PandoraHearts(パンドラハーツ)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『PandoraHearts(パンドラハーツ)』は、『月刊Gファンタジー』にて連載された望月淳による漫画作品である。『不思議の国のアリス』などの童話をモチーフにしつつも、残酷な描写が随所にみられるダークファンタジーとなっている。成人の儀で闇の監獄へ落とされた後に10年後の世界に生還を果たした少年、オズ・ベザリウスを主人公に、自らの存在の意味を問う彼がその真実を見つけ、世界の危機を救うまでを描く。物語全体にわたる伏線が読む人を魅了し、単行本累計発行部数500万部を超えた人気作である。

『PandoraHearts(パンドラハーツ)』の概要

『PandoraHearts(パンドラハーツ)』は、望月淳による漫画作品、およびそれを原作とするアニメその他のメディアミックス作品である。2006年から2015年まで『月刊Gファンタジー』にて連載され、単行本全24巻に収録されている。本作は『不思議の国のアリス』をはじめとする童話がモチーフになっており、登場キャラクターの名前や姿かたちなど多くの部分にその要素が見られる。しかしながら、考えさせられる内容や重い内容、残酷な描写が随所にみられ、ダークファンタジー的な様相を呈している。物語全体に張り巡らされた伏線が読む人を魅了し、累計発行部数500万部を超えた人気作である。
公爵家の次期当主であるオズ=ベザリウスは、15歳の成人の儀の最中、自らの存在が罪だと告げる言葉とともに闇の監獄・アヴィスへ落とされた。アヴィスで生まれる異形・チェインに襲われた彼は、少女の姿をしたチェイン・アリスに助けられる。アリスと契約をかわすことでアヴィスからの生還を果たしたオズだが、たどり着いたのは10年後の世界であった。そしてオズは、周囲の仲間の力を借りながら、己の罪の真実と、失われたアリスの記憶を探すことになる。
自らの存在の意味を問う主人公やその周りの人々を描く本作には、読む人に力を与える数多くのセリフが存在する。これから、物語が進むうえで重要な役割を果たすセリフやシーンとともに、それらの名言を紹介していく。

オズ=ベザリウスの名言・名セリフ/名シーン・名場面

オズ=ベザリウスの概要

オズ=ベザリウス

オズ=ベザリウスは本作の主人公となるベザリウス家の少年である。所有するチェインは、黒うさぎのアリスである。成人の儀の最中に闇の監獄・アヴィスへと堕とされるも、アリスと違法契約を交わして脱出を果たし、10年後の世界に降り立った。そのため、外見は15歳であるが、現実世界の時間軸においては25歳である。アヴィスに堕とされる間際に身に覚えのない罪を宣告され、アヴィスから生還した後は、失われたアリスの記憶を探しながら己の罪が何なのかを探すために行動することとなる。
表向きは陽気で如才ない性格であり、頭の回転が速い。また、満面の笑みで相手を脅し、従者であるギルバートをいじめるのが趣味だという腹黒い少年でもある。父親に愛されなかったことによる心の傷から「自分と向き合うよりも現状を受け入れた方が楽」という、ある意味ゆがんだ人生観を持っており、また、「人の負担にならないように」という自己犠牲的な一面が強かった。しかし、周りの人間とのかかわりの中で己の弱さに気づいたことにより、自分を大事にすることができるようになった。
ベザリウス家の嫡男として育てられ、オズ自身も自らが確固たる一人の人間だと自覚していた。しかしその実は、成長と巻き戻りを繰り返すジャック=ベザリウスという別の人間の肉体に、彼の所有していたチェイン・黒うさぎのオズの魂が宿った存在である。赤ん坊まで巻き戻ったジャックの肉体にチェインとしての自覚を失くしたオズの魂が残り、一人の人間としての誤った自覚を持ったまま成長したのが、今のオズである。事実を知って一度は自らの存在を否定しかけるも、エコーやギルバート、オスカーらの言葉を受けて、今の自分のことを肯定できるようになった。

