PandoraHearts(パンドラハーツ)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『PandoraHearts(パンドラハーツ)』は、『月刊Gファンタジー』にて連載された望月淳による漫画作品である。『不思議の国のアリス』などの童話をモチーフにしつつも、残酷な描写が随所にみられるダークファンタジーとなっている。成人の儀で闇の監獄へ落とされた後に10年後の世界に生還を果たした少年、オズ・ベザリウスを主人公に、自らの存在の意味を問う彼がその真実を見つけ、世界の危機を救うまでを描く。物語全体にわたる伏線が読む人を魅了し、単行本累計発行部数500万部を超えた人気作である。

「根拠なんてないよ?オレはただ自分の中の確信に従ってるだけだから―――!」 「あいにく今のオレは人形遊びよりも『宝探し』に夢中なんだ」

謎のうさぎの人形に語りかけるオズ

なぜアリスと一緒にいるのかという問いかけに対するオズの答えである。屋敷に眠っていたアリスの記憶に取り込まれたオズとギルバート、アリスは、今のアヴィスを作り上げている存在だとされる「アヴィスの意志」に遭遇する。人形の姿をしたアヴィスの意志は、オズがアリスと一緒にいようとする理由を問い、オズのことを「ずっと待っていたいとしい人」、アリスのことを「貴方に相応しくない人形」「生まれてこなければよかったのに」と言った。それを聞いたオズは、「根拠なんてないよ?オレはただ自分の中の確信に従ってるだけだから―――!」 「あいにく今のオレは人形遊びよりも『宝探し』に夢中なんだ」と答える。そしてオズが隠し持っていた銃でアヴィスの意志を撃つと、アリスの記憶の中の不思議な情景は崩れ去り、3人は現実の世界に戻っていた。確固たる理由は無いながらも自分の直感を信じて行動するオズの強さが現れるとともに、自分の存在を認めてくれたオズに対するアリスの想いが変わっていくきっかけにもなった言葉である。

「無関心じゃなければ…それはもう無関係じゃないだろう!?」

エコー(下)を追うオズ(上)

「関係のないことだから関わるな」と忠告するエコーにオズが発した言葉である。ブレイクからの次の指示があるまでギルバートの自宅で待機することになったオズは、買い出しの途中、いじめられていた幼い少年・フィリップを助ける。フィリップは家が没落した元貴族の子供であり、父親と一人暮らしをしていた。仲良くなったオズとフィリップが話しているところに、ナイトレイ家の使用人でエコーと名乗る少女が現れる。エコーはフィリップのことを引き渡すよう求めるが、彼女が刃物を持ち出すのを目にしたフィリップは逃げ出し、オズとエコーはともにフィリップを追うことになる。フィリップを捕まえることを「任務」だと言うエコーは、任務に関係ないオズにこれ以上関わらないようにと告げる。しかしオズは、「たとえ出会ったばかりでもフィリップと話をしたことで共感して放っておけないと思ったのだ」と言い、そして、「無関心じゃなければ…それはもう無関係じゃないだろう!?」と自らの考えをエコーに告げた。その場では勝手にするようにと突き放すだけだったエコーだが、オズの言葉はひそかにエコーの胸に残り、その後の彼女の行動を変えるほどの影響を与えたのである。

「傍にいてくれれば―――ただ…っ、それだけでよかったんだッ!!!」

フィリップの父親につかみかかったオズ

フィリップのために人を殺したのだと言う彼の父親にオズが放った言葉である。エコーがフィリップを追っていたのは、違法契約者となったフィリップの父親をおびき出すためであった。父親はすでに多くの人間を殺しており、パンドラから追われる身になっていたのである。唯一の肉親が帰らずに一人になることを恐れるフィリップに、オズは「きっとお父さんを連れ戻す」と約束する。しかし、オズと向き合ったフィリップの父親は、自分がチェインと契約したのはフィリップのためであり、「息子のために人を殺したのだ」と言い放った。その言葉を聞いたオズは冷静さを失い、「傍にいてくれれば―――ただ…っ、それだけでよかったんだッ!!!」と叫ぶ。父親に拒絶された過去を持つオズは、自分と同じような独りの恐怖をフィリップに味わわせている彼の父親を許せなかったのだ。オズの思いが詰まった言葉を聞いたフィリップの父親はその顔を思い出し、オズを殺そうとした手を止めた。しかし、結果としてフィリップの父親は彼を追ってきたヴィンセントによって殺され、オズとフィリップの約束が叶うことはなかったのだった。

「…オレにはなんの力もない。だからきっとアリスの騎士にはなれない」 「でも、見届けたいから。その光が最後に何を照らし出すのかを。彼女の隣で!」

ジャックの問いかけに答えるオズ

アリスを助けたいと思う理由を問うジャックにオズが返した答えである。アヴィスの意志を守る特別なチェイン・チェシャ猫にアリスとブレイクが連れ去られ、オズとギルバートは二人を助けるためにチェシャ猫の住処へと向かう。オズたちに襲いかかってきたチェシャ猫は、その住処となっている空間がアリスの記憶によって作られたものであること、そして、アリスが探している記憶は、記憶をなくす前のアリスがすべてを忘れるために自ら破り捨てたものであることを明かした。チェシャ猫の空間に残された記憶はアリスがもっとも消し去りたかった記憶であり、彼はその記憶を誰にも見せずに護る役目を担っていたのである。
その後、チェシャ猫の住処をさまよっていたオズとギルバートは、これまでに目にしたアリスの記憶の中にたびたび現れていた青年と遭遇する。オズと同じ金髪とエメラルドの瞳をもつその青年はジャック=ベザリウスと名乗り、アリスを助けるために力を貸してほしいとオズたちに頼んだ。一切の躊躇もなくその頼みを受け入れたオズに、ジャックは、「君がアリスを助けたいのはなぜなのか」「君にとってアリスという存在はなんなのか」と尋ねた。「彼女の騎士になろうとしているのだろう」と言うジャックの言葉を「…オレにはなんの力もない。だからきっとアリスの騎士にはなれない」と否定したオズは、アリスのことを自分を照らす「お日さまみたいな存在」だと言った。そしてオズは 「でも、見届けたいから。その光が最後に何を照らし出すのかを。彼女の隣で!」と言って自分自身でアリスを迎えに行くことを望み、ジャックの力を借りて彼女の元へと向かったのであった。

