PandoraHearts（パンドラハーツ）の名言・名セリフ／名シーン・名場面まとめ

2022.12.16

『PandoraHearts（パンドラハーツ）』は、『月刊Gファンタジー』にて連載された望月淳による漫画作品である。『不思議の国のアリス』などの童話をモチーフにしつつも、残酷な描写が随所にみられるダークファンタジーとなっている。成人の儀で闇の監獄へ落とされた後に10年後の世界に生還を果たした少年、オズ・ベザリウスを主人公に、自らの存在の意味を問う彼がその真実を見つけ、世界の危機を救うまでを描く。物語全体にわたる伏線が読む人を魅了し、単行本累計発行部数500万部を超えた人気作である。

ヴィンセント＝ナイトレイの名言・名セリフ／名シーン・名場面

幼いヴィンセントがノイズと初めて出会ったときに話した言葉である。バスカヴィルの一人であるノイズは、契約したチェインに逆に乗っ取られて暴れてしまうことから、牢のような部屋に監禁されていた。偶然ノイズを見つけたヴィンセントは、自分のことをバスカヴィルになり損なった「異端」だという彼女の話を聞き、ヴィンセント自身も異端であることを話したうえで、「僕も異端で君も異端なら、それは僕らにとっては“ふつう”のことだよ」「おねえさんも変で僕も変なら、僕は『ふつう』でいられるんだ…」と告げたのである。異端であるという孤独に苦しんでいたノイズにとって、ヴィンセントの言葉は誰かとのつながりを感じさせてくれるとても嬉しいものであった。そしてノイズは、ヴィンセントとともにいることにかけがえのない喜びを見出すようになっていく。しかし時が経つにつれ、ヴィンセントに対するノイズの感情は歪な執着に変貌し、彼女はヴィンセントに近づく者を憎むようになるのだった。

「僕はもう…死ねなくなってしまった…！」「リーオ、僕のマスターは君だ。君を護ると誓ったんだ。だから、君の望みを僕に教えてくれ…！」

リーオ（左下）に望みを問うヴィンセント（右）

自分のすべきことが視えなくなったヴィンセントの言葉である。ヴィンセントはこれまでずっと、ギルバートの幸せのために自らを無き者にすることだけを目的に生きてきた。しかし、ギルバート本人に自分の存在を肯定され、さらにはブレイクに過去にこだわることの無意味さを突き付けられたことによって、もはやその目的は意味を成し得なくなる。「僕はもう…死ねなくなってしまった…！」と言いながらも生きるための拠り所を見失ったヴィンセントに唯一残ったもの、それは、自分の意志でリーオに誓った忠誠であった。そのことを思い出したヴィンセントは、その進むべき道をリーオに託す。「リーオ、僕のマスターは君だ。君を護ると誓ったんだ。だから、君の望みを僕に教えてくれ…！」というヴィンセントの願いは、グレンの意識に飲み込まれようとしていたリーオに、自分が本当にやりたいことを見出そうとするきっかけを与えたのであった。

「…僕は、おまえのことなんか好きじゃない。…ずっと目障りだった。消えてほしいと思ってたんだ。だから…さよならです。エイダ様」

最後にエイダ（右上）を抱きしめたヴィンセント（中央上）

エイダに別れを告げたヴィンセントの言葉である。オズ達が暴走したアヴィスの中へと飛び込んで最後の戦いに向かおうとしたとき、シャロンがロッティの影に忍ばせていた一角獣の力による繋がりが開く。しかし、その繋がりも長くは持たないことは明確であった。エイダに危険が及ぶことを避けるため、ヴィンセントはかろうじて残った繋がりを利用してエイダをシャロン達の元に戻すように頼む。嫌がるエイダを抱きしめたヴィンセントは、「…僕は、おまえのことなんか好きじゃない。…ずっと目障りだった。消えてほしいと思ってたんだ。だから…さよならです。エイダ様」というその本当の心とは裏返しの言葉とともに、エイダを影の中へと優しく落とした。自らの気持ちを封じ、ただエイダの幸せを願うヴィンセントの内に秘めた愛情が現れた、数少ない場面である。

死刑執行人（ディミオス）の名言・名セリフ／名シーン・名場面

死刑執行人の概要

死刑執行人（ディミオス）は、ヴィンセントと違法契約しているチェインである。両手が鎌のようになった竜の骸骨に似た姿をしている。ヴィンセントが死刑執行人を使ってフレッド＝ナイトレイとその叔父を殺したときの目撃者の証言から、「首狩りの女王（クイーン・オブ・ザ・ハート）と呼ばれるようになった。生首収集を趣味とする異常者・ミランダ＝バルマがアヴィスに堕ちた後にチェインへと姿を変えたものであり、主に相手の首を刎ねて死に至らせる。