オズ=ベザリウスの初登場の場面

箪笥から現れたオズ(右)とエイダ(左)

オズ=ベザリウスは、四大公爵家のひとつ、ベザリウス家の次期当主である。15歳を迎えたオズは、成人の儀を執り行うためにその会場となる屋敷を訪れていた。祝いのパーティーの直前に姿が見えなくなったオズを必死で探す家政婦は、オズの信頼する従者・ギルバートを見つけ、オズの居場所を問い詰める。湖に行ったと聞いた家政婦が急いで走り去ったところで、すぐ傍にあった戸棚の中から妹・エイダを抱えたオズが「ご苦労だった」との言葉とともに大笑いしながら現れた。屋敷探検を楽しむオズに命じられたギルバートは、家政婦に嘘の情報を教えたのであった。傍若無人でありながらも明るく、どんなときでもその場を楽しむオズの人柄が発揮された初登場シーンである。

オズが初めて謎の映像を目にした場面

謎の部屋に驚くオズ

屋敷を探検していたオズとギルバートは、不思議なオルゴールの音を辿り、屋敷の中にたたずむ古びた墓を見つける。そこにあった懐中時計にオズが触れたとたん、その場の風景が一変し、オズは一人、不思議な部屋の中にいた。オズが「どこだ…ここは…?」と言ったとたんに突如周りを囲む山のような人形たちが狂ったように笑いだし、「帰ってきた」「あの娘は喜ぶ」「彼女はずっと待っていた」との謎の言葉を発する。その中で現れた黒髪の少女が、「やっぱり貴方は来てくれた」といきなりオズに抱き着いてきた。まったく覚えがないオズが、ここはどこで彼女は何者なのかと問うたとき、その場は炎に包まれる。少女は呪いの言葉を吐きながらオズを殺そうとした瞬間、謎の映像は途切れ、オズの周りは現実に戻っていた。この後に起こる謎めいた出来事の前振りともいえる場面である。

オズがアリスと契約を結んだ場面

アリスと契約をしようとするオズ

成人の儀の最中、オズは何者かの手により闇の監獄・アヴィスへと堕とされた。アヴィスを彷徨っていたオズは、そこで生み出される恐ろしい異形・チェインに襲われているところを、少女の姿をしたチェイン「血染めの黒うさぎ(ビーラビット)」に救われる。ビーラビットは以前オズが謎の映像の中で目にした少女に酷似していたが、彼女にオズと出会った覚えはなかった。いとも簡単にチェインを倒したビーラビットは、「ビーラビット」は周りが勝手に付けた名であり、自分の本当の名前がアリスであることを明かす。オズのことを自分の契約者になり得る存在だと言うアリスは、ともにアヴィスから出るために契約を結ぶことを提案した。しかし、チェインに邪魔されたことによってオズとアリスは離れ離れになってしまう。再び窮地に陥ったオズを救ったのは、またしてもアリスであった。オズをかばったアリスがチェインに喰われようとしたとき、オズは初対面であるはずの彼女のことを不思議と失いたくないと感じ、命をかけてアリスのことを救おうとしていた。そして、オズが「アリス!!おまえと契約する!!!」と叫びながら彼女に向かって手を伸ばしたとき、アリスはそれまでの窮地が嘘のようにチェインをなぎ倒してオズのもとへとやってくる。チェインに倒されそうになっていたのは、すべてアリスの演技だったのだ。「違うな小僧。契約してください、だろう―――?」と言ったアリスは口移しで彼女の血をオズに飲ませたことで契約は完了し、オズの身体にアリスの力がなだれ込んできた。オズの身体を媒介にアリスが本来の力を行使したことでアヴィスから現実世界への道が開き、オズは見事に生還を果たしたのであった。