「そうか…なら壊してしまおう…アリスという存在を!」 「そうすればもう君が苦しむ必要はなくなる…オレが消してあげるよ…アリス!」

我を失ったオズ(左下)とそれを止めようとするギルバート(左上)

チェシャ猫の住処で正気を失ったオズが発した言葉である。チェシャ猫に攫われたアリスを探す途中でアリスの記憶に取り込まれたオズは、過去に人間だったときのアリスの死の瞬間を目にする。残酷な事実に呆然とするオズの胸の刻印が進んだとき、オズの頭の中に謎の記憶がなだれ込み、我を失ったオズは、彼の中に封印されたはずのビーラビットの力を暴走させ始めた。ビーラビットの力を止めるためにオズの元への向かったギルバートに対し、オズはいつもとはまったく違った異様な表情を見せて、「そうか…なら壊してしまおう…アリスという存在を!」 「そうすればもう君が苦しむ必要はなくなる…オレが消してあげるよ…アリス!」と言う。正気を失ったかのような言動を繰り返すオズを見たギルバートは思わず彼の頬を殴り、「アリスを助けにきたんだろう」と叫んだ。ギルバートに諫められたことで我に返ったオズは、自分が壊した周りの状態と発した言葉に恐怖するのであった。

「人間だから『アリス』なんじゃない…。チェインだからアリスなんじゃない…。仕草とか考え方とか、表情とか、そういう一つ一つを、アリスが『アリス』だってことを伝えられるように―――オレ達がちゃんと見てるから…!だから―――アリスは、アリスのままでいいんだよ…!」

アリス(右上)に語り掛けながら手を伸ばすオズ(下)

アリスそのものを大切に思うオズの言葉である。不思議な記憶に意識を奪われて自らアリスを手にかけそうになっていたオズだが、ギルバートの言葉で正気に戻ったことにより、ぎりぎりのところで歯止めをかけることができた。そしてオズとギルバートは、鎖に囚われたアリスを見つける。オズは自分がアリスを殺そうとしていたことに驚愕しながらも、「アリスを壊す」という自らの言葉を真っ向から否定し、「人間だから『アリス』なんじゃない…。チェインだからアリスなんじゃない…。仕草とか考え方とか、表情とか、そういう一つ一つを、アリスが『アリス』だってことを伝えられるように―――オレ達がちゃんと見てるから…!だから―――アリスは、アリスのままでいいんだよ…!」と、今のアリスを認める言葉とともに彼女に手を伸ばした。オズの言葉を聞いたアリスは泣きながらオズに飛びつき、アリスの温かさに触れたオズは、今の彼女が生きていることを実感して嬉しく思うのだった。「自分は自分のままでいい」というオズの言葉は記憶を失くして自らの存在に怯えるアリスにとっての支えとなり、後にはオズ自身をも救うことになる。

「自分のためだけに生きていける程人は強くないと、オレは思うよ」

ブレイク(左)に語り掛けるオズ(中央)

過去を変えようとしたことを後悔するブレイクにオズが告げた言葉である。過去を変えたいというブレイクの願いを聞き入れ、アヴィスの意志は、主人を守れなかったブレイクの過去を書き換えた。しかし、ブレイクの仕える一族が逆賊に殺された事件はなくなっていたものの、代わりに起こった事件によって結局一族は潰え、それだけでなく、本来の過去であれば生き残っていたはずの少女の命までもが失われていたのである。主人の命を救いたいという自分の勝手なわがままで過去を変え、それによってより残酷な過去を作ってしまったことに対し、ブレイクは強い後悔の念を抱いていた。自分をどうしようもなく愚かだというブレイクの懺悔を聞いたオズは、彼に「自分のためだけに生きていける程人は強くないと、オレは思うよ」と話し、「ブレイクは自分が思っているよりずっと強い人だ」と言った。それを聞いたブレイクは「プレッシャーだ」と薄く笑ったが、その実、彼の心の重荷は少しながらも軽くなっていたのだった。

「オレはおまえの主人だぞ?おまえが倒れたとしてもオレがその横でしっかりと支えてやる!だから安心して倒れてこいっ」

ギルバート(下)に微笑みかけるオズ(上)

記憶を取り戻しかけていることに怯えるギルバートにオズがかけた言葉である。昔を思い出しそうになったとき、記憶とともに響いてくる「殺せ」という声に突き動かされたギルバートは、思わずアリスを殺しそうになる。その場は正気に戻って事なきを得たものの、記憶が戻りそうになると感情の波に飲まれ、自分自身を制御できなくなりそうになることにギルバートは恐怖を感じていた。「すべてを思い出したときに自分が自分でいられなくなるのではないかと考えると立っていられなくなる」というギルバートに、オズは笑って「倒れてしまえばいい」と言った。「オレはおまえの主人だぞ?おまえが倒れたとしてもオレがその横でしっかりと支えてやる!だから安心して倒れてこいっ」というオズの言葉に力をもらったギルバートは、オズにこれ以上何かを背負わせることのないよう、自分のことは自分でなんとかするのだと決意を新たにしたのであった。

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