段にすぎない。シェリルは幼馴染かつ初恋の相手であり、頭があがらない。たびたび求婚するもそのたびに断られているが、変わらず大切に想い続けている。

「知識とはすなわち力じゃ!!知ることは最大の悦びじゃあ!!!」

ルーファスが幻影によって作り上げた偽バルマ公

初登場時のルーファスの言葉である。面会の許可を得たオズたちは、四大公爵家の一つ、バルマ家の屋敷を訪れた。招待された場ではパーティーが行われており、同じく招待されたのだというレインズワース家の当主・シェリルも同席していた。オズがシェリルにバルマ公の居場所を尋ねると、シェリルは「そこにいる」と答える。そしてオズたちの背後に奇妙な男が現れ、自らがルーファス=バルマだと名乗った。オズのすべてを知っているのだというルーファスは、自分の考える「知識」の意義について激しく語る。実はこの男はルーファス本人が作り出した幻影なのだが、「知識とはすなわち力じゃ!!知ることは最大の悦びじゃあ!!!」という彼の言葉は、貪欲に知識を追い求めるルーファスの生き方そのものを表していると言える。

「我もジャック=ベザリウスも、所詮はただの『人』に過ぎぬ。そして『人』にとって、『世界』とは『自分』でしかない。」 「ああ、よい顔じゃ。実に欲に塗れていて『人』らしい」

自らの信念を語るルーファス

ルーファスがオズワルトに語った自分の信念である。パンドラはバスカヴィルに占拠され、覚醒したオズワルトは過去を改ざんするためにサブリエへと向かった。バスカヴィルに与したかに見えたルーファスであったが、その計り知れない内面を危険と見たオズワルトは、彼を自分に同行させてその真意を探ろうとする。何を企んでいるのかと問われたルーファスは「賭け」をしているのだと答え、周りの人間たちに「わずかな綻びと生き延びるための可能性」を与えたのだと言う。その言葉の通り、ルーファスの思惑を的確に読み取ったオズ達の行動により、事態は大きく動こうとしていた。一方、世界が終ろうとする中で何を望むのかと問われたルーファスは、その心の内の信念を語る。ルーファスの考える「この世でもっとも尊く美しいもの」、それは、「愛」であった。そして彼は、ただひたすらにシェリルと結婚したいのだという自らの欲望を赤裸々に告白したのである。「我もジャック=ベザリウスも、所詮はただの『人』に過ぎぬ。そして『人』にとって、『世界』とは『自分』でしかない。」というルーファスの言葉によって自らの行動にも私欲が含まれているのだと突き付けられたオズワルトは激昂し、とうとうルーファスへの攻撃に打って出た。そして、助かる余地なしと判断したルーファスは、崖の下へと身を投げる。それを見下ろすオズワルトの暗い顔を目にしたルーファスは、 「ああ、よい顔じゃ。実に欲に塗れていて『人』らしい」と笑うのだった。

レイム=ルネットの名言・名セリフ/名シーン・名場面

レイム=ルネットの概要

レイム=ルネット

レイム=ルネットは、バルマ家の使用人である。チェイン・三月うさぎ(マーチヘアー)と契約している。パンドラである程度責任のある立場にあると考えられ、その実直さと丁寧な仕事ぶりから周囲の者から厚く信頼されている。生真面目な性格で、上司であるバルマ、部下であるブレイクにいつも振り回されている。ルーファスがシェリルに宛てて書いたラブレターの返事をもらうために2年間レインズワース家の使用人として働いていた時期があり、このときにシャロンと共に倒れていたブレイクを発見した。それ以降ブレイクのことを気にかけており、彼が絶望から立ち直った後には唯一無二の友となった。

「おまえの!!友として!!果たすべき責務だと言ってるんだ!この…っバカザクス!!」

ブレイク(左)を徹底的にサポートすることを明言したレイム(右)

視力を失ったブレイクを全力でサポートしようとするレイムがブレイクに放った言葉である。チェインの力を酷使した影響で視力を失ったブレイクの身を案じるレイムだが、彼は、数日の時間があれば誰にも悟られずにこれまで通り生活できるようになると言ってのけた。失明という残酷な事実をも「自らの過ちを贖えることにホッとする」と静かに受け止めて全てを一人で抱えようとするブレイクを目にしたレイムは、少しでも彼の負担を減らすため、せめて仕事の面ではできるかぎりのサポートをしようと心に決める。レイムが自分の仕事を肩代わりしようとしていることについて、ブレイクは「バルマ家に仕える者の責務」として行っているのだろうと考えていたが、レイムはそれを否定し、「おまえの!!友として!!果たすべき責務だと言ってるんだ!この…っバカザクス!!」と言い放った。そしてブレイクはレイムが去った後、静かに「ありがとう」と呟く。日頃は表に出さないながらも、彼ら二人が強い友情で結ばれていることがうかがえる言葉である。

重症を負ったレイムがブレイクの危機を救った場面

ブレイク(右上)にとどめをさそうとするリリィ(右下)を止めたレイム(左)

友であるレイムの死を目にして怒りに駆られたブレイクは、独りバスカヴィルとの戦闘に臨み、窮地に立たされることとなる。助けにきたギルバートの力を借りて反撃に打って出たものの、その体に蓄積したダメージには抗えず、再び絶体絶命の危機に陥っていた。しかし、リリィがブレイクを銃で撃とうとしたまさにその時、「リリィ――――!!!」とその名前を叫ぶ声が響き渡り、リリィは驚いた表情で攻撃の手を止める。その声の主は死んだはずのレイムであった。実はレイムの所有するチェイン・三月ウサギは契約者を仮死状態にする能力をもっており、命の危機を感じたレイムはその力を発動させてバスカヴィルらを欺いて生きながらえていたのであった。ブレイクを殺し損ねたバスカヴィルがその場を去り、重症を負ったレイムが一角獣の力で安全な場所に送られる間際、ブレイクは、「…レイムさん…。…君が…生きていてよかった…」と告げた。そして、レイムを瀕死の状態に追いやった張本人であるリリィもまた、彼の生存を知って満面の笑顔を見せていたのである。レイムの無事を静かに喜ぶブレイクの言葉からその深い友情を感じ、さらに敵であるリリィからも喜びの表情を向けられたレイムは、自らが生きていた意味を実感したのであった。

「私は君達と、もっと歩み寄りたいと願っているんだ」 リリィ「仲直りしたってことは…もうレイムとは敵じゃ…ない…?と、とも…だち…?」 レイム 「うん…私も、君とそうなれたら嬉しいよ」

リリィ(右下)に友情を示すレイム(左下)

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