「そこにオレが求める答えがあるのなら、オレは知りたい。バスカヴィルの言うオレの罪ってのがなんなのかを―――!」

自分の罪を追うことを決意したオズ

アリスの記憶を探し、その中で自分の罪が何であるかを知ることを決めたオズの言葉である。アヴィスから抜け出したオズとアリスは、ベザリウス家と同じ四大公爵家のひとつであるレインズワース家の屋敷に保護される。彼らを保護したのは、レインズワース家の少女・シャロン=レインズワースとその使用人のザークシーズ=ブレイク、そして鴉(レイヴン)と呼ばれる謎の青年であった。目を覚ましたオズにブレイクは、自分たちが国の治安維持機関・パンドラの人間であること、オズとアリスの契約は違法な契約であり、このままでは逮捕されることを告げる。強すぎてオズの身体に納まりきらなかったアリスの力を鴉の力で封印され、さらに違法契約者としてパンドラに追われる身になったオズとアリスは、もはやブレイクたちの言いなりになるほかなかった。ブレイクにアヴィスを出ようとした理由を問われたアリスは、アヴィスで目を覚ましたときから自分には名前以外の記憶がなく、しかし、「それ以外のことがわからないのはアヴィスの中には記憶がないからだ」ということだけはわかっており、アヴィスを出たのは現実世界に散らばっていると思われる自分の記憶を探すためだということを明かす。
アヴィスに堕ちる前から身につけていた懐中時計にオズが触れると、頭の中に不思議な映像がなだれ込み、その中でオズは謎の人物に出会う。その人物はこの映像がアリスの記憶の破片だと言い、「誰よりも先にそれ(アリスの記憶)を手に入れるんだ。そこに君が求める答えがある」と告げた。それを聞いたオズは、「そこにオレが求める答えがあるのなら、オレは知りたい。バスカヴィルの言うオレの罪ってのがなんなのかを―――!」と、自分の望みを口にする。ブレイクに彼の部下としてパンドラに働くことを命じられたオズとアリスは、見返りに得られる情報が記憶探しに役立つであろうと言われたことからその要求を受け入れ、ブレイクたちと行動を共にすることを決めたのだった。

「お前はオレの従者になったんだ。つまりこれからは何があってもオレがお前をまもるんだよ!それが『あるじたるもののつとめ』だからなっ」

幼い頃のオズ(左)とギルバート(中央)

幼いオズが、従者になったギルバートに告げた言葉である。オズの従者として屋敷に連れてこられたギルバートは、何かに怯えたような様子を見せていた。オズが落ちてきた花瓶からギルバートを守って怪我をしそうになったとき、ギルバートは自分でも訳がわからないままに「”マスター”を守るのはボクの仕事のはずなのに――!」と泣き叫ぶ。それを聞いたオズは事もなげに「お前はオレの従者になったんだ。つまりこれからは何があってもオレがお前をまもるんだよ!それが『あるじたるもののつとめ』だからなっ」言い放つ。従者が主を守るのが普通の考え方であるが、それを覆すオズの考えに、当主としての器の大きさが表れている。

「たかが貴族になったくらいで――オレが従者を手放すと思うなよ?」

ギルバートに微笑みかけるオズ

自分には従者であり続ける資格がないというギルバートにオズが放った言葉である。オズがアヴィスから抜け出してたどり着いた世界は実は10年後の世界であり、ギルバートと似た青年だと思われていた鴉は、10年を経て成長したギルバート本人であった。さらに、オズが消えていた10年の間にギルバートはナイトレイ家の養子になっており、ナイトレイ家がベザリウス家の宿敵であったことから、ギルバートはもはや自分にオズの従者であり続ける資格はないと考えていた。ギルバートがその事実を黙っていた理由を「変わってしまった自分を知られたくなかったから」だと見事に言い当てたオズは、「変わったってどこがだ?」「一体どこがおまえらしくないんだ?」と問う。「たかが貴族になったくらいで――オレが従者を手放すと思うなよ?」という、たとえ立場が変わってもあるがままの自分を受け入れようとするオズの言葉を聞いたギルバートは、その本心をさらけ出し、今でもオズの従者でありたいと告げたのであった。

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