PandoraHearts(パンドラハーツ)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『PandoraHearts(パンドラハーツ)』は、『月刊Gファンタジー』にて連載された望月淳による漫画作品である。『不思議の国のアリス』などの童話をモチーフにしつつも、残酷な描写が随所にみられるダークファンタジーとなっている。成人の儀で闇の監獄へ落とされた後に10年後の世界に生還を果たした少年、オズ・ベザリウスを主人公に、自らの存在の意味を問う彼がその真実を見つけ、世界の危機を救うまでを描く。物語全体にわたる伏線が読む人を魅了し、単行本累計発行部数500万部を超えた人気作である。

ヴィンセント=ナイトレイの名言・名セリフ/名シーン・名場面

ヴィンセント=ナイトレイの概要

ヴィンセント=ナイトレイ

ヴィンセント=ナイトレイは、ギルバートの実弟である。兄を溺愛し、彼以外にはめったに心を開かない極度のブラコンである。眠り鼠(ヤマネ)と正規契約するとともに、死刑執行人(ディミオス)と違法契約している二重契約者である。15年前に傷だらけで倒れているところをナイトレイ家に保護され、養子として育てられる。ギルバートと同じく元は100年前の人間であり、サブリエの悲劇によってアヴィスに堕ちた後に現実世界へと脱出を果たした。ジャックに利用され、アヴィスの扉を開いてサブリエの悲劇を引き起こした張本人である。100年前の記憶を失くしていたギルバートに対し、ヴィンセントは当時のことをすべて覚えたままで成長し、バスカヴィルとしての自覚も保っていた。そのため、パンドラの敵であるバスカヴィルと裏でつながっており、四大公爵家がもつアヴィスの扉の鍵を狙っていた。
右目がワインレッド、左目が金色のオッドアイであり、幼少時には紅い瞳をもつ禍罪の子として迫害されていた。そのせいもあって、表向きは穏やかな物腰で女性人気も高いが、その実は非常に冷酷で底意地の悪い性格であり、自己否定的である。

ヴィンセントがオズの前に初めて現れた場面

エコー(左中央)とともにオズ(左)、ギルバート(中央)の前に現れたヴィンセント(右)

違法契約者となって殺戮を繰り返したフィリップの父親を最後に打ち殺したのは、それまでオズたちの様子を傍観していたヴィンセントだった。人を殺した直後だとは思えないほど落ち着いた様子のヴィンセントは、悪びれもせずに薄く笑いながら「――だからこれはさ…仕方のないことだよね…?」と言う。そしてヴィンセントは、「いいよ、ギル、キミの頼みだったら、僕はなんだってきいてあげるんだ――…」という言葉の通りオズたちをレインズワースの屋敷に送り届けた。なんの感情も抱かずに人を殺し、兄であるギルバートに対する異常な執着を見せるヴィンセントのどこか恐ろしい得体の知れなさが現れた場面である。

「そうだよ…みんな壊れちゃえ…人が壊れて世界も壊れて、みんなみんなおかしくなれば、僕も普通になれるよね…?」

ブレイク(左)の前で狂ったように笑う幼いヴィンセント(中央)

ブレイクが堕ちたアヴィスの深淵に姿を見せた幼いヴィンセントの言葉である。違法契約者の成れの果てとしてアヴィスに堕ちたブレイクがアリスと名乗る白い少女と相対していたとき、血まみれになり、ギルバートと思われる少年を背負った幼いヴィンセントが部屋に入ってきた。ジャックとの約束を嬉しそうに話す白いアリスに割って入ったヴィンセントは、笑いながら「ジャックは死んだ」「お前が殺した」と告げた。それを聞いたアリスが嘘だと泣き叫んだとたん、空間がゆがんで崩れ始める。壊れていく空間の中、仁王立ちになったヴィンセントは、「そうだよ…みんな壊れちゃえ…人が壊れて世界も壊れて、みんなみんなおかしくなれば、僕も普通になれるよね…?」と言って狂ったように笑うのだった。