リータスの屋敷の地下で死刑執行人が大笑いする場面

死体の中で笑う死刑執行人

リータスの屋敷を訪れていたオズ達を見送った直後、マリーがリータスの方を振り向くと、彼の首は宙に跳んでいた。その首を抱きかかえて泣き叫ぶマリーと屋敷に残っていたパンドラの人間・グルーナーの前に大きな影が現れ、二人の首を刎ねて殺害する。死の直前、グルーナーは、「おまえはまさか、首狩り」と言いかけていた。謎の影は、「ハートの女王、パイをつくった♪」と歌い出し、最後に「首を狩れ！」と言って歌を終えると、不気味な声で大笑いする。血の海の中で立ちはだかるその周りには、無残に八つ裂きにされた死体が転がっていた。そして、その者は歌い続けながら屋敷の地下へと降り、「ああ、でも残念、もう刎ねるべき首がない♪」という歌とともに、地下にあった封印の石を破壊したのであった。
なお、この場面では首狩りと思われる者の正体は明かされていないが、後にヴィンセントであったことが彼自身の告白によって判明する。狂ったように笑っていた影はヴィンセントの所有するチェイン・死刑執行人である。

「首ヲヨコセ」「貴方ノソノ首オォヲォオ」

暴走し始めた死刑執行人（上）

暴走し出した死刑執行人が発した言葉である。オズワルトと共に過去に渡ってサブリエの悲劇の時点にたどり着いたヴィンセントは、自らの過去に囚われて混乱し、もはや自分のチェインを制御することもできなくなっていた。そして、暴走し出した死刑執行人がヴィンセントの背後に現れ、ただひたすらに「クビ」と連呼し始める。「首ヲヨコセ」「貴方ノソノ首オォヲォオ」と死刑執行人が発するのを耳にしたオズワルトは、驚いたように目を見張って「そうか、貴様はミランダ＝バルマなのか」と言った。
100年前、ジャックがオズワルトを打ち倒した直後、二人がいる場にミランダが現れ、動けなくなったオズワルトの首を欲望のままに切り落とそうとした。しかし、かろうじて意識が残っていたオズワルトがミランダを切り捨てたためにその望みが叶うことはなく、かといってジャックに与したミランダには魂の救済が与えられることもなかった。こうして、生きたままアヴィスへと堕ちたミランダの身体はチェインへと変貌し、そのチェインこそが死刑執行人であったのだ。チェインは生前に縁をもったものに惹かれやすく、死刑執行人もまた、ミランダとの接点があったヴィンセントに惹かれて彼のチェインとなっていた。ジャックと共謀してヴィンセントを陥れたミランダは、100年を経てチェインと化してもなお、ひそかにヴィンセントを縛り続けていたのだった。

エリオット＝ナイトレイの名言・名セリフ／名シーン・名場面

エリオット＝ナイトレイの概要

エリオット＝ナイトレイ

エリオット＝ナイトレイは、ナイトレイ家の末子であり、ギルバートとヴィンセントの義弟である。ヴァネッサをはじめとする兄姉に溺愛されている。貴族としての出自に誇りを持ち、「ナイトレイ家の誇り」という言葉をよく口にしている。曲がったことが嫌いな直情型の性格であり、正義感が強く、自分にも他人にも厳しい。女生徒たち曰く「気高くどこか影のある佇まい」であり、憧れの目を向けられることも多い。裏表を使い分ける周りの人間に辟易していたところ、兄とともに訪れたフィアナの家で貴族の身分を気にすることなく接してくるリーオと出会い、興味を抱く。次第にリーオを対等な友人だと感じるようになり、家族の反対を押し切って彼を従者にした。しかし、リーオとの接点がきっかけとなって、エリオット自身も気づかぬうちにハンプティダンプティと契約し、リーオに害を為そうとする家族を自覚のないままに殺害することとなった。その事実を知った後、自らの所業と結果を全て引き受けることを望み、ハンプティダンプティの存在を否定して命果てた。

オズとエリオットが初めて遭遇したシーン

オズ（右）に話しかけるエリオット（左）

ラトウィッジ校でエイダと再会したオズは、寄り道した図書館でアヴィスに堕ちる前からの愛読書を見つける。まだ読んでいない巻がたくさん出ていることにオズが浮足立っていると、途中1冊抜けていた巻を借りているという生徒・エリオットが「ああ、悪いな。そこ、オレがちょうど借りてたところだ」と言いながら姿を見せた。エリオットに本の主人公についてどう思うかを聞かれ、大ファンであったオズはその魅力について嬉しげに語る。しかし、それを聞いていたエリオットは、主人公のことを「クズ」「大嫌い」だと言ってけんもほろろに否定したのである。初登場時からオズと対立していたエリオットだが、後に彼は、オズやその周りの面々にとって非常に重要な存在となる。

ハンプティダンプティの名言・名セリフ／名シーン・名場面

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