「もういいよ、君はいらない」

ヴィンセントの言葉に涙するエコー

自らの中に眠る別人格を抑え込もうと苦しむエコーにヴィンセントがかけた言葉である。エコーはノイズと呼ばれるバスカヴィルの一人の中に宿ったかりそめの人格であり、彼女ともう一つの人格はあたかも二重人格のように一つの躰を共有している。ノイズ本人の人格が情緒不安定で放っておくと暴走してしまう恐れがあるため、エコーはヴィンセントからノイズの人格を抑え込むようにとの命を受けていた。しかし、苦しみながらも懸命に命令を守ろうとするエコーにヴィンセントが告げたのは、「もういいよ、君はいらない」という無慈悲な一言であった。この言葉を聞いたエコーは自らの存在意義を見失って涙し、彼女に代わって残酷なノイズの人格が躰を支配したのであった。

「大丈夫だよギル、安心して。今度は僕が、アヴィスの扉を開いて、ギルを護ってみせるから――――!」

アヴィスの扉を開いたヴィンセント

アヴィスの扉を開こうとする幼いヴィンセントの心の声である。100年前、バスカヴィルの屋敷で暮らしていたヴィンセントは、幽閉されている少女・アリスから、愛する兄が次のグレンの体に選ばれて殺されようとしていることを聞く。悲しみに打ちひしがれるヴィンセントが兄を助けたいと願ったとき、彼の元に謎の女が訪れた。女は、儀式を邪魔してしまえばギルバートを助けることができると話し、そのためのアヴィスの扉の開き方を教えるという。女の誘いにすがりついたヴィンセントが、「大丈夫だよギル、安心して。今度は僕が、アヴィスの扉を開いて、ギルを護ってみせるから――――!」との想いと共に言われた通りにアヴィスの扉を開いた瞬間、扉からアヴィスの力が噴き出した。こうしてヴィンセントは、図らずもサブリエの悲劇を巻き起こした張本人となってしまったのであった。

「汚して、堕として、僕だけの玩具にしてやる」

エイダ(右上)を翻弄するヴィンセント(左上)

エイダを前にしたヴィンセントの心の声である。裏でバスカヴィルと通じているヴィンセントは四大公がそれぞれに所有する扉の鍵を手に入れようと狙っていた。オスカーが当主となっているベザリウス家のガードが最も手薄だと考えたヴィンセントは、周りの者が傷つくことを何より恐れるであろうオスカーに対する人質として使うため、彼の愛する姪であるエイダに接触する。表向きは彼女に恋心を抱く男性としてふるまっているヴィンセントだが、その胸の内では何不自由なく暮らしているエイダのことを嫌悪していた。「汚して、堕として、僕だけの玩具にしてやる」というその本心に、ヴィンセント曰く「低能で浅はかでおめでたい醜い女の一人」であり、「綺麗事ばかりを吐き出だす」エイダに対する強い憎しみが表れている。

ヴィンセントがリーオの従者となった場面

ヴィンセントの主となったリーオ

リーオを連れてナイトレイの屋敷に戻ったヴィンセントは、自分に何をさせようとしているのかと問うリーオに、その望みを告げる。彼の望み、それは、リーオにアヴィスの意志を手に入れてもらい、ヴィンセントという人間をこの世から消し去ってほしいということだった。禍罪の子である弟の存在がギルバートを苦しめてきたことに強い自責の念を抱いていたヴィンセントは、自分がいない過去を兄に与えたいと願っていたのである。「僕は、僕のいない過去をギルにあげたいのです」というその姿に、自身の過ちによってエリオットを失った今の自分を重ね合わせたリーオは、ヴィンセントの望みを聞き入れ、グレンとして生きることを決意する。覚悟を決めたリーオは、これまで世界から目を背けるために伸ばしていた髪を切ることを決める。リーオの前髪をかき上げたヴィンセントは、隠されていたその瞳を目にし、「まるで、全てを飲み込む深淵みたいだ」と言う。こうしてリーオはグレンとして覚醒し、ヴィンセントは自らが仕える主を得たのである。

「僕も異端で君も異端なら、それは僕らにとっては“ふつう”のことだよ」「おねえさんも変で僕も変なら、僕は『ふつう』でいられるんだ…」

ノイズ(上)に語りかけるヴィンセント(中央)

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